関谷正徳 レジェンドコラム 第5回 クルマと国民性

みなさま、こんにちは!
今回は、クルマのことを私目線でお伝えしたいと思います。

出来上がったクルマの特徴を国別に比較すると、その国の国民性がクルマに出ていると思います。クルマに対し、どのような見方をするかということについては、人それぞれですので反論はあるかと思いますが、あくまで、私の見方ですのでご理解下さい。最近では、少し変化してきているとは思いますが。

根本的には次のような見方で各国のクルマが生まれてきているのではないでしょうか。

【日本車】
真面目に作り込んで壊れない丈夫なクルマを作っています。簡単に言ってしまえば、クルマを道具としてみているのが日本車ではないでしょうか。当たり前ですが、人を運ぶ、荷物を運ぶ、“移動の手段”という見方ではないかと思います。「移動するための道具」としてクルマを造りました。

【アメリカ車】
目立つ、ヒーロー、というのがアメリカのイメージで全くその通りのクルマになっているように思えます。押し出しの強い、豪華に見えるクルマ造り。

【ドイツ車】
技術にプライドの高さを持っている国というイメージです。まさしくクルマが生まれた国なので性能ではどこにも負けないクルマを造ろうとしていると感じます。

【イギリス車】
伝統を重んじるイギリス流のエレガントなクルマ…。イギリス流の高級感を主張したクルマだと思います。「ロールスロイス」「ミニ」もイギリスで生まれたクルマですが、階級社会を象徴した車になっているように思えます。

【イタリア車】
これもまさしく国民性そのもの、遊ぶことが大好きなので「楽しくてカッコいいクルマ」というのが特徴ですね。

【フランス車】
隣国ですがイタリア、ドイツとは全く方向性が違い、「合理的でオシャレ」というのがイメージです。

【韓国車】
最近韓国車も世界に流通しているので少し触れておきます。日本車が教材になっていますが、日本車と違うのは、最近でこそサーキットができましたが、それまでは国内にサーキットが無かったので競争が無く、その競技をしない環境でクルマ造りをして来たので、「見た目重視のクルマ」になっているように見えます。サムスンのように電気製品と同じような見方ではないでしょうか。

日本車は、欧州からクルマが入ってきたクルマを分解し、日本人なりに理解して造りました。そして現在では、その日本人が作ったクルマが世界で一番認められているのです。つまり、まさしく日本人の国民性がクルマに反映された結果と言えるのではないでしょうか。

実は、日本人は大量生産は得意なのですが、少量生産はあまり得意ではなさそうです。スーパーカーのようなクルマを少量生産するのには、なかなか採算ベースが上手くいかず、レクサスのスポーツカーLFAも500台で生産を終わってしまいました。コストの問題が大きいと思います。

ホンダのHSVは、日の目も見ないままレースに出ただけで終わってしまい、エンジン横置きのミッドシップNSXに方向修正しました。こちらもコストの問題かと思います。 少量生産でコストに見合うスーパーカーを生み出すのは、中々難しいようです。

日本では、小さな町工場でクルマ造りができないことがスーパーカーが出来ない理由の一つにあるとも思いますし、童夢もトライを過去にしていましたが実現できませんでした。

お国柄と言ってしまえばそれまでですが、お国の政策にも大きな原因があると思います。これができる環境になれば、もっと面白いクルマが出てくるかもしれませんね。

関谷正徳

[ガズー編集部]