関谷正徳 レジェンドコラム 第8回 インタープロトシリーズ

今回は、なぜ今インタープロトシリーズなのかについてお話ししたいと思います。前回、インタープロトシリーズとは、グランドチャンピオンレースと前座のマイナーツーリングレース、スーパーツーリングレースを足して割ったようなレースという話をしました。

グラチャンカーの格好良さ、マイナーツーリングの最終ラップまで誰が勝つのかわからないという目を離すことができない混戦のレース。これらが一つになったら最高のレースになるなと思ったのです。

そもそもモータースポーツというのは、わかりにくいスポーツです。クルマが速いのか、ドライバーが速いのか?“速さ”を競うスポーツに、二つの側面が絡み合っているのです。
しかしながら、スポーツが人間の能力への挑戦と能力との闘いであるならば、モータースポーツの世界も当然のことながら「本当に速いのは誰なのか?」ということがファンの人たちに解りやすくあるべきです。

クルマがいいから…、タイヤがいいから…、エンジンいいから勝ったというように、ファンの皆さんの中にはレースの見方を「スポーツ」という認識では見ていない人も多数いるのではないでしょうか?

それを悪いと言っているのではないのです。クルマの性能やデザインやエンジン音などレースの魅力はたくさんあります。それぐらいレースというのはあらゆる五感を刺激する魅力を満載にたたえた代物なのです。しかしあえて今、私はレースを“モータースポーツ”として捉えたとき、”誰が速いんだ!“というシンプルな問いかけをするべきだと思ったのです。

このような問題の答えを出すことが、インタープロトシリーズの目的の一つにあります。このインタープロトシリーズでは、プロフェッショナルとアマチュアのレースが行われます。プロアマで組んで一つのレースをするというのは、私達の世界にはよくあることです。

しかし、インタープロトシリーズのプロアマは、プロフェッショナルとアマチュアが別々のレースになっています。スポーツですから、それぞれのステージでの答えがある方が、ファンにとっては分かりやすいのではないか?と考えたからです。

ただしレーシングカーは、プロアマが同じクルマを共有します。(インタープロトシリーズでは、使用車両をKurumaと命名しています)アマチュアクラスでは、ジェントルマンドライバー達がレースを行い、その後同じ車両(Kuruma)を使ってプロのドライバー達がレースを行います。

一流のメカニック、レーシングガレージの手によって組まれたKurumaで、プロアマがそれぞれレースを行うのですから、同じ車両でもタイムからアタックの仕方、走り方が違ってきます。これにより、ジェントルマンドライバーは、組んだプロレーサーからロガーデーターなどを見ながらドライビングテクニックを学びスキルアップをしていきます。

そして、ファンの皆さんには自動車の性能ではなく、ドライビングコンペティション〈運転技術の競争〉を見てもらうことになります。この形は世界初のプロアマレースです。

そしてこのシリーズは、富士スピードウェイ周辺のレーシングガレージの産業にも一役買っています。このKurumaは、自動車メーカーによって作られたマシンではなく、常にレースに携わってきた御殿場、小山のレーシングガレージの総力によってデザインから性能まですべて造り上げられたMADE IN JAPANの純正オリジナル国産レーシングマシンなのです。

こうしてインタープロトシリーズは、スタートしていよいよ4年目を迎えます。
正直、3年かけてようやくここまで来たという感じがあります。富士スピードウェイを始め、多くのレース関係者の皆さんのご理解と応援をいただきながらやって来られています。

インタープロトシリーズのもう一つの大きな目的(もしくは夢といった方が近いのかもしれません)は、レースに参加している人たちとレースを見に来てくれているすべての人たちと、楽しさを共有するということです。

まずは、プロアマのドライビングコンペティションで純粋にレーシングバトルを関係者も応援するファンも楽しみ、それと同時にピットを一部開放して一般の人にも間近でメカニックの作業や車に乗り込むレーシングドライバーの表情を見てもらえるようにしてあります。

ファンの皆さんの目の前から、Kurumaがコースへ飛び出していくのです。レースの楽しさとプロのドライバーの走っている世界を共有してもらうために、世界初のレースシュミレーションの同乗走行も大人気です。

そして、クルマ離れと言われる子供達がクルマに興味を持てるようになって欲しいと願い、マクラーレンやフェラーリ、LFAなどの子供達優先のスーパーカー同乗体験や、乗り物が好きになってもらえるように、自転車が乗れない子供たちが30分で乗れるようになる自転車教室やカート体験、ラジコンスペース、そして更には、今年から元WGPチャンピオン原田哲也氏監修のキッズバイク体験教室や小学校高学年からを対象にした本格派カート入門教室などのコンテンツも多数用意しました。これらは全て無料体験ができます。

そして、サーキットに来るのは男性や子供ばかりではありません。家族や友達と一緒に女性にもサーキットでレースを見ながら楽しんでもらえるように、室内でのレディスブースを準備し、そこではネイルアートやアクセサリー作り、リフレクソロジーやオーラソーマリーディングなども楽しんでいただけるようにしてあります。

インタープロトシリーズ当日は、パドックがレースだけではなく来てくれた全ての人たちが楽しめる遊び場になっています。手作り感満載のイベントではありますが(笑)、イベントステージでは、参加プロドライバーの本音トークショーや来場者参加型のゲーム大会、若手アーティストのライブステージなど自分たちができる可能な限りのコンテンツを用意してあります。

それがインタープロトシリーズです。

ドライビングコンペティションとみんなが楽しめるサーキット。昨年の最終戦では、スーパーGT GT500クラスのチャンピオンとスーパーフォーミュラチャンピオン、GT500ウィナーとGT300ウィナー、そしてF3、F4で活躍する注目若手ドライバーのガチバトル対決が実現できました。

果たして、今年のシリーズはどんなドライバーがどんな戦いを繰り広げてくれるのか。最終戦で”一番速いドライバーは誰だ!“がご覧いただけるでしょう。

4月3日、富士スピードウェイでお待ちしています。
(詳しくは、下記ホームページまで)
富士スピードウェイ
インタープロトシリーズ

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road