関谷正徳 レジェンドコラム 第9回 これで大丈夫?日本の運転教育

私は今、ドライビングコーチの仕事もしています。この仕事をしていていつも思うのは、クルマの運転に対してかなりの誤解があるな~と感じることが多いことです。コーナーを抜ける時の考え、ブレーキの踏み方、ハンドルの切り方などがクルマの走行理論に対して間違った考えをもっているかたが多いのです。

高速道路でクルマが雨の走行中、進路変更の際スピンクラッシュしたという話をよく聞きます。勿論人間ですからミスはあると思いますが、正しい知識を持っていれば避けられる事故も多いのではないかと思い、こんな事を書いています。クルマ大国なのにクルマの事が正しく伝わっていない、毎日運転しているのに上手くならない。誤解の無いように断っておきますが、速く走ろうと言っているのでは無いのでご理解下さい。

当然ですが、クルマの運転は“上手くなろう”としなければ“上手くはならない”ので、ここのところも解っていて欲しいのです。「正しい知識を持っていること=上手くなる方法」だと私は思います。押し付けがましいかもしれませんが。

最近、富士スピードウェイで行われるエコランレースに何回か出場していますが、このエコカーカップが意外なほど楽しいのです。先日の冬大会では、御殿場市役所のモータースポーツ部の皆さんと出場し、御殿場市長、御殿場市役所の女子3人と私の5人で1台のアクアをドライブして72台中10位の成績でした。私以外サーキットを走るのは初めての人ばかりでしたが、市長始め女子も大変面白かった!楽しかった!と言ってもらえました。そう…、クルマの運転は楽しいのです!

しかも、このエコカーカップの参加費は一人10,000円。サーキットライセンスも、A級ライセンスもレーシングスーツも必要ありません。運転できれば参加出来るレースです。(ちなみに次回の夏大会は7月2日。富士スピードウェイのホームページをご覧ください。)
このレースはエコランなので、100キロ以上出すと燃費が悪くなるので最高速度100キロでの走行レースです。それでも楽しかった~!の一言でしたので嬉しい限りでした。速く走らなくても、正しい運転で走ると車を運転してコーナーを抜けて行く事はとてつもなく楽しいのです。

クルマの運転は、リスクを負って高速で走ることに楽しさを感じることもありますが、最近では500馬力、700馬力の市販車が溢れています。私達のスーパーGTのクルマでは、550馬力なので市販車の性能がいかに凄いのかお分かり頂けると思います。しかし、この市販車の性能を高速道路で出したとしたら…、かなりのリスクを持って走ることになりますね。
このような高性能のクルマの運転こそしっかりした知識を持って運転することが求められます。が、現実にはその知識を持って運転している人は少ないと考えています。それはなぜなのでしょう?

それは、免許証を取得する時に正しいスキルを教えてはいないからです。教習所は交通法を守って運転することを教えているところではありますが、運転の正しいスキルを教えてくれるところでは無いのです。

なので、ここからは私の提案です。トヨタ自動車では、日本のサーキットでドライビングに興味を持ってもらえる人を対象にTOYOTA GAZOO Racingドライビングレッスンを行っています。これは全国のサーキットで行っているので是非参加してみてください。

また富士スピードウェイの中にあるモビリタという施設があり、ここでもレッスンを行っています。これらは、トヨタ車以外のメーカーのクルマに乗っていても参加出来ますからオススメです。免許証を取り立ての方、自分の運転に疑問を持っている方。ドライビングスキルを上げたい方。お父さんから子供に何かプレゼントをする時にこのようなレッスンをプレゼントしたら価値のあるものになるのではないでしょうか。形のあるものもいいのですが、無形のプレゼントも大変役に立つと思えます。

最後に、教育ということで英語教育についても少し触れてみます。
私の素人考えですが、こちらも順番が違うように思えます。

私の場合、まず書くところから教えられました、この書くことについては日本の教材は素晴らしいと聞いていますが、順序が違うのでは? 赤ちゃんが喋るプロセスは聞く、喋る、書くという順で成長して行きますね。教育は、書く、聞く、喋る。何かおかしいな~なんて思っています。

実はクルマの運転を伝えるとき私は、「止める、曲げる、走る」の順で説明します。
しかし一般では、大半は、「走る、止める、曲げる」の順で伝えることが多いようですが、
私的に順は「止める」が先に来ます。このことでカーブを曲がるプロセスを説明しやすくしています。

日本人は、教育を受けているのに英語を喋れるようにならない。運転も教習所に行って何十万も支払ったのに上手くならない。たわいもない視点からの発想です。

関谷正徳

[ガズー編集部]