清水草一が教える! モテたいなら、このクルマに乗れ! 第3回「カーマニアの結婚大作戦」

モテないカーマニアのマリオ(仮名)の結婚大作戦。まず私はマリオに、モテないカーマニアにとって結婚は非常に高いハードルであり、超絶なる努力が必要であることを告げた。

続いて私が指示したのは、髪型と服装の変革だった。

人は見た目が8割と言う。髪型や服装に一切無頓着な男は、女性の目というものを意識したことすらない。

クジャクをはじめとして多くの動物は、オスの方がハデなルックスを持ち、メスをなんとか振り向かせようとしている。なのに、モテないカーマニアはその部分がゼロ。それでメスが振り向くはずがない! 愛車にブースト計や4点式シートベルトを取り付けるよりもまず、髪型と服装をなんとかすべきなのである。

髪型も服装も超絶ダサい。こんなやつがモテるわけがない

私はマリオに、渋谷のオシャレな美容院に行かせて髪を切らせ、服は下北沢の古着屋で激安品を調達した。もうそれだけで、見た目は300倍マトモになった。

渋谷のオシャレな美容院でカットを待つマリオ

こちらが、カット後のマリオだ。

ずいぶんマシになった(服はまだ着替えていない)

クルマに関しても同様。女性の目を意識しさえすれば、車内がゴミだらけで臭いのは嫌われると瞬時にわかるはずだ。そこをマトモにするだけで結婚は大きく近づく!

同時に私は、結婚に向けての身辺整理も指示した。当時のマリオは、国民年金未納であり、健康保険料すら払っていなかったからである。

仮に彼女ができたとしても、相手の男が低年収でしかも未納の帝王だとわかったら、女性はどういう反応をするか? そんな男の元に嫁に来る女性は超新星爆発級にレアである。

クルマも同じだ。現代女性はクルマに何よりも安心・安全を求める。だからぶつかっても死なない感の高いSUVが大人気なのである。車内はゴミだらけ、四つ角を曲がるたびに無意味にフェイントモーションをかけ、しかも任意保険未加入のボロインプがモテるはずがない。

オレ「マリオよ。国民年金だけは払え! あれは素晴らしいシステムだ!」

マリオ「ええええーーーーっ! 年金って、間もなく破綻して、何ももらえなくなるのではないのですか!?」

オレ「そんなのはたわごとだ! しかも、国が保険料の半分を税金で払ってくれるんだぞ。そんなありがたい制度が他にあるか! 健康保険は後回しでいいからとにかく国民年金を払え!」

マリオの身体はネアンデルタール人並みに頑丈で、生まれてこのかた病院へ行ったことがなく、市販薬すらほとんど飲んだことがなかった。彼にとっては、健康保険より国民年金が優先という私の判断であった。クルマで言えば車両保険よりまず対人対物と言ったところか。

(つづく)

プロフィール

清水草一
モータージャーナリスト。慶応大学卒業後、集英社で「サーキットの狼」の池沢さとし氏の担当編集者となる。フェラーリを崇拝しており、「大乗フェラーリ教開祖」を名乗る。
公式サイト https://www.shimizusouichi.com/

企画・編集=ノオト

[ガズー編集部]