カーマニアの結婚大作戦、結果は?:清水草一が教える! モテたいなら、このクルマに乗れ!

国民年金は銀行引き落としとなり、髪型も身なりもこざっぱりとしたモテないカーマニアのマリオ(仮名)。続いて私が伝授した結婚作戦は、以下の通りであった。

第1項 数打ちゃ当たる
第2項 一押し二押し三に押し
第3項 ひたすらマメに奉仕せよ

女性があっちから寄ってくる形の「モテ」は、ほぼ生来の才能だ。モテる男は生まれつきフェロモンのようなものを発生させており、その後天的会得は不可能。フェロモンがない場合は、地位や財力、特殊技能(例/お笑い)など他の部分で補うしかないが、それでも上記3項は必須だろう。それは自然界におけるオスの求愛行動と同じである。
 「ダメなら次!」とめげずに機会を求め、相手を見つけたら押しに押して、青い物体を集めまくる(オーストラリアに棲息するアオアズマヤドリ)などひたすら奉仕を実行。一般のオスはそれによって初めて、繁殖を実現させるのだ。

クルマに関しては第3項に含まれる。ドライブの際はひたすらマメに奉仕すべきであり、クルマ自慢や四つ角でのフェイントモーション等、女子の安心・安全にメリットのない自己顕示的な行動は厳に慎まなければならない。
 奉仕が主眼であるから、車内外は清潔かつ快適に保つべし。ドラテクで唯一アピールOKなのは車庫入れのスムーズさのみ。一発で真ん中にすばやく駐車する技を磨くべきだ。ブレーキングやコーナリングの技も高いに越したことはないが、それはあくまでスムーズな運転実現のためであり、女子搭載中に高Gを発生させるのは厳禁。発生させていいのは007だけである。

してマリオの結婚作戦、結果はどうだったか?

妙齢の女子を助手席に搭載回数/1回
デート成功回数/0回
結婚/未達成。その後完全に放棄

老母と姉以外の女子の搭載に成功したのは送迎時で、その際「今度お食事でも」と誘ったがあっさり玉砕。それが戦績のすべてだった。
その後本人は、相手の女子に対する注文において、「10代でないとムリです」等明らかな退行現象を発生させ、間もなくAKBの握手会にターゲットを変更。板野友美さんを「嫁」と自称するようになった。現在はテレ東の相内アナが嫁だそうである。
 「生身の女子に気を使うなど、もう馬鹿馬鹿しくなりました!」(マリオ談)
ともちんの握手会で本人に「大好きです」と告白しても、ニッコリ笑ってくれたという。ところが一般女子はいとも簡単に拒絶する。アイドルでもないくせに! 言われてみればその通りだ。
 夢だった「子供をたくさん持つ」に関しては、趣味の熱帯魚飼育で大量繁殖に成功し、歓喜の涙を流している。
 中高年のひきこもりの人は、アドバイスされるのを一番嫌うという。私はその愚を犯したようだった。マリオのヘアスタイルは、スキンヘッドを経て現在はブルーのモヒカンになっている。

現在のマリオ

2年前にはネット広告で導かれた弁護士の勧めにより、サラ金の過払い金請求を実行、なんと180万円が手元に入り、それでスバル・インプレッサの新車を購入。スバリストとしての絶頂に震えた。

サラ金過払い金で買った新車のインプレッサ

いくらでも手に入る脳内嫁と、手塩にかけた熱帯魚の大量繁殖、そして棚ぼたの新車ゲット。マリオの逆転大勝利であった。
これを読んでいるモテないカーマニア諸兄! 生身がムリならその道もあります。

(つづく)

プロフィール

清水草一
モータージャーナリスト。慶応大学卒業後、集英社で「サーキットの狼」の池沢さとし氏の担当編集者となる。フェラーリを崇拝しており、「大乗フェラーリ教開祖」を名乗る。
公式サイト https://www.shimizusouichi.com/

企画・編集=ノオト

[ガズー編集部]

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