谷口信輝 ドライバーズコラム 第12回 チューニングカーとは
僕の職業は、マルチレーシングドライバー。レースをしたり、ドリフトをしたり、チューニングカーでタイムアタックをしたり、クルマ関係の雑誌やビデオやテレビの取材等をしたり、イベントのゲストやメーカーのパーツやマシンのテストなど。時にはドライビングスクールの講師などもします。
今回は、チューニングカーについてお話ししたいと思います。
まず、レーシングカーはレースをする為に生まれてきたクルマなので、基本設計が全然違います。見た目だけが知っているクルマなだけで、中身はほぼ、全然違うクルマになっているってのがほとんど。速く走る為と、何かあった時の為の安全確保を念頭に置いて作られています。
良く聞かれるのが、「何キロ出るの?」って質問ですが…、出る速度より「どこまで突っ込めるの?」とか「何キロで曲がれるの?」の方がそれっぽいです。僕が乗ってるスーパーGT GT300クラスのマシンで、富士スピードウェイで時速270km~280kmくらい出ます。
凄い速度って思う方もいらっしゃるかもしれませんが、乗ってる僕らからすれば、なんてことはありません。それは、僕がイカレテルわけではなく…、レーシングカーとレーシングタイヤが素晴らしいので、物凄く安定していて、何にも不安感が無いのです。
一般のクルマで高速道路を時速100km~120kmくらいで走ってるのと、レーシングカーで280kmで走ってるのがあまり変わらない感じです。あ、安定性や不安感の話ね。
かたや、チューニングカーと言うのは…、基本的には市販のクルマに、いろんなパーツを付けて、メーカーで売ってるクルマをよりスポーツ方向に改造しているクルマの事を言います(スポーツ方向ではないクルマもあります)。
僕は、いろんなチューニングカーに乗る事が多いのですが、最近のチューニングカーはとても凄くなっています。例えば、HKSの35GTRなどは、1100馬力~1300馬力くらいあります。富士スピードウェイのストレート1.5kmで、時速330km/hを越えます。
トップフューエルのS2000は、車重1150kg、ターボ化して馬力は800馬力。今、日本中のサーキットでタイムアタックをし、コースレコードを樹立しまくっています。
スーパーGT GT300クラスに匹敵するタイムを出していますが、基本的には、チューニングカー。レーシングカーと比べるとシャーシ剛性やアーム剛性、他にもいろんな剛性が全然足りません。タイヤもスリックタイヤではなく、市販のセミレーシングタイヤです。それでも技術と情熱で、素晴らしいタイムを出しています。
トップフューエルS2000
富士スピードウェイ 1分39秒131
岡山国際サーキット 1分27秒887
オートポリス 1分46秒568
鈴鹿サーキット 1分59秒936
筑波サーキット 51秒762
僕は職業柄、いろんなチューニングカーに乗るわけですが…、タイムを出す為には、コースインをして次の周にはアタックをしなくてはならない。すでに乗った事があり、素性の知ってるクルマなら良いのですが、乗った事がなく、得体の知れないクルマに乗る際には、いろいろと気をつけなくてはなりません。
アタックをするまでに、見極めなくてはならない事が沢山あります。まずは乗る前に、お店の人やオーナーに、クルマの改造箇所や馬力、タイヤ、普段タイムアタックなどをしているのか?などを聞きます。
・普段から走っているクルマなのか?
・ショップの人がちゃんとクルマの隅々まで把握しているのか?
これらをふまえ、自分でクルマから出ているオーラを感じ取ります。そしていよいよ乗車し、コースイン。タイヤが新品か?中古か?お店の人のやる気は?次第で変わりますが…、大体のことは、コーナーを1つ、ブレーキを1度踏めばわかります。
コースインして1周回るまでに、そのクルマの素性をなるべく調べ上げ、次の周にはアタックします。タイヤの温まりにもよるので、すべての素性はわからないので、「それなり」のアタックにはなりますが、一応経験が豊富なので、「それなり」でまぁまぁ良いタイムは出します。
僕は、いろんなショップのデモカーを乗らされますが…、そのお店の「できる」「できない」を、そのマシンから評価してますから。マシンのポテンシャルだけじゃなく、走る前に、マシンがちゃんと綺麗にしてあるか?これも大事です。フロントガラスの内側が汚かったり、ダッシュボードが埃だらけだったりすると、その時点で減点です。そうなるとメカニックが、「このマシンに目が行き届いていない」と判断します。
ちゃんとドライバーの気持ちをわかってくれるメカニックのクルマは、素晴らしいです。僕たちドライバーは、メカニックに命を預けているわけですから。
で、ちゃんとしてあるマシンは目一杯攻め、オーラがイマイチなマシンは、「安全マージン多め」なアタックをします。
最近は、アマチュアのドライバーが、自分のマシンをコツコツ仕上げ、自分で走り、「素人最速」的なのを目指すのが、日本各地で盛り上がっています。
とても良い事です。が…
あまりにもタイムのレベルが上がってて、正直不安です。くれぐれも安全基準を意識したクルマ作りをしてくださいね。
[ガズー編集部]
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