谷口信輝 ドライバーズコラム 第13回 レースを楽しむプチ情報
世の中のネジは基本的には、「の」の字に回せば締まるって事は、みなさんご存知ですよね?
知らない方の為に説明すると…、ひらがなの「の」の字を書くように右に回せば、世の中の大半のものは締まります。ネジもフタも。
たま~に、逆ネジの物もあったりしますが、基本的には「の」の字で締まります。ですので緩めたければ、「の」の字の反対に回せば緩みます。
しかし…、レーシングカーのホイルのセンターロックは違います。
何が違うのか? それは…、左側のタイヤと右側のタイヤの両方とも、同じ方向に締めるのです。わかりました?わからない?
左側のタイヤは「の」の字で締まる、右側のタイヤは「の」の字の反対回しで締まるのです。
わかりました? 左右で、ホイルナットを締める回転方向が違うのです。
なぜかわかります? ホイルのナットが緩みにくくする為です。タイヤの後ろ方向に締まるようにしていれば、ブレーキを踏むたびに、ナットは反対締まる方向に力が加わります。
ということで、基本的に締める際は、左側は「の」の字に回し、右側は「の」の字の反対回しです。トヨタもニッサンもBMWも、ランボルギーニもフェラーリもポルシェも、アウディもみんな同じです。
ところが…、ホンダとメルセデスだけ逆なんです。知ってました?
メルセデスとホンダだけ、「前締め」なんです。
なぜなんでしょうね?レース関係者何人かに聞いてみました。返ってきた答えは…「知らない」「昔からホンダとベンツはそうなんだよね」「設計者の好みじゃない?」でした。
「前締め」だと、加速で締まる方向ですが…、どちらが正解なのかわかりませんが、僕の考え的には、加速で締まるのは駆動輪だけだと思います。なので、リアタイヤのみが締まると思うの。減速で締まる方が、ブレーキは4輪全部についているので、こちらの方が前後とも締まるような気がしますが…。
しかし、ただ締まれば良いってものでもありません。ドライバー交代のあるレースばかりなので、レース中に「タイヤ交換」というものがあります。当然ながら、タイヤ交換というのは、「ロスタイム」なので、短い時間で済ませたい。
短い時間で済ませる為には、あまり強く締まっていると、緩めるのに時間が掛かる。
でも、しっかり締めてないと、緩むと困る、という矛盾。
インパクトの圧力を上げて、パワーで緩め、タイヤを交換し締めます。
(↑このインパクト、1つ100万近くするのよ)
レース中は、インパクトで締めるので、「前締め」か「後締め」か、わかりませんが、スタート前のグリッドで各車、最後の増し締めをするので、その際に「あ、あの車は前締めだ!」とか意識して見てみて下さい。
レースを楽しむプチ情報でした。
[ガズー編集部]
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