ダカールラリー 取材同行の旅No.2

世界一過酷なラリーのスタートは盛大に

ダカールラリーのスタートにはたくさんの観客が集まり、ラテンならではの盛り上がりをみせる。ブエノスアイレス・テクノポリスには大きなポディウムだけでなく観客が楽しめるブースがあり、お祭り気分のなか、クルマ、バイク、クワッド、トラック合わせて347台が歓声​を浴びながら冒険の扉を開け、南米大陸のラリーへ出発する。

ブエノスアイレスのスタートの歴史

2009年に南米初となったダカールラリーのスタートは、片側8車線と世界一幅の広い道路である「7月9日大通り」を封鎖し、中央にそびえ立つ白いオベリスクあたりからスタートした。沿道が人で埋め尽くされるセレモニースタートは、2011年まで恒例となり、2012年はリゾート地、2013年はペルー・リマ、2014年はアルゼンチン・ロサリオと変わった。2015年はまたブエノスアイレスに戻ってきたが、恒例だった「7月9日大通り」は、中央にバス専用レーンができたのでどうするかと思えば、今度はピンク色の建物で有名な大統領官邸前からスタート。そして今年はテクノポリスがスタート地となった。

2009年のセレモニアルスタート地点。写真には写っていないが、右下あたりにポディウムがあった
2009年、私は片山右京選手とコンビを組んでランドクルーザープラドで参戦。セレモニースタートはこのように沿道に途切れることなく観客がいて大盛り上がり!
2015年大会。ポディウム後ろに見えるのが大統領官邸。昔、二大政党のそれぞれのイメージカラーが赤と白だったため、その調和を意味するピンクとなった

今大会の注目チーム

ダカールラリーが南米大陸に舞台を移してから、オート部門はフォルクスワーゲンが3回、MINIが4回とドイツ勢が総合優勝を重ねている。そこへ2012年から南アフリカのトヨタチームがHILUXで、2015年からプジョーがワークス参戦と、現在この3強時代となっている。

大会総合優勝のナッサー・アルアティア選手/マチュ・バウメル選手。高速ステージから砂丘ステージまでオールラウンドに速い
MINIはWRCで活躍したミッコ・ヒルボネン選手が初参戦。気温30℃を越える暑さのなか、母国フィンランドを印象づけるニット帽をかぶって登場した
過去モト部門で6回優勝を果たしているステファン・ペテランセル選手(中央)は、今回勝てばオート部門でも6回総合優勝となる。前回より母国フランスのプジョーに乗ってその目標に挑む
90年代はトヨタ・セリカやカローラでWRCに挑んでいたカルロス・サインツ選手もプジョーから連続参戦
前回大会総合2位と惜しかったトヨタガズーレーシング サウスアフリカのジニール・デュビリエ選手(左)とディルク選手。今年こそ頂点を目指す
前回大会で初参戦し、終盤まで上位を走り、関係者を驚かせたヤジード・アルラジ選手/ティモ・ゴトシャルク選手
市販車部門でナビゲーターとして2度の部門優勝を経験したトヨタ車体の三浦昂選手が、社員初となるドライバーとして初参戦
市販車部門連覇を任された優勝請負人のニコラ・ジボン選手とジェン・ピエール ギャルサン選手
ルノーはライトSUVのダスターで参戦。2台体制。メーカーワークスではないので、戦闘力はTOP20以内が目標といったところ
かつてはワークス参戦していた三菱は、ブラジル三菱からASX(日本名:RVR)が参戦。
セレモニースタートでの派手なパフォーマンスが大人気のロビー・ゴードン選手。今年は助走が短かったが、見事に飛んでファンを喜ばせた
ちなみにこちらが前回大会でのロビー・ゴードン選手のジャンプ!

今年からトヨタがオフィシャルサプライヤーに

主催者が乗るオフィシャルカーにトヨタが選ばれた。期間は3年間。ハイラックスやSW4(南米圏以外:フォーチュナー)ランドクルーザープラドなど合わせて60台がオフィシャルの移動に使われる。かねてより救急車やテレビ撮影車は、ランドクルーザー70(主催者所有)が活用されているが、さらに多様なトヨタのラダーフレーム構造のSUVが日々の主催者を支える。

ハイラックスやランドクルーザーが大会運営を支えるオフィシャルカーに。信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを知っている主催者オフィシャルも喜んでいる
テクノポリスには大会スポンサーやサプライヤーだけが出せるブースがあり、観客も楽しんでいた。トヨタはハイラックスのTRD仕様車の展示
実物のハイラックスに乗り込むとなかにはゲームが。フロントガラス内側がモニターになっていて、さらに路面からの衝撃を実物のハイラックスに乗って体感できる臨場感満載

ブエノスアイレスのおすすめスポット

ダカールのスタートの地、ブエノスアイレスは、南米のパリと称されるほど、雰囲気のある街並みが美しい。訪れたら、ぜひ行っていただきたいところをいくつか紹介しよう。

世界で2番目に美しい本屋さんとして有名なエル・アテネオ書店(El Ateneo Gran Splendid)。2008年イギリス・ガーディアン紙で選ばれ、廃業した劇場を本屋に改装。横の観覧席で読書を楽しんだり、ステージがカフェになっていてゆったりとした時間が過ごせる
アルゼンチン・タンゴ発祥の地、港町ボカ地区。カミニートと呼ばれる小道は色鮮やかな建物やタンゴの名曲「カミニート」を作曲した画家が生まれた街であるため、絵画を売る画家たちが絵を飾っていて雰囲気がいい
アルゼンチンといえば、タンゴ。ブエノスアイレスには、食事をしながら観賞できるお店がいくつもある

(テキスト/写真 : 寺田昌弘)

[ガズー編集部]