メガウェブでダカールラリーフェス2016を開催

ダカールラリーに参戦し、市販車部門3連覇を達成したチームランドクルーザー トヨタオートボデーと、トラック部門10リットル未満クラスで7連覇を達成した日野チームスガワラがメガウェブに集結。今年1月に南米大陸を走破した興奮をそのまま日本でも体感してもらおうと2台のチャンピオンマシンがメガウェブを駆け抜けた。

世界一過酷なラリーを東京で体感

海外では人気の高いダカールラリーだが、さすがに日本から見て地球の裏側、しかも9,000kmも走破するモータースポーツイベントだけに、その魅力を日本で感じることは難しい。そこでダカールラリー日本事務局は、選手たちの声を少しでも日本のファンのために届けようと、昔から帰国報告会を実施していた。そして日本事務局代表の志賀さんとは、昔パリダカールラリーで最大の山場となるサハラ砂漠があるモーリタニア・イスラム共和国で一緒にNPO医療支援活動をしていた縁もあり、私がこのイベントを受け継いだ。2012年までチームランドクルーザー トヨタオートボデーのドライバーをしていて、選手としてダカールラリーの魅力を伝えていたが、翌年からもっとダカールラリーのおもしろさを体感してもらえるイベントとして「ダカールラリーフェス」をプロデュースしはじめた。2013年は、モト部門はチームHRC、オート部門はチームランドクルーザー トヨタオートボデーそしてトラック部門は日野チームスガワラと、日本を代表するチームが賛同してくれた。ホンダ・CRF450RALLY、トヨタ・ランドクルーザー200、日野レンジャーが豪快な走りを披露するだけでなく、四輪は同乗体験もでき、みな大喜びだった。そしてヤマハも歴代のパリダカマシンを展示してくれ、往年のファンを魅了した。

80年代中盤から90年代にかけ、しのぎを削ったホンダとヤマハのマシンをそれぞれミュージアムから送ってもらい展示。またダカールラリー主催者の救急車やテレビ撮影車として使われるトヨタ・ランドクルーザー70も展示(ダカールラリーフェス2013の模様)
ダカールラリーで何度も表彰台に上がり、母国ポルトガルでは、あのサッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手を抑えて、アスリート・オブ・ザ・イヤーになるほどのライダー、エルダー・ロドリゲス選手がこのイベントのために来日し、そのライディングテクニックを披露(ダカールラリーフェス2013の模様)
各イベントで披露されるようになったランクルジャンプは、このイベントから生まれた(ダカールラリーフェス2013の模様)
ランクルに負けじと片輪をジャンプ台に載せて飛ぶ日野レンジャー(ダカールラリーフェス2013の模様)

2016年はチャンピオンチーム同士の共演

2012年まで選手としてダカールラリーに挑んできた私は2014年より、プレスとして同行取材をするようになり、その現場での体験をイベントにも活かし、毎年春の恒例イベントとなったダカールラリーフェス。ただ今回は、ダカールラリー取材のあと、ほかのイベント準備が重なり、どうしようかと思っていたときメガウェブの小松さんより「日程を決めてありますから、ぜひ続けましょう」と温かい言葉をいただき、また日野自動車、トヨタ車体からも「今年は3月の何週目の日曜ですか」と、すでにこのイベントはみんなの楽しみでもあるイベントとなっていた。慌てて準備を始めたが、各参加企業のみなさんが、意欲的に準備をしてくれ、なんとか間に合った。前日のマシン搬入や会場準備に立ち会いながら、みんなで作り上げるイベントに成長したことを実感。あと自分に残された準備は、トークショーの台本やモニターに映す画像やロゴ制作だったので、なんとか徹夜で作り上げ、翌朝そのままメガウェブに乗り込んだ。

イベント前夜。20時を過ぎてから場内に日野レンジャーを搬入
館内でメカニックによる解体ショーをするためトヨタ・ランドクルーザー200を設置
深夜までかかって階段キットなど障害物を組み立てる。すべては本番当日にお客様にクルマのすごさを体感していただくために

豪快な走りに多くの観客が圧倒された

開館前から日野レンジャーの同乗体験の抽選券を取るために多くのファンが並んでくれている。11時とともにチームランドクルーザー トヨタオートボデーのランドクルーザー200に三浦昂選手が乗り込み、デモ走行を開始。三浦選手はトヨタ車体の社員で2007年にナビゲーターとしてダカールラリーにデビュー。部門優勝2回、2位3回とチームの勝利に貢献し、今回ドライバーとしてダカールラリーに挑み、優勝したチームメイトのマシンをサポートしながら見事完走した。開館と同時にふだんはトヨタの試乗車がゆっくり走っている試乗用コース、ライドワンを軽く100km/h以上で疾走するだけでなく、階段を下りたり、片輪を丸太に載せ、傾きながら越えて走る。それを外から観た通行人もメガウェブで何かやっていると次々に来館してくれる。

開館と同時に同乗試乗はもちろんトヨタ・ランドクルーザー200やトヨタ・FJクルーザーでの丸太&階段走行も大人気
階段を下るダカールラリー仕様のトヨタ・ランドクルーザー200と奥には丸太を乗り越えたりするノーマルのランドクルーザー200
直線を駆け抜けたかと思えば、急坂を上り階段を下り、丸太を乗り越え、大迫力の走りを披露
今回はデモ走行だけだったが、走りを観るだけでも、迫力が伝わり価値がある

日野チームスガワラは、お客様を助手席に乗せ、クラス優勝ドライバーの菅原照仁選手がドライブする日野レンジャーで駆け抜ける。乗用車サイズに設計されているライドワンのコースを大きな日野レンジャーで走ると、歩道橋やガードレールも近くなるが、それでも120km/hで駆け抜けるので、スリル満点。同乗したお客様は、みな大喜びだ。ただでさえこの日野レンジャーの走行シーンを生で観る機会も少なく、ましてそれに乗って走るのはとても貴重な体験だ。さらに1本で100kg以上のタイヤを交換するデモンストレーションを披露。小柄なメカニックが器用にタイヤ交換をしながら、日野自動車の社員でダカールラリーを担当する諏訪さんやナビゲーターの杉浦選手が解説してくれるので、お客様も見入っていた。

日野レンジャーの豪快な走り。1階の観覧エリアだけでなく、歩道橋にも多くの見物客が。それにしても、後ろの狭い歩道橋の支柱の間を120km/hで潜り抜けてくるのは、観ているだけでゾクゾクする
選手や日野自動車の社員が、同乗試乗を盛り上げるために解説だけでなく、インタビューまでしてくれる。これが実にうまい
100kg以上あるタイヤを脱着する手順を解説しながら披露する。一部始終を動画で撮影するお客様も

また全国で開催され大人気のトヨタSUVオフロード同乗試乗会も開催。トヨタ・ランドクルーザー200やトヨタ・FJクルーザーの助手席や後部座席に乗って、階段を上り、丸太を越えたりするとクルマは前後左右に30度近く傾くが、それでも安定した走りをみせる。乗った方は、ノーマルでもその走破性の高さに驚き、基本性能が高いからラリーで優勝できるのだと実感していた。そしてトヨタ・ランドクルーザー70の乗り込み体験で、クルマが逆さまに180度回転する「てんとうくん」も大人気。こうしてふだん体験することがないクルマの3次元的な動きにみな大興奮だ。

丸太の障害物に乗り上げ、タイヤが一輪浮いても走破するノーマルのトヨタ・ランドクルーザー200。その横を日野レンジャーが疾走する
いとも簡単に階段を上っていくトヨタ・FJクルーザーと片輪を丸太に乗せ、30度近く傾きながらも安定して走るトヨタ・ランドクルーザー200
ゆっくりと真っ逆さまになる体験ができる「てんとうくん」も毎年人気。本来はクルマが転倒したときに、シートベルトを外し、車内から脱出するための訓練装置だが、ここではアトラクションのひとつとして楽しむ

館内ではトークショーや子供向けコンテンツも

やはりこのイベントには親子で来てもらいたいと、子供向けコンテンツとしてトイラジコンメーカーのCCPが協力。チームランドクルーザー トヨタオートボデーのトヨタ・ランドクルーザー200仕様のラジオコントロールカーで、凸凹道もあるコースを走らせるコーナーを用意した。子供たちは実物のラリーマシンがあるすぐそばで、同じ形のラジオコントロールカーを走らせて、ダカールラリードライバー気分になれる。あまりの楽しさにそのまま隣のヴィーナスフォートにある玩具店へ買いに行く方までいた。チームランドクルーザー トヨタオートボデーはこのコンテンツ横で、メカニックたちがバンパーからフロントフェンダーまで外すデモンストレーションを披露。トヨタ自動車の社員でダカールラリーに2回参戦した内さんが解説し、福岡トヨタからメカニックとして参加している前田さん、小田さんが作業をした。タイヤ交換であれば、一般の方でもスタッドレスタイヤに履き替えたりして、どのように作業をするのかわかっている人もいるが、さすがにバンパーやフロントフェンダーが簡単に脱着している光景に驚いていた。

実物のトヨタ・ランドクルーザー200のそばで同じ形のラジオコントロールカーで遊ぶ。大人も子供もここではライバル
やはり子供たちに大人気のトヨタ・ランドクルーザー200のラジオコントロールカー
トヨタ自動車の社員、内さんが解説しながらタイヤ交換からバンパー、フェンダーの取り外しをするランクル解体ショーも盛況
ラリー仕様のトヨタ・ランドクルーザー200も同乗体験を実施。子供たちもここから地平線の向こうに夢をみてもらいたい

そしてクルマをテーマにしたバーチャル体験ができるメガシアターでは、以前ラリーをテーマにしたコンテンツがあったものを、この日1日だけ復活させた。ジャングルや砂漠、山岳路を走る映像のなかには、チームランドクルーザー トヨタオートボデーの前身であるトヨタチームアラコ時代のトヨタ・ランドクルーザーが走っていて、ここでもラリーをバーチャルに体感した。

メガシアターでは1日かぎりで「ロードマスター」を復活。砂漠やジャングルを走るバーチャル体験ができた

今年のダカールラリーを戦ってきた両チームによるトークショーを開催。MCには昨年スーパーGT GT500に参戦したレクサス チームルマン エネオスのレースクイーンをし、お嫁さんにしたいレースクイーンNo.1に選ばれた渡辺順子さん。MC歴は浅いがこのイベントは、キャスト全員で作り上げながら成長していくことも目標なので、渡辺さんも直前までダカールラリーのことを勉強し、観客と同じ気持ちでトークショーに望んだ。私はMCのアシスタントとして壇上に上がった。日野チームスガワラの2号車は、最高で区間総合4位につけることもあり、ドライバーの菅原照仁選手は、着実にマシンを改良していくと控えめなコメントをしたが、その言葉の奥には確固たる自信がうかがえた。またチームランドクルーザー トヨタオートボデーは、度重なるマシンの転倒で修復するのにスタート時刻ギリギリまでかかって直した話や社員ドライバーの三浦選手が、いつかドライバーをしたいとずっと思っていてやっと夢がかなったことなど話した。ダカールラリーの選手はみな地平線の向こうに栄光があることを知っている。だからそこまでチーム一丸となって目指す。そんなモータースポーツに挑む姿勢が、観客の心に届いていた。

日野チームスガワラとチームランドクルーザー トヨタオートボデーが一堂に会したトークショー。両チームがたくさんのプレゼントを持ち込んでくれたので、観客の多くがチームグッズや日野レンジャー同乗体験の権利をゲットして大喜び
チームランドクルーザー トヨタオートボデーの三浦選手は、小さい頃からのドライバーになる夢を実現できたことを子供たちの勇気になるよう熱く語った
日野チームスガワラの2号車ドライバーの菅原照仁選手(右)と杉浦選手のコンビは磐石。このコンビが日野レンジャーを表彰台まで運んでくれる日も近い。MCの渡辺さんの初々しいトークに、男子は皆ニコニコだ
日本が世界に誇るダカールの鉄人、菅原義正選手。日野レンジャーが25年連続完走しているのはマシンの信頼性の高さと菅原選手の緻密な戦略によるものだ

来場者数は24,400人(メガウェブ発表)。ダカールラリーは遊牧民のようにみんなで移動しながら生活をしているので、家族のような不思議な感覚がある。日本を代表するチームは、お互いに助け合いながらイベントを盛り上げてくれ、今回も多くの方々に喜んでいただけた。来年も日野チームスガワラ、チームランドクルーザー トヨタオートボデーのみなさんとともにダカールファミリーの一員として「もっといいイベント作り」に挑んで行きたい。来年もダカールラリーでの両チームのすばらしい走りを応援し、みなさんと一緒にメガウェブのダカールラリーフェスで両チームを迎え、日本で唯一のダカールラリーイベントをまた楽しみたい。

チームランドクルーザー トヨタオートボデーの三浦選手によるデモ走行時は、同チームメカニックだけでなく、日野チームスガワラも手伝ってくれる。少しでも多くの方にダカールラリーを感じていただこうと、キャスト全員でイベントを盛り上げる
今回のイベントを盛り上げてくれたチームとサポートしてくれたメガウェブのスタッフ。これからもみんなと力を合わせ「もっといいイベント作り」に挑む

(写真:寺田昌弘・芳沢 直樹)
(テキスト:寺田昌弘)

[ガズー編集部]

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