トヨタの新入社員 クルマのおもしろさにびっくり!「TMF」

トヨタ自動車の社員が、今年入社した新入社員を誘って一緒にクルマを楽しむイベント「TMF(楽しいモーターフェスティバル)」を4月23日に愛知・さなげアドベンチャーフィールドで開催。新入社員約250名と先輩社員、チーフエンジニアなど有志約50名の総勢約300名が、歴代のランドクルーザーに乗ったり、チーフエンジニアのトークショーを聴いたり、BBQで同期の親睦を深めたりとアウトドアでクルマを楽しんだ。

レクサスNX、RX、LXがお出迎え

TMFはもともと、5年前に入社した技術系社員が、休日をクルマで遊ぼうと同期5人で思いついて、社内の同期に声をかけ、70人で美浜サーキットを借り切って走行イベントをしたことから始まる。以降クルマの内部まで見てみようとプリウスを分解したり、サーキットを走ったことのない同期に経験者が教えたりと同期で盛り上がった。そして今度は自分たちと同じように自動車メーカーに入社した新入社員にも、クルマをもっと楽しんでもらうきっかけを作ろうということで現在のイベントになった。寮に来た新入社員を誘ったり、SNSを活用して案内し、毎年多くの新入社員が集まるが、7回目となる今回は約250人が参加した。今回はオフロードでの、クルマの悪路走破性の高さを体感してもらうために、さなげアドベンチャーフィールドで開催。またレクサスならではのSUVも実物を見てもらおうと、LX、NXそしてRXを借りて芝生の上に展示して、新入社員が来るのを待つ。

イメージはアメリカのペブルビーチ・コンクール・デレガンス

新入社員が続々と集まってくると、レクサスはもちろんランドクルーザー200、そしてダカールラリーに挑んでいるチームランドクルーザー トヨタオートボデーのラリーカーにも興味津々に取り囲む。そして熊本地震で犠牲になられた方へ黙祷を捧げてから開会した。今回はクルマを楽しむだけでなく、BBQで新入社員どうしの親睦も図ってもらう企画だが、毎回BBQのときは、ゲームをやって食べられる肉のグレードを決める。腕立て伏せを何回できるか競う体育会系のものから、題目に瞬時にコメントし250人の仲間をあっと言わせる頭脳系ゲームもあり、とても盛り上がる。食べる肉も決まったところで、さっそくBBQとクルマを楽しむコンテンツが開始された。

ランドクルーザー200はランドクルーザーシリーズのチーフエンジニアの小鑓貞嘉さんが、休日にも関わらず、後輩のためにと乗ってきてくれた
BBQ開催時には恒例となった<いいお肉争奪ゲーム>を開催。このイベントのアイスブレイクとして定着してきた

電子デバイスのないクルマで基礎を体感

ランドクルーザー40、60、70。こちらの助手席に乗ってもらい悪路走破性の高さを体感してもらう。ドライバーはふだん車両技術開発部やディーラー勤務など、トヨタに関係した仕事はしているものの、ランドクルーザーが好きな仲間があくまで休日のボランティアでお手伝いしている
開始とともに長蛇の列が。BBQの合間に乗ってもらうので、待ちくたびれることもなく安心のスケジュール。1台あたり50人に乗ってもらう予定
助手席に乗っただけでテンションの上がる参加者。オフロード走行未経験者ばかりなので、運転するスタッフもなぜかテンションが上がる
「こんな古いランクルでも、こんな岩を登っていっちゃうんですか!」と驚きっぱなしの参加者。ドライバーは車両技術開発部の米谷大輔さん
タイヤが岩を越えるたびになぜか笑い声が出る参加者。車内は大盛り上がり
岩石路を走ったり、ぬかるみを走ったりと、遊園地のアトラクション感覚で楽しむ
ランドクルーザーに乗る前に、こうして1/16サイズのランドクルーザー200の、ダカールラリー仕様車ラジオコントロールカー、Gドライブエコ(株式会社シーシーピー)で遊べるコーナーも
タイヤより大きな岩石を乗り越えていくランドクルーザー70を運転するのは、車両技術開発部のシニアエキスパート、上野和幸さん。プライベートで参加しているので、新入社員は社内の凄い人が運転する横に乗っていることに気づいていない
「こんな大きな岩も乗り越えるんですか」と驚く参加者
岩石路を越え、安堵と興奮が込み上げてきて思わずカメラ目線になる参加者
私も愛車のランドクルーザー70でお手伝い。97年にパリダカールラリーに参戦したときのクルマなので、ちょっと飛ばしてダートを走ってみる
細くうねった林道を走る。「ジェットコースターみたいで楽しい!」と大喜び
ダカールラリーをはじめ、様々な大陸で様々な道を走ってきたときの話をしながら走って盛り上がる。「スポーツカーに興味がありましたが、ランクルに初めて乗ってその凄さがわかりました。欲しい!」と、そのランドクルーザーの世界観と走破性の高さに一気に魅了された参加者
全開で下りながらドリフト。見た目のおとなしさとのギャップがあったのか、絶叫しながらも楽しんでいる参加者。女性は強い
さなげアドベンチャーフィールドは、スタッフがメガクルーザーを運転し、オフロードクルーズ。まずこれがトヨタのクルマであることにびっくり。そしてタイヤを浮かせながら悪路を走破していくことにさらにびっくり
ランドクルーザープラドやFJクルーザーの運転席に新入社員に乗ってもらい、自分で運転してもらう。助手席に乗る、さなげアドベンチャーフィールドのキャリアパートナー、梅本米次さんは、もともとトヨタでエスティマやライトエースなどのシャシー設計をし、トヨタ車体で初代コムスの主査をしていた凄い方。これにも新入社員は気づいていない

BBQで親睦を図り、チーフエンジニアの話を聴く

BBQの席順は先輩社員がランダムに決めているので、まったく初めて話す参加者どうしも多い。最初は緊張しながらも、徐々に仲よくなって盛り上がってくる。これから会社で「同じ釜の飯を食う」仲間として最高の思い出になることだろう。

250人ともなるとBBQ場に入りきらないので、テーブルを増設。
BBQを楽しむ。料理を作ることも初めての共同作業で盛り上がる
共同作業は打ち解けやすいし、みんなの性格も出ておもしろい

ひとしきり食べたり、乗ったりして盛り上がっているなか、さらに憧れのチーフエンジニアの話が聴けるコーナーも。今回はレクサスNX、RXのチーフエンジニアの加藤武明さんとレクサスLXそしてランドクルーザーシリーズすべてを統括するチーフエンジニアの小鑓貞嘉さんが、後輩のためにと、休日にもかかわらず参加してくれた。これには新入社員も大喜びだ。

加藤チーフエンジニアのところへ自ら質問しに行く活発な新入社員
加藤チーフエンジニアが話し始めると、みなどんどん集まってきて聞き入る。まさしく青空教室
小鑓チーフエンジニアは自らランドクルーザー200に乗ってやってきた。すると周りを新入社員が囲んで質問攻めに。この前向きさがいい
小鑓チーフエンジニアが手掛けるLXとランドクルーザー200

たくさんの「WOW」があった。これからの飛躍に期待

ランドクルーザーなど悪路走破性の高さに驚き、レクサスのSUVの存在感に圧倒され、チーフエンジニアの話により会社での具体的な夢を描けるようになった。そして何より同期と仲よくなって、クルマの話で盛り上がった。その光景を見ながら、このイベントを立ち上げ、今も毎年新入社員のために企画運営をしているボデー設計部の行木宏さんは「人が歩いて登ることでさえ大変な岩場を、難なく走破するランドクルーザーを体感して、目を輝かせて、自然と口から凄い!こんなところ走れるのとびっくりしてくれたのがうれしかったです。このイベントはきっかけに過ぎませんが、これからクルマ創りを担う若手が、どんな性能が求められるのか、どんなクルマにしたいのかを考えるきっかけになればと思っています」と言う。また同期のボデー先行開発部の森基泰さんは、新婚の奥様の恵理子さんにも手伝ってもらい、BBQ用の野菜切りなどほぼ徹夜で頑張った。こうして先輩たちの気持ちと行動、そしてその思いに共感したチーフエンジニアや様々な部署の先輩とランドクルーザーでつながっているオフロードのスペシャリストがボランティアで協力する、みんなの思いがつまったイベントは、きっと新入社員にとって忘れられない体験になったことだろう。この日さなげアドベンチャーフィールドに集まったすべての人が、クルマって楽しいと実感し、もっとクルマで楽しみたいと欲が湧いていた。

最後はじゃんけん大会で盛り上がる。参加賞はチームランドクルーザー トヨタオートボデーより今年のダカールラリーで市販車部門3連覇した映像満載のDVDとレポートを全員にプレゼント
じゃんけんで勝ち上がった参加者には、ランドクルーザー200ダカールラリー仕様車のラジオコントロールカー(Gドライブ エコ/CCP)や加藤チーフエンジニアサイン入りレクサスの帽子や小鑓チーフエンジニアのサイン入りランドクル-ザー本などプレゼント
左上/最高のBBQ日和で気分も上がる 右上/実行委員の行木さん。幼少の頃から乗り物が大好きで、学生時代はあの鳥人間コンテストの人力飛行機の製作(コックピットの設計製作)を担当したことも。欧州のスーパーカーを超えるブランドのマシンを作ることと、空飛ぶクルマを作ることを目標としている。すでに社外活動で自動車業界の若手を中心に有志で「Cartivator」というチームを作り、試験を進めている 左下/初回からずっと実行委員を務める森さんも、このイベントにかける思いは熱い。新婚だが奥様とともに準備から当日の司会、進行、野菜切りまで尽くす 右下/朝までかけて実行委員で野菜切りなどBBQの準備をした。金曜の仕事を終え、それからほぼ徹夜で準備した

参加した新入社員は、「クルマがこんな悪路を走るなんて初めて体験してびっくりした」とか「チーフエンジニアの新入社員だった頃のお話が聴けてとても勇気が湧いてきた」などみなさんオフロード同乗の車内でカラダがゆすられただけでなく、ハートもかなり揺さぶられていた。そして何より「早く自分が乗りたいクルマを作ってみたい」と目標がはっきりしてきたという人が多かった。これからのもっといいクルマ作りは、彼らにかかっている。今日の彼らの笑顔と目の輝きを見ていたら、きっと未来のクルマはもっと楽しくなると感じた。頑張れ!新入社員のみなさん!

今日のクルマに乗った興奮、感動したチーフエンジニアの話、そして何より先輩たちが徹夜で準備してくれた感謝の気持ちを胸に、バッターボックスに立ってフルスイングを

(写真:木村修二・石川 正芳・寺田昌弘)
(テキスト:寺田昌弘)

[ガズー編集部]