地球には、ランドクルーザーしか走れない道がある。 モノ・マガジンで熱いランクルトークショー開催
こだわりのモノを紹介してくれるモノ・マガジンが、5月3日(水・祝)から8日(日)まで5日間限定のリアルショップ「mono横丁」を東京・秋葉原近くの「マーチエキュート 神田万世橋」で開催した。「いまだけ、ここだけ」をテーマに、ガード下のおしゃれな空間にこだわりの一品、掘り出し物の逸品が並ぶ、モノ・マガジンならではのイベント。モノだけでなく、連日トークショーが行われ、5月3日はトヨタ・ランドクルーザーの開発責任者、小鑓貞嘉チーフエンジニアとランドクルーザーを30年以上撮り続けているカメラマン、難波毅さんのスペシャルトークショーがあった。
- 少年の心をくすぐるモノが並ぶ
国内外こだわりのメーカー、ブランドが多く並ぶ会場は、まさしく逸品の横丁。まず目に留まったのが中古LPレコードの数々。昭和を代表するアイドルを中心に今となっては貴重なレコードの数々にびっくりしました。オープン当初から、多くの方々がお目当てのレコードを探す。まるで宝探しでもしているかのような、わくわくした顔がとても印象的だ。その隣には、真空管が並ぶ。こちらは真空管アンプならではの音の独特の歪み、温かみを楽しむファンにとってありがたい。お客様は年齢の高い方が多かったが、最近、若い世代がデジタルカメラではなく、使い捨てフィルムカメラを新しいものとして楽しんでいるように、真空管アンプならではの音を、新しい音として楽しんでもらえる日が来たらいいなと思う。「mono横丁」はそんな新たなモノとの出会いの場としてとても貴重だ。
- 懐かしいレコードを観ながら、お目当ての歌手のアルバムを探す
- 真空管オーディオを扱うサンバレーは、豊田自動織機の100%子会社ということには驚いたが、モノへのこだわりをみれば頷ける
またクルマ好きの心をくすぐるミニカーも展示、販売され、玩具店では見られないこだわりのモデルがある。インターアライドのハイ・ストーリーは、ミニカーにあまりなっていない国産名車を1/43で再現してくれている。これはうれしい。たとえばトヨタ・2000GTはなく、スプリンターカリブがあったり、日産はR32スカイラインがないのにサニーカルフォルニアがあったり、ダットサンピックアップにいたっては、ロングボディ、DXなどボディサイズ違いまでラインナップされている。
- 「よろしくメカドック」や「シャコタン・ブギ」など漫画に登場したクルマのミニカーもある
- ミリタリーグッズなどモノ・マガジン読者に人気のある製品も並ぶ
さあ、ランクルを熱く語ろう
モノ・マガジン2017年3月2日号で「【総力特集】近道したくないクルマ ランドクルーザー大図鑑」が特集され、あらためてランドクルーザーをモノ・マガジン視点で丸裸にしたことが、読者に大反響を生んだ。そして今回、ランドクルーザーの開発責任者、小鑓貞嘉チーフエンジニアと難波毅カメラマンのトークショーが開催された。
- 「近道したくないクルマ ランドクルーザー大図鑑」の特集号。表紙のイラストは、ランドクルーザーを生産しているトヨタ車体のデザイナーが個人的にチョークアートのような手法で描いたもの
- トークショーはとてもなごやかな雰囲気
ランクルは地球上で最後に残るクルマ
1951年から66年に渡り、世界中に轍を残しているランドクルーザー。中東、アフリカ、オーストラリア、ロシアを中心に市街地から大自然そして未開の大地まで奥深く走る。
「ランクルは、信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを代々追求しながら作っているクルマです。バンタイプはそのまま愚直に作り上げていきますが、ワゴンタイプはそれに快適性、安心を高い次元でもたらすよう作っています」。
- 小鑓貞嘉(こやり さだよし)
1959年京都府生まれ。1985年にトヨタ自動車へ入社。ハイラックス、ランドクルーザープラドのサスペンションを担当し、2007年からランドクルーザーのチーフエンジニアとして開発を指揮する。入社以来30年以上一貫してラダーフレーム車の設計・開発を手掛けてきた。大学時代から始めたラリー競技は社会人になってからも続け、17年間参戦し続けるほど走るのが好き
これだけ歴史があり、開発責任者も何代も変わっているが、小鑓さんは前任者から細かな申し送りはなく、自分が思うランドクルーザーを作ってくださいとだけ伝えられたと言う。「ただ変わらぬ信条があります。それは<ランクルは、地球上で最後に残るクルマであると認識し、開発に臨むべし>ということです」。
- 想定を超える用途でも使用されることもあるランドクルーザー
確かに私が以前、サハラ砂漠の奥地で医療支援活動をしていたとき、首都ではいろんなクルマが走っていたが、ある程度砂漠のなかの町へ行くと、4WD車だけになり、さらに奥地の村へ行くと、ランドクルーザーとラクダしか移動手段しかなかった。
「行きたいときに、行きたいところに行けて、必ず帰ってこられることが、ランクルの使命です」。
- 作り手の思いを真剣に伝える小鑓さん
- ボンネット近くまで水に浸かっても走るランドクルーザー。シュノーケルがあるので吸気も大丈夫
シンプルな言葉だが、これを達成するにはたくさんの知識、知恵が必要だ。そして現場での実体験や使われ方を知る必要がある。小鑓さんは、世界中を自分の足で巡り、ユーザーに直接会って話を聞き、現場を見て回る。ランドクルーザーが欲しいというユーザーはもちろん、ランドクルーザーでなければならないという過酷な生活環境へも飛び込んでいく。
- 参加者の驚く顔に思わずうれしくなる
- 大砂丘も難なく下る。道なき道を走破する。まさしくランドクルーザーの真骨頂
「新しいランドクルーザーを作るには、およそ5,000人近い方々が関わっています。その全員が信条をもとに、もっといいランドクルーザーを作ろうと思いを込めて開発、生産します」。66年に亘ってこれだけの思いが詰まったランドクルーザーは、もはやトヨタでしか作れない。
「ランクルは人の命、荷物を運び、そして夢をかなえてくれるクルマです」。
ランドクルーザーは、どんなところでも移動できる自由はもちろん夢見る自由まで広げてくれるクルマだ。
ランクルのすばらしさを知ってもらいたい
新聞社でカメラマンをしていたときに買った1台のランドクルーザーが、難波さんの人生を変えた。フリーランスとして独立し、愛車とともにオーストラリアへ。そこで見た大自然の風景のすばらしさ、そしてランドクルーザーに心打たれた。
「ランクルは、日本で生まれ、オーストラリアで育ったと思っています」。
- 難波毅(なんば たけし)
日本経済新聞社カメラマンを経て1986年に独立。愛車のランドクルーザー(BJ41V)をオーストラリアへ運び、半年かけて旅をしながら奇岩・奇景を撮影し、その後オーストラリアを中心に世界中のランドクルーザーの使われ方などを30年近く取材している
- 過酷な現場で働くランドクルーザー
オーストラリアは、高速で走れるフラットダートから洗濯板のように凹凸が延々と続くコルゲーション、砂漠、岩石路、泥ねい路、渡河などクルマにとって過酷な環境が日常的にあり、アウトバックに入れば走れるクルマも限られる。難波さんはランドクルーザーを自分でドライブしながらオーストラリア各地で、その走破性の高さを身をもって体験し、現地でランドクルーザーのオーナーに会ってその絶対的な信頼性を感じ、走行距離を見て耐久性の高さに驚いた。
- 世界の現場で取材してきたことを熱意を持って伝える難波さん
- 地球には、ランドクルーザーしか走れない道がある
「ある鉱山を取材に行ったことがあります。そこでは、地下1,500m以上深いところで働くランクルがあります。一度地下に入ったらずっと地下で働き続けます。ここはランドクルーザーしかその過酷な使用に耐えられない」。 24時間高温多湿な過酷な環境。その多くが金属で構成されるクルマにとって、最も過酷な環境下のひとつだ。
「走れなくなるまで働き、その後は使える部品だけ取り出し、ほかのランクルが故障したときに移植され、また走る。これは鉱山の地下だけでなく、アフリカの奥地など世界中で行われています。ランクルは世界中で愛される長い歴史のなかで、同時に世界中にランクルの部品があり、仮に故障しても修理して帰って来られます」。 大きく部品を変えない普遍性が、高い信頼性を生んでいる。難波さんは世界各地で走るランドクルーザーを取材するだけでなく、生産工場を何度も取材し、絶対的な確信を持っている。
「最も信頼している道具のひとつで、家族の一員です。このランクルのすばらしさを母国である日本でもっと知ってもらいたいですね」。
- ランドクルーザーのすばらしさに共感してもらい、思わず笑顔に
- 底引き網を牽いたり、獲れた魚を荷台に載せて街まで運ぶ
2014年にランドクルーザー70が誕生30周年を記念し、日本で限定発売された。その発表イベントのために難波さんはランドクルーザーに乗る仲間たちに声をかけ、歴代のクルマを展示し、イベントに花を添えた。
「平日にもかかわらず、報道関係者だけでなく、一般の方々が多く駆けつけたことには驚きましたし、とてもうれしかった」。
発表会はお台場・メガウェブで開催されたが、当日、駐車場には多くのランドクルーザーが停まっていた。難波さんと同じ思いを持つランドクルーザーのオーナーが日本にもたくさんいた証明だった。
- トークショー会場限定でTシャツや非常食が販売された
モノとしてすごいランドクルーザー
今回のリアルショップ「mono横丁」イベントについて、モノ・マガジン編集部の前田賢紀編集長は、「モノ・マガジンはヒト・モノ・情報をつなぐものと思っています。だからこだわりのモノを実際見て触れてもらうために、実際作っている方々に参加していただき、来場者に伝えてもらおうと企画しました」。昨年秋に初めて開催したが、反響が大きく今回2回目を開催した。
- モノ・マガジン編集部 前田賢紀編集長
ランドクルーザーもチーフエンジニア自ら来場者に伝えていただきたいと依頼し、トークショーが実現した。モノ・マガジンでは珍しい、単一ブランドによるクルマ特集の反響が大きかったからだ。「特集号の反響はここまでランクル好きが多いんだと正直驚きました。私はミニカーコーナーを担当しましたが、現行車種でこれほどミニカーなど玩具が多いクルマはないでしょうね。それだけいろんな分野の作り手が作りたくなる道具ですね、ランクルは」。
- ランドクルーザーのピックアップはミニカーでも高い人気を誇る
日本が生んだ世界で愛されるモノ、ランドクルーザーは母国でもやはり大人気だった。
(写真:難波毅・寺田昌弘・トヨタ自動車)
(テキスト:寺田昌弘)
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