愛車の『ナナマル』をリフレッシュ!クラシカルだけどピカピカに
5月にDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)などを装着し、PMやNOxを低減し、排ガス試験に合格して、晴れて都内でも登録できた愛車の“ランドクルーザー70”(通称:ナナマル)。1996年に購入し、「パリダカールラリー」を走り、23年が経ちます。
その多くの時間を、屋根なしの駐車場に停めていて、オフロードもよく走っていたので、さすがにボディもサスペンションも古さは否めません。逆にエンジンや駆動系、ラダーフレームはまったく問題なく、これがどんな過酷な環境でも「ランクルは生きて自宅まで戻ってこられるクルマ」と言われる所以だと実感しています。
これからも“ナナマル”はずっと乗っていきたい。そこでここで思い切ってリフレッシュして一生乗っていけるようにしようと思いました。今回はその模様をお届けします。
まずは足回りをリフレッシュ
私の“ナナマル”のサスペンションは、前後ともリーフスプリング。「パリダカールラリー」に参戦した1997年は、純正リーフスプリングにさらに純正リーフスプリングを1枚増していました。その後、日本で乗るようになってからは、そのままでは硬いので、オーストラリアのブランドのリーフスプリングとショックアブソーバーにしました。
オーストラリアで好まれるのは、フラットダートを高速で走るセッティングで、耐久性が高いのが特徴です。約10万km走行し、ショックアブソーバーは5万kmで交換しましたが、リーフスプリングは機能しています。ただ錆が多く出てくるようになり、また、確かにヘタってきたので、今度はジャパンブランドから探しました。
高速道路で小さな凹凸を抑え、オフロードでモーグルを走るときなど、ゆっくり大きな力がかかるときは柔らかく、速く強い衝撃がかかるときは、しっかり踏ん張ると“ナナマル乗り”の間で人気があるテイクオフの「ベルリンアイスプリング」を選びました。
ショックアブソーバーは低速では柔らかく、強い入力には硬く対応し、比較的リーズナブルなPRO COMP ES9000。装着すると約3インチ(約7.62cm)リフトアップします。ボディーとのクリアランスが広くなるので、サスペンションがより縮みやすく、またアプローチ、デパーチャーアングルが大きくなり、モーグルなど走ったときに、バンパーが当たりにくくなります。
- 本来は純正基準で2インチアップのサスペンションでしたが、リーフスプリングの弾性が劣化し、1.5インチくらいになっている
- サスペンションを交換することで約3.5インチアップ。しかしドア斜め左下の錆が気になる
- 今回装着したテイクオフのベルリンアイスプリング。両端を輪状のベルリンアイにすることで応力をうまく分散して走破性を上げる(黄色いウレタンブッシュは別売)
- キープスラントデザイン アクティブシャックルTYPEブーメランⅡ130mmナロータイプ。リーフスプリングを守りながらスキッド性のあるデザインが人気
- PROCOMP SHOCKS ES9000。ツインチューブの高圧ガスショックで、減衰力がゆっくりした入力では柔らかく、強い衝撃や高速では硬くなる。リーズナブルでありがたい
そしてタイヤは、「BF Goodrich Mud Terrain T/A KM3」。Team Landcruiser TOYOTA AUTO BODYでダカールラリーに参戦していたとき、“ランドクルーザー200”に装着していたのが、このタイヤで絶大な信頼を置いています。特にトレッドの強さとしなやかさが気に入っています。
トライアル競技などに出場するのであれば、もう少し柔らかめのコンパウンドがいいかもしれませんが、日常的に一般道を走る距離のほうが長いので、トータルで考え、このタイヤにしました。
- BFGoodrich マッドテレーンT/A KM3。Baja1000やダカールラリーで鍛え上げられた信頼のタイヤ。デザインもマッシブでかっこいい。サイズは7.50R16LT
- 大型のトレッドブロックで石噛み抑制、排土性もよく、コンパウンドも岩場でも合う特にオフロードでオールマイティなトレッド
これらサスペンションとタイヤを装着し、実際モーグルを走ってみると、ボディーを水平に保ちながら、サスペンションがしっかり伸縮し、地面をとらえてくれます。タイヤは排土性もよく、ぬかるんだ路面でもしっかりグリップしてくれます。そして高速道路も走ってみましたが、路面の繋ぎ目や小さな凹凸をうまく吸収してくれるので、リーフスプリングのサスペンションでも長距離走行がかなり楽になりました。
- ボディーを水平に保ちながら、サスペンションがよく動くようになった
- この『ナナマル』は前後リジットアクスルで片側が縮めば反対側を伸ばして接地性を上げトラクションがかかる。それにしても幌がボロボロ・・・
- 交換前のサスペンションでの状態。リヤタイヤは目一杯沈み、フロントサスペンションはシャックルが垂直になっている
- 交換後は、リヤの縮みは余裕があり、フロントのシャックルの角度も余裕があり、同じ地形でも余裕の走りができる
新しい幌にするはずがFRPトップに
元々、この“ナナマル”のルーフはFRPトップでした。オフロードで楽しむために、少しでも車重を軽くしようと幌に替えて乗っていたのですが、普段の仕事の足としても使っていたため、セキュリティ面が不安で、荷物を車内に置いたままにできないのが面倒でした。
車検証さえカバンに入れて、持って降りるくらいでしたから。しかしFRPトップの新品はすでになく、あきらめかけていたところ、オークションサイトに程度のいいFRPトップが出品されているのを見つけ、板金、塗装も手掛ける4WDプロショップのクレイジークラフトの岩崎さんとトラックに乗って引き取りにいきました。
せっかくきれいに塗装してもらうFRPトップをつけるのなら、色褪せたボディーのままだとおかしいので、思い切ってボディーも全塗装。これだけ年数が経つと、ボディサイドなど錆が進行していて、これも一気に治してもらいます。古い“ランドクルーザー40”や“ラングラー”、“ジムニー”など、特に4WD車を多く手掛けているクレイジークラフトだけに、この“ナナマル”もどこに錆が出やすいかなど、よくわかっていて、仕上がりも大満足です。
- まずは部品を外して板金を開始
- オークションで入手したFRPトップはシルバーで、ボディに合わせてホワイトに塗装。そして組付けた
シートも新調して快適度アップ
サスペンションを替えて、格段に乗り心地がよくなったら、欲が出てきてシートも替えたくなりました。さすがに15年以上も使っていると、スポンジが機能せず、長距離走行では辛くなっていました。
また、路面からのインフォメーションを体感するために、シートはとても重要です。今まで“ナナマル”と同じ、旧アラコ製のAARストリートスポーツでしたが、「全日本ラリー選手権」で乗っている“LEXUS RC F” や「TRD Rally CUP」で乗っている“TOYOTA86”は、どちらもBRIDEなのですが、これがフィット感がよくとても気に入っています。
ただ、“ナナマル” で競技に出るわけではないので、フルバケットシートまで必要がなく、カタログを観ていたら、ぴったりのシートがありました。「STREAMS」シリーズです。
さっそく、自宅近くの“GR Garage東京深川”で装着してもらいます。翌日さっそく300kmをノンストップで走ったのですが、お尻も腰もまったく痛くならないのに驚きました。背骨が自然なS字になるようにバックレストがデザインされ、腰椎への負担を軽くしてくれているのがすぐ体感できます。
また、オフロードを走る場合、ダカールラリーのように高速で強い衝撃を受けながら走るのであれば、フルバケットシートのほうが体が振られず、目線もぶれにくいので安全にドライビングができますが、ゆっくりモーグルを越えたり、岩石路を登ったりするときは、体を動かして、進行方向の障害物を事前に確認したりするので、セミバケットが便利です。
そして、サスペンションでリフトアップして、乗降位置が高くなったので、腿部はホールド性を確保した状態で、できるだけ低いほうがよく、STREAMSは乗降性を優先しホールド性を保つギリギリの高さにしています。何回も乗り降りするので、これは大きなメリットです。リフトアップしているランクルには、特におすすめのシートです。
- トヨタモビリティ東京は都内で4店舗展開するGR Garageのひとつ、“GR Garage東京深川”へ
こうしてリフレッシュした“ナナマル”。先日、ETCカードを、もう1台の愛車のプラドに差し込んだままで持っていなく、首都高を一般ゲートから入ったのですが、ゲート係員に「これはかっこいいクルマですね!」と声をかけていただき、驚きました。一期一会でもインパクトとワクワク感が伝わるクルマ。これからもずっと大切に乗り続けていきます!
- 久しぶりにFRPトップとなりきれいに仕上がった『ナナマル』
- スクエアなスタイリングで愛嬌があり、それでいてタフなところが『ナナマル』の魅力
(写真:寺田昌弘・岩崎信康/テキスト:寺田昌弘)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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