ランクル70の次期モデル!?東京オートサロンで見つけた「The New GTG Land Cruiser Concept」

トヨタで最も長い歴史を持つブランド、ランドクルーザー。
1951年8月1日、トヨタジープBJ型の発売以降(1954年にランドクルーザーと命名)、68年が経ち、グローバル販売台数が1,000万台を超え、世界約170ヶ国の国や地域で活躍しています。

型式では20系に始まり、40系となり、ワゴンとして55系が派生し、バンが70系へ引き継がれました。ワゴンはその後、60系、80系、100系、そして現在の200系となります。バンは70系のまま今に至りますが、途中、ここからもワゴンが派生し、70系ワゴンは国内ではランドクルーザープラドとして、70系、90系、120系、そして150系となります。

ランドクルーザーのフラッグシップとして、ステーションワゴンの200系、ヘビーデューティーの70系、ライトデューティーの150系と3タイプがラインナップされています。

ランドクルーザーの系譜
ランドクルーザーの系譜

なかでも特に私が好きなのは、現在国内販売されていない70系。
パリダカールラリーに参戦するために1996年に購入し、24年経った今も現役で乗っています。それよりも古い40系が、今も現役で走っているのですから当然かもしれませんが、タフなクルマです。

2014年に日本で期間限定発売されたランドクルーザー70は、メーカーの想定を大きく上回る人気を博し、今もなお国内販売を望む声が大きい。そんななか、今年の東京オートサロンで群馬トヨタの「RV Park」が展示した「The New GTG Land Cruiser Concept」(以降70コンセプト)を観て、色めき立ったランクルファンも多かったのではないでしょうか?イベント終了後、「RV Park」で展示されることを聞き、あらためてじっくり見てきました。

群馬トヨタRV Parkへ
群馬トヨタRV Parkへ

スタイルはショートボディの70がベース

ランドクルーザー70は、中東、オーストラリア、アフリカを中心に販売されています。
この70コンセプトのベースは、中東仕様のハードトップ3ドアのGRJ71Lだと思われます。ショートボディの左ハンドルで、エンジンは国内で期間限定発売されたタイプと同じ4リッターV6エンジン。(FJクルーザーとも同じ1GR)。

替わっているのは専用フロントグリル、フロントバンパー、オーバーフェンダーとリヤのコンビネーションランプ。そしてクラシカルな丸目ヘッドランプでありながら、ユニークなデザインのLEDになっているところが新しいです。

ユニークなデザインのLEDヘッドランプ

リヤサスペンションが、コイルスプリングに

70系のリヤサスペンションは、昔から現在もリーフスプリングです。
70コンセプトはコイルスプリングと3リンクリジットアクスルに変更されています。70系ワゴンのリヤサスペンションも同様でしたが、オンロードでの乗り心地を重視したからか、オフロードでのサスペンションの伸縮は、そこまで期待できませんでした。

しかし、70コンセプトのサスペンションを見てみると、ショックアブソーバーの取付位置が異なり、これならリヤサスペンションの伸縮も期待できそうです。少なくとも現行の70系と比較したら、乗り心地が格段によくなるでしょうからうれしいです。

クロスカントリーラリーなどフラットダートを高速で走るようであれば、フロントサスペンションは独立懸架のほうが、車体の姿勢も崩れにくくて向いています。

しかし、モーグルなど凸凹路をゆっくり乗り越えるのであれば、リジットアクスルのほうが、向いているので70系は前後リジットアクスルのままでいてほしいです。サスペンションを構成する部品点数も少なくて済みますし。シンプルな構造は壊れにくく、仮に不具合が出ても、原因を見つけやすいメリットがあります。

フロントサスペンション

下回り(右がフロント・左がリヤ)
下回り(右がフロント・左がリヤ)

リヤの3リンクリジッドアクスル

4リットルV6(1GR-FE)エンジン搭載
4リットルV6(1GR-FE)エンジン搭載

古くて新しいインテリア。シンプルなデザイン

70コンセプトに乗り込んでみると、シンプルなインテリアに落ち着きます。
ボディ同色のデザインがあるのはFJクルーザーのような感じで、インストルメントパネルは各警告灯が、どこに点灯するのかあらかじめわかり、40系っぽい雰囲気がうれしいです。

エアコンは、レバーで吹き出し位置、外気導入、内気循環、およその温度を選び、ダイヤルでエアコンのON/OFFと風量を設定する昔ながらの機械式。それでいてステアリングに様々なコントロールスイッチがあり、ほかにもDRL(デイタイムランニングランプ)をオフにするスイッチや、2.1AのUSBソケットがあったりと、レトロモダンな感じです。またシートのヘッドレストにロゴが刺繡されていて、本気度を感じます。

ドライバー目線から。ステアリングには今風なスイッチが
ドライバー目線から。ステアリングには今風なスイッチが
インパネはシンプル
インパネはシンプル
赤い部分にあるレバーやダイヤルはエアコンのコントロール。6速MTレバーと右下は2WD、4WDそしてHとLレンジを切り替えるレバー。左下人USBソケット
赤い部分にあるレバーやダイヤルはエアコンのコントロール。6速MTレバーと右下は2WD、4WDそしてHとLレンジを切り替えるレバー。左下人USBソケット
DRL OFFスイッチはここに
DRL OFFスイッチはここに
本気度がうかがえる、ステッチ入りのヘッドレスト
本気度がうかがえる、ステッチ入りのヘッドレスト

ハードトップ3ドアのGRJ71Lは、導入国で港湾関係や工事の先導指揮車やパトロールといった働く環境で使われていますが、この70コンセプトは、MINIやフィアット500のような比類なき圧倒的な個性を持った、遊び心満載のクルマです。販売を考えれば現実的な5ドアがよいかもしれませんが、このチョロQのようなスタイリングが、きっとランドクルーザーのことを知らないかたにも、きっと目を引くと思います。

オーストラリアなどランドクルーザー70導入国の友だちからは「なんで70を生産しているホームタウンの日本で販売していないんだ。もったいない」とよく言われます。

私は、昔買った70を持っているのでいいのですが、まだ乗ったことがない方に、ぜひ世界に認められる<Made in JAPAN>のランドクルーザーに新車で乗っていただける機会ができることを願います。

ランドクルーザーを生産するトヨタ車体はもちろん、トヨタ紡織、豊田通商、TCD、JAOSなどランクルに所縁あるメーカーが協力
ランドクルーザーを生産するトヨタ車体はもちろん、トヨタ紡織、豊田通商、TCD、JAOSなどランクルに所縁あるメーカーが協力

(写真:トヨタ自動車・寺田昌弘 テキスト:寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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