全日本ラリーで知ったスイフトスポーツの走りのすごさ。スズキのチーフエンジニアとチャンピオンドライバーにその魅力を聞いてみました!
昨年からプライベートで全日本ラリーにコドライバーとして参戦しています。
LEXUS RC Fでの参戦では、あの大きなボディサイズで細い林道を走ったり、公道を170km/h越えで走ったりと、RC Fのその圧倒的な加速感と存在感に驚いています。
そしてもう1台、驚いたクルマがあります。それはスズキ・スイフトスポーツです。
あるSS途中で私たちが壁にホイールをヒットし、走行に支障がないので少しペースダウンして走っていると、ミラー越しに後続車のランプが見えてきました。それが1分後にスタートしたスイフトスポーツでした。
運悪くそのSSは特に狭く私たちの逃げ場がなく、再加速せざるを得ない状況です。しかし私たちがペースを上げてもついてくる。
すごいクルマだなと思い、懇意にしているスズキの社員の方にその体験を話したら「それならチーフエンジニアに話を聞いてみますか?」とありがたい機会を作ってくれて、さっそくスズキのある静岡・浜松へ向かいました。
ドライビングが楽しい唯一無二のコンパクトハッチ
- 小堀昌雄チーフエンジニア
チーフエンジニアの小堀昌雄さんとお会いし、お話をうかがおうと思ったら「まず乗ってみてください」と、スイフトスポーツを試乗させていただきました。
ラリーで後ろから追いかけられたことはありますが、自分でドライブしたことがなかったので楽しみにドアを開け、運転席に座りました。
第一印象は座っただけでワクワクするようなコックピット感があって、走り出したくなる気持ちにさせてくれます。それはフェラーリやスープラのような感覚ではなく、今のMINIや昔のアウトビアンキA112アバルトのような、自分のテクニックで性能を引き出し、楽しく走らせられそうと思える感覚です。
走り出してみるとその軽さと低回転から出る高いトルクのおかげで想像以上の加速に驚きました。6MT車に乗りましたが車両重量が970kg。だから1.4L直噴ターボエンジンで充分以上のパワー、トルクを活かせます。
コーナーも立ち上がりがイメージ通りに加速してくれ、バイクを乗っているような楽しさがあります。コーナリングの楽しさはワイドトレッド化も貢献しています。スイフトベースでホイールオフセットでワイド化するのではなく、フロントロアアームを専用に長くすることで、タイヤの接地角度の変化を抑制しています。
そのためブレーキングからコーナー進入時も挙動の変化がとてもスムーズです。さらにコンパクトハッチとしてはストローク感もあり、ブレーキング、アクセル、ステアリングで思い通りに姿勢変化ができ、これが思い通りに決まると、さらにドライビングの満足度が上がって、もっと走りたくなります。
高速道路も走りましたが、ワイドトレッドとしなやかなサスペンションのおかげで1クラス上の乗り心地で、大満足です。
- 「圧倒的な動力性能と、エキサイティングなハンドリングをぜひご体感ください」
1時間ほど試乗させていただいてから、ふたたび小堀チーフエンジニアにお会いし、お話をうかがいました。
「国内外のコンパクトカーにいろいろ乗りましたが、やはりスイフトスポーツは代々、何かと比べるのではなく、走る楽しさ、操るうれしさでドライバーに喜んでいただいています。このスイフトスポーツはさらに乗っておもしろいクルマとして作りました。」
1.4L直噴ターボエンジン、ワイドトレッドの結果で3ナンバー、しなやかでコシのあるサスペンション、これらを活かすベースとなる「HEARTECT(ハーテクト)」と名付けられた軽量で高剛性の新プラットフォームのバランスのよさが、スイフトスポーツのドライビングプレジャーを高めてくれています。
サスペンションの動きや姿勢変化を意識しながら走る楽しさは、バイクをライディングする楽しさに似てると思ったら、小堀チーフエンジニアはバイクが好きで、バイクもクルマも作っているからスズキに入社しましたとのこと。
ゆえに、バイクのようにライディング(ドライビング)次第で自由度の高い走りができてワクワクするクルマを作られたのだと思いました。
全日本選手権で活躍するドライバーのインプレッション
スイフトスポーツは、全日本ラリー選手権や全日本ダートトライアル選手権で大活躍しています。そこでスイフトスポーツで参戦しているドライバーにも聞いてみました。
■全日本ラリー選手権 / 関根正人選手
23歳からジムカーナを始めるも、スライドしてマシンの向きを変えるのが得意だったことからラリーに転向。スバル・ヴィヴィオ、三菱ミラージュ、ダイハツ・ブーンなどいろんなマシンに乗って勝った実績を持つ。
2018年よりスイフトスポーツに乗り、JN4クラスチャンピオン、2019年もJN4クラスチャンピオンと2年連続年間タイトルをスイフトスポーツで獲得。
- 左から2人目が関根正人選手
「2018年はトヨタ86やホンダ・シビック・タイプRユーロと同じクラスで、シリーズ途中の4戦目から参戦しました。
チームで新しいマシンで参戦しようということでスイフトスポーツを選びました。グラベルもいいのですが、ターマックがとにかく速く走れますね。やはり車重が軽いので、狙い通りに動きが決まります。かなり攻めていってもコントロールできて安心して走れます。私的にはもっと扱いにくいマシンを乗りこなすとか、セッティングを煮詰めていくといったこともしたいのですが、ベースの仕上がりがよいので、普通に乗れば、相当安全なクルマです。サーキットではまだ難しいかもしれませんが、ラリーで86に勝てたことで、このクルマのよさを証明できたと思います。」
■全日本ダートトライアル選手権 / 宝田ケンシロー選手
- 中央が宝田ケンシロー選手
全日本チャンピオンを2度獲得した父の影響でダートトライアルを知り、20歳でダートトライアルデビュー。2014年から前モデル(ZC32S)のスイフトスポーツに乗り、2016年、2017年と全日本ダートトライアル選手権PN1クラスで2年連続シリーズチャンピオンを獲得。そして現行モデル(ZC33S)のスイフトスポーツに乗り換え、2019年PN2クラスシリーズチャンピオンを獲得。
「前モデルも故障箇所が少なく戦闘力の高い、いい車両でした。現行モデルは単純にNAからターボに変わっただけではなく全く違う車両でした。
エンジン特性はもちろん、ショックのストロークも特に伸びがよくなり、ボディサイズが5ナンバーから3ナンバーサイズに変わったこともあり、前モデルよりも深いドリフトアングルでの走行が可能になりました。
なにより車両が軽くなりパワーも増え、使用するタイヤも大きくなったことにより戦闘力はアップしました。モータースポーツのベース車として価格の安さやアフターパーツの豊富さも魅力ですね」
- 今シーズンはADVANカラーのスイフトスポーツで参戦
やはり全日本チャンピオンもベース車として高い評価です。ラリーやダートトライアルだけでなく、ジムカーナ、サーキットに至るまで、モータースポーツでも活躍するスイフトスポーツ。小気味よく走れる楽しさを、ぜひ体感していただきたいです。
(写真:MATEX-AQTEC RALLY TEAM、CMSC札幌、寺田昌弘 テキスト:寺田昌弘)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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