最近気になる「TONE(トネ)」に行き、工具作りへのこだわりを知る
SUPER GTやD1グランプリ、鈴鹿8時間耐久レースなどでよく見かけるようになった「TONE」のロゴ。2018年に公開された映画「OVER DRIVE」ではトヨタ・ヤリスのラリーカーのリヤウイングにあるロゴだけでなく、サービスでメカニックが使う工具がTONEでした。どんな工具メーカーなのだろうと、前から気になっていたら、ちょうど先輩がTONEに行くからとお声掛けいただき、一緒に行ってみました。
80年以上「締結」に挑み続ける「TONE」
知っている工具ブランドを並べてみると、総合的な「KTC」、ソケットレンチで有名な「Ko-ken」、モンキーレンチが特徴的な「TOP」、ドライバーでよく見かける「VESSEL」、アメリカの「Snap-on」、「MAC TOOLS」、ドイツの「HAZET」、フランスの「FACOM」などさまざまなブランドがあります。
TONEは1938年に日本で初めてソケットレンチを製造し、プロ用作業工具から、トルク管理機器、ボルト締結機器へとフィールドを広げ、今や製品数は4,000点を超える日本を代表する総合工具メーカーとしてプロに愛されています。
長年ビルや橋、鉄塔など鉄骨の建築物から鉄道、船、航空、宇宙分野そして自動車など様々な分野で活用され、求められる工具を生み出す、言わば「もっといい工具づくり」に挑戦し続けている日本のブランドです。
工具といえば、材質は鋼が主ですが、多彩な工具を生み出すうちに、メッキの剥げが許されない食品工場や医療分野で求められるステンレス、軽くて非磁性のチタン、またグリップ、電動工具やトルク管理機器では多様なプラスチックなど、様々な素材を適材適所で活かしています。
過酷な現場で鍛えられ、交通機関の安全を支え続ける
ビルや鉄塔、橋梁、プラントなど作業現場は過酷。1日に締めるボルト数が多かったり、作業者も無理な体勢で仕事をすることもあり、いかに楽に確実に作業ができるかが工具に求められます。
また、粉塵や熱など作業者にとっても工具にとっても厳しい環境に耐える性能が求められます。そして航空機や鉄道など大型の乗り物の点検整備で安定的に活躍することでその性能を発揮し、乗員乗客の安全を支えます。
この経験値の積み重ねがTONEの信頼性、耐久性そして使いやすさを高めています。そのデータやノウハウをクルマやバイクに使う工具類にも活かされています。
- シャーレンチのシェアは世界一
1/1000秒で競うモータースポーツで勝つための道具
- 鈴鹿8時間耐久レースでクラス優勝
2019年の鈴鹿8時間耐久レースでTONEがスポンサードする「TONE RT SYNCEDGE 4413」がSSTクラス優勝しました。約8時間走ってクラス2位との差が1分26秒。迅速なピット作業の積み上げが勝利に貢献しました。
クイックフィット形状のソケットがタイヤ交換の時間を短縮し、この技術が自動車用ホイールナット締付け、緩めに活かされています。またT型ヘキサゴンレンチは、早回しローレット付きで、ヘキサゴンを先端だけでなく軸部にも設け、3ヶ所使えるスグレモノです。
SUPER GTではNILZZ Racing、GAINER、Modulo Drago CORSE、Hitotsuyama RacingをSuper FormulaではUOMO SUNOCO TEAM LEMANSをサポート。ここでも最大空気圧を従来品の0.62Mpaから2.5Mpaへ高圧化したエアーインパクトレンチが活躍しています。回転スピードを上げ、タイヤ交換などタイム短縮に貢献しています。
ダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARAをサポートし、数千kmもトラックで揺すられながら運ばれ、砂埃舞う過酷な環境で日野レンジャーのクラス連覇を支えています。
1/1000秒を競うモータースポーツの世界で作業をスピーディーに、そしてハイパワーマシンで想像を超えるG、衝撃に負けずゴールまで走らせる確実性を磨き上げ、日々製品にフィードバックしているからTONEはプロの世界で認められています。
- 特殊強化樹脂ボディで1kgと軽く、最大トルク700N・mとハイパワーなエアーインパクトレンチ(ショートタイプ)
機能美にさらにデザイン性をアップ
工具に大切なのは信頼性、耐久性、確実性そして使いやすさ。しかし調理器具でもそうであるように、機能はもちろんデザイン性に富んだ工具であれば置いてあるだけでカッコいいしモチベーションも上がります。ホビーユースのかたであればなおさらです。
2006年にシャーレンチでグッドデザイン賞を受賞し、2014年には社員でデザインした次世代工具シリーズが再びグッドデザイン賞を受賞。カーライフをより心豊かにしてくれる工具に進化しています。
- 並べているだけでも美しい工具
「締結」しているのはモノだけでなくヒトも
ボルト締結に関して、作業する人の負担を最大限減らし、作業時間を短縮する。そのためにTONEの工具は進化しています。
SUPER GTやD1グランプリの現場でもTONEスタッフが現場のエンジニアやメカニックにヒアリングしながら、現状より一歩、二歩先行く工具づくりをしているのに驚かされます。
TONEはボルト締結のスペシャリストですが、それだけでなくエンジニアやメカニックと信頼で締結し、マシンとドライバーとも安心で締結する力も持っていると思いました。
次回はぜひソケットなどを作っている工場を観に行き、製造現場の方々から工具作りへの思いを聞きたいです。
- 軽量薄型コンパクトのラチェットハンドルとクイックフィットソケット。T形ヘキサゴンレンチ。
(写真:折原弘之・TONE テキスト:寺田昌弘)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
あわせて読みたい!
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-