クラシックカーからEVまで妙高・上越を駆け抜けた、「SUPER CAR RALLY CHALLENGE 2020」
毎年東京・原宿をスタートするLa Festa Mille Migliaのような往年のクラシックカーが走るイベントも各地で開催されるようになりました。古き良き名車たちを沿道から誰でも気軽に観られるのはクルマ好きでなくとも、その光景のすばらしさに足を止めるほど。そしてこのタイムトンネルを潜って観たような光景だけでなく、現在のスポーツカーが走り、現代のグランツーリングを一緒に楽しもうというイベントも増えてきています。
「SUPER CAR RALLY CHALLENGE 2020」は、クラシックカーから現代のフェラーリやランボルギーニ、そしてテスラなどEVが走るクラスが新設され幅広い参加車が集まり、梅雨の合間のよい天候のなか、新潟を約100km走りながら楽しみました。
- 広大なエリアに続々と集まる名車たち
古いものには敬意を。新しいものには情熱を
新潟・妙高のロッテ アライリゾートをベースに集まった参加車は90台。今回はこの山間の妙高をスタートし、日本海が見える上越市まで行って折り返しながら、途中PC競技をしながら、グランツーリングを楽しみます。
PC競技とは、決められた区間を決められた時間で通過するタイム計測競技です。主催はオンロードだけでなく、オフロードイベントも手掛けるNASC sandworks project。代表の中島聡尚さんは、パリダカールラリーに参戦経験を持ち、オフロードからグランツーリングまで知り尽くした私の先輩です。
中島さんは、この「SUPER CAR RALLY CHALLENGE 2020」でクラシックカーやスーパーカーが途中PC競技をしながら走るクラスだけでなく、PC競技なしでグランツーリングを楽しむビギナークラスがあったり、コンクールデエレガンスのようにロッテ アライリゾートのホテル前に名車を展示するカテゴリーを作り、総勢90台が集まりました。
- 重厚感あるシルバーの Invicta 4 1/4 Litre(1928年)をはじめ多くのクラシックカーが集まった
- RILEY(1934年)(右前)
- 1950年代から60年代のクルマの後ろには現代のスーパーカーが
- フォードGT40のレプリカ、GTD40。Gulfカラーがかっこいい
- シボレー コルベットC6(2005年)にランボルギーニ アベンタドール(2017年)と並ぶ
- ADVANカラーのポルシェ
- テスラにレクサス、メルセデス
海を目指し、森へ帰る。新潟の自然の魅力を満喫
1982年製までのクラシックカーが参加する「ビンテージスポーツクラス」には、堺正章さんや伊香保おもちゃと人形自動車博物館オーナーの横田正弘さんなど、本場Mille Migliaをはじめ、数々のクラシックカーイベントに参戦するベテランが多く参加しています。
1923年製 FORD T や1924年製 BENTLEY SPEED 3.0 LITRE など、ほぼ100年前のクルマが走るだけでも驚きですが、さらにPC競技に挑む様には度肝を抜かれます。アクセルもブレーキも決してリニアに動くわけではありませんが、馬の調子を見ながら息を合わせる乗馬のように、愛車の調子をみながらドライバーが鞭を入れるかのようにアクセルを踏みます。絶えずクルマの状態を感知し、対話しながら走らせるのがクラシックカーの醍醐味のひとつです。
1983年製以降のクルマの「スーパーカークラス」はポルシェにフェラーリ、ランボルギーニそしてレクサスとそうそうたるクルマが参戦。PC競技だけでなく、広大な駐車場内でSSが行われ、思いっきりタイムアタックもでき、クラシックカーにはない高回転の甲高いエキゾーストノートに酔いしれるひとときもありました。
そしてEVクラスには4台のテスラとPHVプリウスが参加。こちらもSSがあったのですが、テスラの爆発的な加速にみな圧倒されました。それでもプリウスで5大陸を走破したTeamACP代表の横田紀一郎さんがPHVプリウスを知り尽くした走りで2位を獲得しました。
PCやSSの競技以外の移動区間は旅。ヨーロッパからアフリカを走っていた頃のパリダカールラリーでは、いくつもの砂漠を越え、SSを走り、最後は大西洋を観ながらゴールしました。パリダカ参戦経験を持つ中島さんだから、きっと「SUPER CAR RALLY CHALLENGE」にも海を目指すストーリーにしたかったんだと思います。みな真っ青な海が見られて爽快な気分になれました。
- BENTLEY SPEED 3.0 LITRE(1924年)がロッテアライリゾートをスタート
- コーションプレートがわかりやすい
- レクサス、ポルシェ。優雅なランデブー
- ルートブックを観ながら日本海を目指す
- 最高の眺望のテラス席を用意
- 梅雨時期の奇跡的な晴れ間
- 大正時代のFORD T(1923年)(右)
- 2000台が収容できる大駐車場でも競技が行われた
- パリ・ダカール間を走破したプリウス PHVも参加し、EV部門2位
風光明媚な地方をクルマで盛り上げる
ロッテ アライリゾートは、約100万坪の広大な敷地でホテルは全257室とスノーシーズンには、スキーやスノーボード、スノースクートを楽しむかたがたくさん訪れる人気のリゾートです。
雪のないシーズンでもツリーアドベンチャーやジップラインが楽しめ、ホテル施設内では通年プールや温泉、ボルダリング、トランポリンにボッチャ(曜日により定休日あり)があり、多彩なアクティビティがあります。
ただスノーシーズンの圧倒的な魅力から、グリーンシーズンももっと魅力的にできるはずと、ここで開催されました。当日宿泊されていたかたは、わくわくするクルマがたくさん集まっていて、観るだけでも楽しめたとか。今後、このイベントが定着していき、泊まりで花火大会を観に行くような感覚でイベントを観るために宿泊するかたが増えてくることを期待します。
NASC sandworks projectは、クルマの持つ魅力を引き出しながら、地方創生やマイクロツーリズムに挑んでいます。「SUPER CAR RALLY CHALLENGE 2020」は、軽井沢や東京でも開催予定で、それも観に行きたいのですが、オフロードイベントも開催しているので、次回はぜひ観に行って、自分も走ってみたいです。
- オフィシャルカーはプジョーRCZとプリウス
- 山から海へ。愛車と一緒に景色と走りを楽しんだ
写真:横田紀一郎・NASC sandworks project/文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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