スポーツランドSUGOがワンダーランドに…寺田昌弘連載コラム

2年ぶりにスポーツランドSUGOで開催された宮城トヨタグループ(MTG)モーターフェスティバル。今年発売された新型のカローラクロス、ランドクルーザーやハリアーハイブリッド、カローラツーリング、LEXUS ES ISなどに乗ってサーキットを走れるだけでなく、いろんなモビリティを観て、触れられる2日間。そして何より家族でサーキットに行って楽しめるコンテンツがたくさんありました。ではどんな魅力的なコンテンツがあったのか、紹介しましょう。

サーキット、ドリフト、凸凹。プロドライバー同乗コンテンツがエキサイティング

  • 左から森下選手、銘苅選手、佐藤選手、松井選手、蒲生選手、金子選手、山内選手そして私

サーキットでは、GRヤリスやマークX GRMN、フォルクスワーゲンに同乗し、レーシングドライバーの卓越したドライビングを堪能できるコンテンツが実施された。ドライバーはスーパーGTに参戦する蒲生尚弥選手、山内英輝選手を筆頭に、スーパー耐久シリーズで活躍する松井宏太選手、フォーミュラ、スーパー耐久で活躍した銘苅翼選手や、地元東北出身の佐藤晋也選手(2013年スーパー耐久シリーズ・シリーズチャンピオン)森下陽介選手(2008年スーパーFJもてぎ選手権チャンピオン)さらに金子陽一選手(FJ1600で活躍し、現在VW認定トレーナー、Audi公認インストラクター)などSUGOを知り尽くしたプロドライバーたち。毎回大人気で抽選になるのですが、この抽選をする役を私がすることがあり、外れた方にいつも恨まれるんじゃないかと冷や冷やしながらやっています。

プロドライバーたちは、ただ速く走るだけでなく、コーナーではインの差し合い、抜いたり抜かれたりとサイドバイサイドの展開。さらにストレートではスリーワイドで1コーナーへ飛び込んでいくなどプロならではの演出がすごいです。VRやオンボードカメラの映像などヴァーチャルではなく、リアルにサーキットでのドッグファイトが体験できました。

  • 当選したお客様を乗せ、レースさながらの走りをみせる

  • 初日は雨。それでもバックストレッチでここまで詰める。お客様の心拍数もかなり高い

  • ホームストレートをスリーワイドで駆け抜け、そのまま1コーナーへ

  • 抽選会。MCと一緒に盛り上げに参加

次にタンデムフォーミュラマシン同乗。こちらは過去フォーミュラや全日本GT選手権、スーパー耐久シリーズで活躍し、フォーミュラトヨタレーシングスクール(FTRS)の講師も務めたチャンプ藤田こと藤田孝博選手がドライブしてくれました。WECやスーパーフォーミュラで活躍する小林可夢偉選手や中嶋一貴選手もこのFTRS出身ドライバーなので、ハイレベルな走りが楽しめます。このタンデムフォーミュラ、FTRSで使用しているフォーミュラーアをストレッチして、戦闘機のように縦に2名乗車になっています。

藤田選手は前に乗り、同乗者は一段高くなっている後部座席に座ります。イベント1日目はあいにくの雨で、傍目から観ると罰ゲームにしか見えませんでしたが、乗ったかたはエンジンの振動とエキゾーストノートを背中に感じながら、フォーミュラマシンならではの動きを、風を切りながら感じて大喜びです。

  • チャンプ藤田選手がドライブするタンデムフォーミュラカー。戦闘機のよう

そして派手なオレンジカラーの2台のタクシーで展開されるのが、「ドリフトタクシー」。ドリフトのメッカ、エビスサーキットをホームにするTeam ORANGEが、ルーフに行灯を点けたドリフトマシンでツインドリフトをしてくれます。チーム代表の熊久保信重選手は過去2度のD1GPチャンピオンで、アジアでドリフトを盛り上げるべく、タイ最高峰のドリフトシリーズに参戦しています。

Team ORANGEのドライバーのすごいところは、マシンはうまく滑らせるのですが、トークはカチッとグリップとスナップが効いていること。「ドリフトタクシー」がエンターテインメントとして確立され、毎回楽しみにしているファンが多いです。今回は黒いクラウンも登場し、ドリフトハイヤーとして活躍していました。

  • ドリフトタクシー。かなりの迫力

  • 今回初登場の黒塗りクラウン。TAXIとあるが、ワンランク上のドリフトハイヤー

さらにランドクルーザーやハイラックスの悪路走破性の高さが体感できるコンテンツもあります。愛知にあるオフロードコース「さなげアドベンチャーフィールド」(SAF)のインストラクターが、大きな丸太や階段、スロープを持ち込んでコースを作ってくれます。サスペンションの動きのよさ、マルチテレインセレクトの機能体感など、アスファルトの上でもオフロード体感ができます。

丸太に片輪だけ載せて30度近く横に傾いたり、タイヤが対角線上に浮いてシーソーのようになっても走破できたりと、日常では体感しないクルマの傾きを楽しみながら悪路走破性の高さを実体験できます。クルマで階段を登るのも、岩石路を登るような感覚で、フロントウインドウからは空しか見えない非日常がゆっくり動くジェットコースターのようで子供たちにも大人気です。

  • アスファルトの上に仮設で凸凹路を造るさなげアドベンチャーフィールドのコンテンツ

  • 手前のプラド。リヤサスペンションの伸縮がいい。その先のプラドは階段を登り切る

GRヤリス、86、GR Supraオーナーはサーキットで走行できる

  • GRヤリス、86、GR Supraオーナー。マークX GRMNも1台

やはりサーキットに来たら、愛車で走ってみたい。そんな夢を叶えてくれるオーナー走行会もあります。今回はGRヤリス、86、GR Supraオーナーが集まってサーキット走行を楽しみました。

走行前にドライバーズミーティングがあり、そこでオーナーのみなさんに話すコーナーに参加することになり、GRヤリスのスポーツカーとしての意義、86は開発責任者の多田さんと以前トークショーでご一緒したときの話、GR Supraはチーフデザイナーの中村さんがどういった思いでこのスタイリングを生み出したかなどを話し、オーナーのみなさんも喜んでくれて一安心。

  • オーナー走行会。グリッドで記念撮影をしてからスタート

  • GR86が誕生したが、TOYOTA86オーナーは、このハチロクが気に入っている人が多い

  • GRヤリスはサーキットで走ってもおもしろい

これらのクルマのオーナーでなくても、カローラクロス、ハリアーハイブリッド、LEXUS ES、ISなどの試乗車に自分でドライブできるコンテンツもあります。サーキットを走るのが初めてというかたは、走行後に特に興奮してクルマから降りてくるのが印象的です。またランドクルーザーの購入申し込みをしている方には、納車をお待たせしているぶんランドクルーザーで走れる特典があります。

私はこのコンテンツを担当したのですが、14年ぶりのフルモデルチェンジでどう進化したのか、どこに注目して試乗したほうがいいかなどのポイント解説をしてから試乗してもらいます。ドライブモードも昨日解説して途中でモード切り替えしてもらうようにします。

すると新開発のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの圧倒的なトルクやパワーで大きなボディを軽々と走らせるところに感動したり、ドライブモードを切り替えるだけで走りがかなり変わることに驚いている方が多かったです。早く納車されないかなと思いながらも、これなら待つ価値があるクルマだという声が多く、満足度の高いコンテンツとなり、ほっとしました。

  • カロ-ラクロス

  • ハリアーハイブリッド

  • カローラツーリング

  • LEXUS IS F SPORT

  • ランドクルーザー GR SPORTとZX

  • ドライブモードを1周目と2周目で変えてサスペンションやアクセルのフィーリングを確認

  • オートテストも開催。GTドライバーも参戦

家族でドライブして遊びに来られることが最幸

  • おかあさんと子供もクルマで楽しむ、つながる、盛り上がる

宮城県警察交通機動隊の協力で、白バイによるデモンストレーションや展示バイクにまたがって写真が撮れたり、TOM'Sやタイヤメーカーのデモカーが見られたりとうれしいのですが、やはり大切なのは子供たちに楽しんでもらえること。

キッズカートやキッズバイクに乗れたり、ミニ四駆を作ってコースを走らせたりでき、子供たちの真剣な顔がいくつも見られてとても嬉しいです。さらにクルマのボディを黒板のようにして、子供たちが思いっきり絵を描いたりできるコンテンツでは、最初は小さな絵を描き始めるのですが、慣れてくるとドア一面に大きな絵を描いていて、とても楽しそうな笑顔の花がいくつも咲きました。

また、運転免許がまだない中学生は、グランツーリスモでSUGOのサーキットを思いっきり走ったりして。私も子供の頃、家族でマイカーに乗ってドライブに行って、目的地で思いっきり遊んで、また家族で自宅までドライブして帰る。目的地でどんな遊びをしたかは、昔過ぎてうる覚えですが、家族でドライブしていたときの光景は鮮明に覚えています。私がクルマ好きになったきっかけのひとつはここにあります。

ドライブは目的地まで行く「手段」なのかもしれませんが、子供にとっては家族と一緒にいられる大切な「目的」だと思います。家族でクルマに乗ってドライブすることを楽しむ子供たちは、きっとクルマが大好きになると思います。

その目的地としてこのイベントはとても有意義で、さらにいろんなクルマがあるので、きっと子供たちにはワンダーランドに映って、わくわくしていると思います。来年もまた子供たちを中心に家族の笑顔がたくさん溢れるイベントになることを祈っています。

  • 白バイにまたがって記念撮影

  • メリハリのあるライディングはさすがのひとこと

  • キッズバイクでまずは二輪から練習してみる

  • キッズカートでは大人が子供たちに真剣に向き合う

  • これはいたずらではなく芸術。クルマを黒板にして絵を描く

  • クルマのメンテナンス体験

  • プルバックカーで遊ぶ

  • 真剣な眼差し。お母さんもうれしそう

  • 馬の背からSPインへ向けて走る

  • チェッカーを振った思い出は、きっとまた彼をSUGOに惹きつける

(写真:MTG 文:寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


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