TGRラリーチャレンジ 富士山おやま 哀川翔選手と清水宏保選手が激闘・・・寺田昌弘連載コラム

「TOYOTA GAZOO Racing Rally challenge in富士山おやま」が、10月22~23日に開催され、FLEX SHOW AIKAWA Racingから哀川翔選手、清水宏保選手とともに参戦しました。私、寺田昌弘は哀川選手とコンビを組みコドライバーとしての参加です。哀川選手と清水選手のバトルが熱かったのでレポートします。

哀川翔さんは10月3日から始まったNHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」に出演されているので撮影の合間を縫っての参加。清水宏保さんは前夜遅くにホテル入りするスケジュール。そこまでして参加するほどのラリー好きなんです。

私たちが参戦したE-3クラス(トヨタ車限定/気筒容積1,500cc以下)は、今回14台と多く、上位層は経験豊富なコンビでハイレベルな走りをしているので苦戦が予想されます。でも、どこかのSS(スペシャルステージ)で上位に食い込めないかなと考えながら、ラリーに挑みました。

はじめての富士山おやま 寺田的なSS紹介

  • 天候に恵まれ富士山をバックに90台フルグリッドのエントラントと記念撮影

土曜日にレッキ(事前に試走すること)や車検を行い、日曜のラリーはゆとりをもって臨めるようになっています。しかし、私たちは土曜に選手が揃わなかったため、日曜朝6時からレッキ受付を行い、SS(スペシャルステージ)のペースノート作りに出発します。

今回のSSはすべてターマック(舗装路)の6本。一通りペースノートを作ってみましたが、今回はSSの距離は短く、意外とスピードが出るSSで油断はできません。それでは、各SSをご紹介します。

SS1、4は富士スピードウェイ内のジムカーナコースで、パイロンを目印に500mのジムカーナです。一般的なジムカーナであれば、慣熟歩行(徒歩でコース内に立ち入り、目視で確認すること)などしながら、どのラインで走るかを想定してから走りますが、一度だけ走ってパイロンをどちらから入るか確認する程度で本番に備えます。

SS2、5の「足柄」は2.71kmの山道を走ります。タイトなコーナーもあるのですが、直線もあり、コーナーの立ち上がりでいかに加速できるかが勝負のカギとなります。

SS3、6は富士スピードウェイ近くの「中日向」で、1.79kmのスピードが出せるレイアウトです。高速から適度にブレーキングしながらすぐ加速をし、いかにトップスピードを高められるかが大事なレイアウトです。アウト側にフェンスが張り巡らされているため圧迫感があり、ブレーキングが遅ければ蜘蛛の巣に張り付くような感じになってしまいそうです。

  • 朝の連続テレビ小説では船大工の役だが、ここではリアルなラリードライバーの哀川翔さん

  • 参戦ごとにサクシードを自在に操るようになってきた清水宏保さん

先行する哀川翔さん、追いかける清水宏保さん

  • サクシードに乗る清水宏保さんからスタート。後ろには哀川翔さんが続く

SS1
開会式を終え、まだ雪のない富士山に見守られながらスタート。SS1はギャラリーステージで観客も多く、腕の見せどころです。

まず清水宏保/大倉瞳組のサクシートが先にスタートします。途中で痛恨のミスコース。私たちも気をつけなければと緊張しながらスタートします。

事前に「青左から緑右からスラロームで、青左から入って90度曲がって黄色左から入ってほぼUターン・・・」と台本のようにセリフをノートに書いておいて、補助的に読み上げながらパイロンをひとつずつ着実にターンしてゴールし10位/14台中。

まずは大きなミスがなかったのでほっとしながら約12kmのリエゾン(次のSSに向かう移動区間)を走ってSS2へ。

SS2、SS3
哀川翔さんは「1ループ目は無理せず丁寧に走るから」と言い、コーナー進入で無理せず、立ち上がり重視の走り方で丁寧に走ります。ここで8位/14台中と順位を上げます。
そしてSS3は、コーナー進入でどのくらい減速すれば良いかを探りながら走り、サービスへ戻ります。

SS1のジムカーナでは果敢に攻めるもミスコースで大きくタイムロスしてしまった清水宏保さん

  • 前半を終えてサービスパークへ戻る

  • 後半に向けてリエゾンを走る

この時点での哀川選手と清水選手のバトル結果は、SS1・SS2は哀川選手の勝利、SS3は清水選手の勝利。、私たち(哀川選手・寺田コンビ)は14秒差をつけて優位に立っています。

SS4
後半最初のSS4はジムカーナ。哀川選手「せっかくギャラリーがいるので魅せる走りをしよう」とUターンするときに、サイドブレーキを引いて豪快にターンし、ギャラリーを湧かせました。
さすがファンサービスを大切にする俳優・哀川翔さんです。哀川選手が清水選手に勝って3勝1敗です。

SS5
哀川選手「2ループ目なのでアグレッシブに行こう。」
その言葉通り、コーナー進入のブレーキングをできるだけ我慢、横に乗っているとよりエキサイティングな走りを感じます!でも、タイムは1ループ目の方が良いのです。

哀川選手「コーナー進入で攻めすぎて出口でアクセル踏むのが遅くなってしまった。1本目はそこまで気合い入れていなかったのに、今回よりタイムが速かった。大きな収穫だった。やはりラリーは奥が深いね。」
もっと速くなりたいとさらに前を向き続けるかっこよさ、さすがアニキです。

SS6
最後のSSで、哀川選手は1本目とほぼ同じタイムでしたが、清水宏保さんは1本目より約3秒近くタイムを短縮してきました。

清水選手:「いやっ、本当にやばかった!」
コドライバーの大倉さん:「もう絶対飛び出るって覚悟しました」

ものすごい集中力でアタックしたのですね。タイムもクラス2位とすばらしい走り!

そして哀川選手と清水選手との勝敗は、3勝3敗のイーブン、総合タイムは哀川選手が5.4秒上回りました。コドライバーとしてなんとかお役に立ててよかったです。

哀川翔さんとSS中は呼吸を合わせ、リエゾンではラリーについてだけではなく、色々なお話しをさせていただき、車内はまるで映画のワンシーンのような贅沢な時間でした。

最終戦の豊田には哀川翔さんと私は参戦しませんが、清水宏保さんはエントリーしています。お近くの皆様、ぜひ応援よろしくお願いします!

  • 2台とも無事完走。うれしそうな哀川翔さんとちょっと悔しそうな清水宏保さん

写真:FLEX SHOW AIKAWA Racing/文:寺田昌弘

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


[GAZOO編集部]