今年の東京オートサロンはジムニー、ランクルなど四駆が熱かった!…寺田昌弘連載コラム

来場者数23万人超と大盛況だった東京オートサロン2024。初日の12日の朝から行きましたが、すでに多くの報道関係者、出展関係者がいて、展示車を撮影するのもままならないほど。

特にアジアからの報道関係者が多い印象で、アメリカのSEMAショー、ドイツのエッセンモーターショーに並び、アジアを代表するカスタムカーショーとして確立しています。

日本は「頭文字D」「湾岸ミッドナイト」に代表される漫画やD1に始まりドリフトがモータースポーツとして世界へ広がるなど、日本ならではの自動車文化が、海外からも注目されています。

チューニングは緻密に計算され、部品ひとつひとつの精度はもちろん、見た目の美しさもすばらしい。エクステリアも外装品が純正と違わぬほどの質感で日本の「匠」の精神が、カスタムカーに技術として活かされています。

そんななか、四駆好きの私にとって、最も注目したのがスズキ・ジムニーです。

TGRブースにジムニー!?他ブースにもジムニーのカスタムカーがたくさん

朝一番のプレスカンファレンスがTOYOTA GAZOO Racingであったので行ってみると、ステージ上になぜかジムニーが。

まさかスズキからのOEM車がトヨタから登場するのかと思いましたが、豊田章男会長の愛車の数々が「MORIZO Garage」として展示されていました。

私は約30年前に2ストロークのジムニー(SJ30)の幌車に乗って、オフロードから街乗りまで楽しんでいたことがあります。

このクルマは、軽量コンパクトでオンオフ道を選ばずに走れて、加速感や乗り心地なども気にせず(コイルスプリングになってから格段に乗り心地はよくなりました)ライフスタイルに取り入れられる唯一無二の存在であることが魅力です。

ジムニーは、子供の頃に大好きだったおもちゃのような感覚で、大人になっても遊び心を忘れない方々に人気があると思います。その人気は日本だけでなく、インド、オーストラリアを中心に海外でも人気があり、CO2排出規制が厳格化される前は、スペインを中心にハンディングや農場、牧場で扱いやすいクルマとして人気がありました。

四駆好きの私としてはランドクルーザーとジムニーは、日本が世界に誇る唯一無二のブランドだと思っています。

いろんなブースを観て回ると、ジムニーのカスタムカーが何台もあって驚きました。以前からメルセデスやランドローバーをオマージュしたスタイリングはありましたが、アメ車や欧州車の新たなスタイルがあり、かなり目を引きました。

東京国際カスタムカーコンテストのドレスアップ・コンパクトカー部門で最優秀賞を受賞したアルパインスタイルの新ブランドCal’s Motorの「Beas+」。

スクエアなジムニーのボディラインを活かし、角目2灯のヘッドランプとメッキグリルが、古き佳きアメリカの雰囲気を醸し出しながらも、今の時代にあったらいいなと思うカッコいいスタイリングとなっていました。

また2019年からジムニーのカスタマイズで注目を集めているダムドは、2024年のジムニーカスタムのテーマを「ヨーロピアン マスターピース」と掲げ、イタリアOZ Racingの代表的なホイール「Rally Racing」を往年のスタイリングで復刻して装着。

イタリアやフランスのメーカーが強かったWRCのあの頃のファンにはたまらないスタイリングのジムニーが展示されていました。

また東北のジムニースペシャリストのエヌズ・ステージは、岩手県の安比で“ジムニースーパートライアルチャンピオンシップ”を開催しており、オートサロンでは走りを追求したカスタムカーを展示。

走りと言えばCUSCOでは、ジムニーシエラ用スーパーチャージャーを開発中とのこと。これにより最大トルクが純正の130N・mから200N・mと約150%もアップします。

しかも低回転から高回転まで全域でパワーとトルクがアップするので、オフロードはもちろん、信号待ちからの発進にゆとりができ、高速道路も快適に走行できるので、エクステリアのカスタムと合わせてぜひお勧めしたい製品です。

現行モデルは相変わらずの大人気ですが、前モデルの中古車をカスタムして乗るのもおもしろいと思います。比較的手軽に大人の遊び心を具現化してくれるベースカーとして、ジムニーは最適なクルマの1台であることは間違いないです。

やはりLX、GX、ランクル70も気になる

昨年のアジアクロスカントリーラリーを走破したトヨタ・フォーチュナーや三菱・トライトンなどラリーマシンも展示されるなか、ひと際目を引いたのが、JAOSブースに展示されているBAJA1000(バハ1000)を走破したLEXUS・LX600でした。

聞いたところ、数日前に国内で通関が切れて、なんとか展示できるようになったとのこと。2023年大会は、全行程が約2,110kmと過去2番目に長い距離でした。そんな過酷な状況で、市販車ベースで走破したのは本当すばらしいです。

その隣には国内販売が予定されているLEXUS・GX550を早くもカスタマイズしたモデルが早くも展示されていました。LEXUSが提案する「OVERTRAIL PROJECT」をJAOSならではの機能パーツでカスタムし、上質かつワイルドな1台となっていました。

ランドクルーザー300もカスタムカーが多く展示されていましたが、やはり気になるのが発売から海外需要が高く、国内でなかなか購入するのも困難なランドクルーザー70。

これはトヨタディーラーを中心に展示されていました。宮城トヨタグループ(MTG)はMTタイヤ&ホイールはもちろん、ルーフラック&リヤラダー、サイドステップとナナマル普遍のカスタマイズをして展示。

群馬トヨタグループ(GTG)は70こそMTG同様にトラディショナルなカスタムをしていましたが、タイで発売開始したハイラックス チャンプが展示されていてびっくりしました。

オートサロンの来場者にどのような反響があるかリサーチすることが目的ですが、どのようなカスタムがいいかアンケート調査をし、その結果をGTG主催の群馬パーツショーで具現化して展示予定とのこと。

FRなので低床シングルキャブであれば、日本でもはたらくクルマから街乗りローダウンカスタムまで、昔のハイラックスやサニートラックのように人気が出そうです。

オートサロンと言えば、キラッキラの高級輸入車やベッタベタのローダウンの印象が強かったですが、こうして四駆カスタムカーも増え、オートサロンをきっかけに四駆を好きになってくれる人も増えるんじゃないかと感じます。

ジムニーやランクルは、日本が世界に誇る素性のいい唯一無二のクルマだということも知っていただけたら四駆好きの一人としてとても嬉しいです。

前回併催されていた東京アウトドアショーはスピンアウトして6月28日(金)~30日(日)に幕張メッセにて開催予定です。ここではさらに多くの四駆が展示されそうなのでこちらも楽しみです。

(写真/東京オートサロン事務局・ALPINE STYLE・DAMD・JAOS・MTG・GTG 文/寺田昌弘)

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。


[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road