「ランクルファンミーティング2024」1000台以上が集結、貴重な体験を楽しむ・・・寺田昌弘連載コラム

ランドクルーザーの楽しみ方は人それぞれで、オフロードを果敢に走る人もいれば、キャンプを楽しむ人、エアロを装着してオンロードで乗る人など。みなさんランドクルーザーの世界観、存在そのものが好きで相棒にしています。

そこでランドクルーザーオーナーはもちろん他車種に乗っていてもランドクルーザーが大好きな方々が気軽に集まれるミーティングをしようと、4WD専門誌の「レッツゴー 4WD」とオフロードコース運営や4WD講習、イベント運営をする「さなげアドベンチャーフィールド(SAF)」、イベント会場に最適な「富士スピードウェイ(FSW)」の3社が力を合わせ「ランクルファンミーティング2024(LCFM)」を初開催しました。

私もトークショーにゲスト参加でお声掛けいただき、愛車のランクル70に乗ってFSWへ行ってきました。

イベント広場はランクル40から300まで、ランクルの歴史が見られる

早朝から西ゲートに多くのランドクルーザーが集まり、イベント広場を中心にいくつかの駐車場に続々とランドクルーザーが停まっていきます。

型式は様々でランクル40系、55系、60系、70系、80系、100系、200系、300系、70プラド、90プラド、120系プラド、150系プラドと、さながらランドクルーザーの系譜がわかる博物館のようです。

いつもの仲間と久しぶりに出会える喜び、ここで知り合って新しい仲間ができる楽しみ、「ランクル」という唯一無二の共通点さえあれば、みんな仲良くなれる楽園のような場所になりました。
また歴代のランドクルーザーが見られたり、自分と同じ型式でカスタマイズしているのを見て参考にできたり、仲間との会話も盛り上がります。

レッツゴー4WDとは創刊時からのお付き合いで、私は新人ライターとして参画しておりました。
90年代当時は四駆ブームで、4WD FREAKや4x4MAGAZINE、CCV(クロスカントリー・ビークル)、4WD CRAFT、Option4と4WDを扱う雑誌も多くありました。

「レッツゴー4WD」は、オフロードだけに留まらず、4WDオーナーにより愛車を広く楽しんでいただくために、カスタマイズパーツやメンテナンス、アウトドアに関する情報など、おもに4WDエントリーユーザー向けの専門誌として創刊され、現在も多くの4WDオーナーに支持されています。
だからLCFMもさまざまなスタイルのランドクルーザーが集まる、レッツゴー4WDならではのイベントになっていると感じました。

イベント広場には約40社のカスタマイズブランドやホイール、タイヤメーカーが出展し、参加者の相談に応えていました。サスペンションやタイヤ、ホイールは実物を見ながら話せるので参加者にとって、自分だけの1台に仕上げるカスタマイズの未来予想図を描ける絶好の機会になっていました。

FSWで乗って走ってランドクルーザーのよさを体感する

ランドクルーザーを見るだけでなく、乗れるコンテンツもいくつかありました。

イベント広場では、SAF考案の丸太を越えながらサスペンションの動きやマルチテレインセレクトなど電子制御で走破性を高めることを体感できるコースが登場。

同乗体験走行ができるコンテンツも。ドライバーは、なんとランドクルーザーを開発時に車両評価などをしているトヨタ社員です。
しかも、そのドライバーはただのドライバーではありません。横田さん、内さん、西村さんはみなダカールラリーにもメカニックとして参加している強者です。

同乗体験走行だけでなく、自分でドライブできる幸運な参加者もいて、これもこのイベントならではのプレミアムな体験です。

またFSWにはオフロードコースがあり、ふだんは走れないのですが、SAFのインストラクターの指導のもと、愛車でモーグルや岩石路、林間コースなどを走れ、愛車の悪路走破性の高さを実感できるコンテンツもありました。

このオフロードコースは私が元々、雑木林だったところを歩いて回り、ここであればオフロード試験路ができるとデザインし、SAFスタッフが造成、さらに改良が繰り返され、機能体感するのに最高のコースとなっています。

さらにFSWのコースでは、ランドクルーザー200台限定のパレードランもありました。
昔、ランドクルーザー100のワンメイククラブからの依頼でFSWでイベントプロデュースをしたことがあり、そのときもサーキットパレードをしたら、みなさん大喜びだったので、今回もコースのどこを走ったらいいんだろうとドキドキしながら楽しんでもらえたのではないかと思います。

前も後ろもランドクルーザーだらけの光景は、観ている人にとっても、コースを愛車で走っている人にとっても最高の思い出になったと思います。

トークショーはダカールに挑むTLC、Mr.ランクル、そしてランクルちゃんねる

イベント広場特設ステージでは、おもに3つのトークショーがありました。

ひとつはランクル300でダカールラリーに挑むTeam Land Cruiser TOYOTA AUTO BODY(TLC)のトークショー。
角谷監督、三浦ドライバー、メカニックによる世界一過酷なダカールラリーでのランドクルーザーの信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを話してくれました。

私も2011年、2012年とTLCのダカールラリードライバーとして走りました。
トップカテゴリーのマシンは競技のために作られたマシンで、それを基準にSS(競技区間)の難易度を決めるので、ランドクルーザーのような車両重量1トン以上の重い市販車で走るのは、南米大陸時代のダカールラリーでも厳しかったです。
それが2020年以降、サウジアラビアに舞台が変わると格段に過酷さが増し、完走することすら難しい状況になっています。

だから市販車部門には前回大会ではTLC以外に地元チームが1台参戦したくらいで、もうTLCでないと市販車で完走はできないと思います。
チームが一丸となりランクル300をゴールへ運ぶ。ランドクルーザーは生きて帰って来られるクルマを証明してくれています。

2つめのトークショーは、レッツゴー4WDの松本編集長が進行し、長年ランドクルーザーの開発をしてきた、ランクルオーナーにとっては「Mr.ランクル」として知られる小鑓貞嘉(こやり・さだよし)さんと、アフリカ、オーストラリア、北米、欧州とランドクルーザーで走破して来た私のランクル談義です。

小鑓さんはトヨタに入社してまもなくランクル70系が誕生し、ずっとランドクルーザーの開発がしたいと思いながら、ハイラックスやプラドのシャシー設計を担当。2001年からランドクルーザーと、新型フレーム系プラットフォームの製品開発に主査として従事し、2007年にチーフエンジニアとなりました。
先日トヨタを卒業されましたが、最後は入社当時から思い入れの強かったランクル70の開発責任者として全うされました。

ランドクルーザー開発にあたり、ランドクルーザーが中東でどのように使用されているか見て回り、いかに人々の生活を支えているかを実感。以来アフリカ、オーストラリアなども見て回りながら、実際自分でステアリングを握り、現地現物で体得したものを開発に活かしてきました。

私が海外に行って、日頃からランドクルーザーをよく取り扱っているトヨタ販売店の方々に会うと、「私は小鑓さんと友達だ」という声をよく聞きました。各国でもランクル=小鑓さんと思い慕われているのです。
小鑓さんは期間限定発売のランクル70のときも尽力され、今回のランクル70は集大成だそうです。この小鑓さんはじめ開発に携わった方々の思いがこもったランクル70に乗れる人がうらやましいです。

3つめのトークショーは、ランドクルーザーシリーズを統括するチーフエンジニアの森津圭太さんと、TLCの三浦ドライバーによる「ランクルちゃんねる」YouTube公開収録です。

森津さんはランドクルーザーに加え、北米を中心に展開するタコマやタンドラなども担当する、トヨタ4WDの開発マイスター。
三浦ドライバーはトヨタ車体社員で、ダカールラリーではランクル100、200、300に乗りアフリカ、南米、サウジアラビアの道なき道を走っています。
このお二人が、今回出展していたカスタマイズカーの中から、気に入ったものを解説してくれました。この模様は後ほど「ランクルちゃんねる」をぜひご覧ください。

こうして内容盛りだくさんで、1日があっという間のランドクルーザーファンミーティング。詳細は7月6日発売予定のレッツゴー4WDに紹介されますので、ぜひご覧ください!

参加したオーナーにとっては、たくさんのランドクルーザーに囲まれるうれしさ、悪路やサーキットを走れて観られる楽しさ、そして何よりランドクルーザーが好きなオーナーたちとひとつになれたことがなによりだったと思います。

今回参加できなかったランドクルーザーオーナーのみなさん、次回はぜひお越しいただき、ランドクルーザーとともに楽しみましょう!

  • ランクルとともに勤め上げた小鑓さんに花束をプレゼント

写真:寺田昌弘・佐藤直貴/文:寺田昌弘

ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。