海外をクルマで旅する体験が少し身近になる・・・寺田昌弘連載コラム
振り返れば北米大陸横断、オーストラリア大陸縦断、南米大陸、欧州周遊、アジアそしてアフリカ大陸と約50ヶ国をクルマで走り、いくつもの国境を越え、旅をしてきました。
仕事で行くときは現地で借りて走りますが、私が海外を初めて自分の運転で旅をしたのは、大学4年の夏、自分のバイクでオーストラリア大陸を縦断する「オーストラリアンサファリ」というクロスカントリーラリーへの参戦でした。
このときオーストラリアへの輸送手配など自分でやりましたが、カルネ(一時輸出入する物品の通関に利用できる免税のための通関用書類)の申請や、乙仲(海運貨物取扱業者)にバイクを持ち込むなど、やることがいろいろあります。
様々な手続きが必要になる車両輸送なのですが、そんな中「海外を愛車で走りたい」という願いを叶えるサービスが、輸出入のスペシャリストであるシンオー株式会社から開始されます。まずはオーストラリアへの往復からスタートします。
自らの経験をツアーサポートに役立てる「サムライクルーザー」
シンオーは昨年「サムライクルーザー」プロジェクトとして、日本からオーストラリアへ持ち込んだ2台のランドクルーザー40で、自ら3ヶ月間のべ3万kmの冒険をしました。
ユニークなのはこの冒険クルーは、社員とそのお子さんなど総勢10名。代表の宮城泰雄さんは「デジタルの時代だからこそ、自ら体験する事こそもっと大切にしたい。未来を担う若者達に、より多くの経験を積んでもらいたい。大人たちには、子供の頃、誰もが持っていた熱い情熱をまた思い出して欲しい。人材価値創造、育成を目標とした冒険企画です」と、熱くまっすぐな思いでこのプロジェクトを成功させました。
そのときに経験した数多くの現場でのノウハウをもとに、もっといろんな方々にも体験してもらいたいとサポート事業の準備に入り、すでに企業向けサービス第一弾として2024年12月の出発をサポート予定です。
個人向けには2025年3月から募集を開始する予定で、日本↔オーストラリア往復の費用は200万円から(その時の為替レートにより変動あり)で、費用には往復の船代や必要な申請・手続き一式が含まれます。現地での旅費は入りません。
また国内においても、北海道で様々な四駆のレンタルと各種アクティビティを組み合わせたアウトドアツアーサービスの実施も計画。広大な北海道の自然を、ガイドと一緒に四駆でオリジナリティー溢れる旅を手軽に楽しめます。こちらも近々に概要が発表される予定です。
クルマで旅をする楽しさとは
私は、オーストラリアをバイクで縦断し、その後、取材でクイーンランド州にあるガリ(旧フレーザー島)にキャンパー仕様のランドクルーザー70で渡り、白い砂でできた島でキャンプを楽しみました。またプリウスで環境体感の旅をしたりと各地を巡りました。
ダカールラリーではフランス、スペイン、モロッコ、モーリタニア、マリ、セネガルといくつも国境を越える旅も印象的でした。南米大陸のアンデス山脈では、標高4,000m以上の場所を何度も越え息が苦しくなったり、ボリビアのウユニ塩湖を走ったときは、水面に映る雲の上を走る浮遊感がなんとも心地よかったです。
遠く離れた都市にいくなら飛行機で行けば簡単ですが、旅としては自分が主人公の映画で、シーンが一瞬で変わるような、点と点で都市がつながる感じです。
クルマで旅をすると、例えば1月にモロッコのアトラス山脈を越えるときは、夜は氷点下のなかでキャンプして、南下してモーリタニアのサハラ砂漠に入ると日中は40℃近くになり、360度砂漠で太陽と風と砂しかない世界。さらに南下してセネガルに近づくにつれ、バオバブの木が見えてきて、気候も植生を変わってくるのですが、飛行機の旅と違い、グラデーションで変化してくるのがわかります。
アメリカではテキサス州ダラスから南東に走り、ルイジアナ州ニューオリンズへ行くまで、暮らしている人々の人種も徐々に変わっていくのがわかります。こうして大陸の上を走っていくと、日々すこしずつ変化を感じられ、それを繰り返していくうちに地球上の草木や空気、人までもつながっているんだということに気づきます。
大陸を旅するなら、列車でもバスでもできますが、自分でドライブしながらする旅の一番いいところは、自分が行きたいところに行け、気に入ったところがあったら留まったりと「自由」であるということ。
私は両親ともに東京生まれで、幼少の頃から親の田舎に帰省する友達が羨ましくて、いつか自分も旅がしたいと思っていたら、今ではほぼ5大陸をクルマで旅をしていました。どの旅も私の経験値を上げ、仕事にも生活にもとても役立っています。何事も最初の一歩が大切だと思います。いつか海外をクルマで旅してみたいと思っているかたがいたら、ぜひ「サムライクルーザー」のSNSを観たりしながら、相談するのもいいと思います。
写真:サムライクルーザー 文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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