脇阪寿一 ドライバーズコラム 第3回 ご縁とご縁の沖縄と、モーターショーと僕の立ち位置と

ここ最近の10年、シーズンオフの1月はグアム、2月は沖縄で過ごす生活でした。
プロのレーシングドライバーとして、自分のパフォーマンスを向上させるための自主トレ、レーシングドライバーがプロアスリートであることを示すための自主トレ、ご縁をいただいた元阪神タイガース桧山さん、プロゴルファー石川遼選手を育てた仲田健トレーナーと共に過ごす時間。

(2016グアムトレーニングキャンプ)

1月のグアムは、レオパレスリゾートさんにお世話になり、野球選手や、プロゴルファー、プロボクサー、柔道家、陸上選手…、大勢の一流アスリートと共に、その年のそれぞれの活躍を誓い合い自分を高め合うトレーニングキャンプ。

(2016沖縄トレーニング合宿)

そして2月の沖縄トレーニング合宿は、桧山さんが阪神タイガースの現役時代は阪神が宿泊するホテルでお世話になり、そのホテルで、時には阪神タイガースのキャンプ地でトレーニングさせて頂き、桧山さんの引退後からここホテル モントレー沖縄さんでお世話になり自主トレを行っています。

しかし、今年の自主トレは悩みましたね。
参加しようか!?やめようか!?
その頃には現役を続行しないことを決めていましたから。
今現在の僕には、トレーニングよりすべき大切な事がたくさんあり、周りからもなんで行くの!?という意見があったのも事実。 ですが桧山さんの引退後、このグループのまとめ役を桧山さん、仲田健トレーナーから求められていたという事と、ここ最近僕の周りに集まってくる多くの若手レーシングドライバーの後輩達、彼らが我々のグアムトレーニング合宿に参加してみたいと言い出し、その引率の意味もあり参加することにしました。
現役を続投しないことを決断しての厳しいトレーニング、最初はモチベーションが続かないと想像していましたが、いざやってみると自分の立ち位置といいますか、後輩たちの未来に向けて、それに協力することの喜びを見つけたのです。

そしたら関口雄飛選手、国本雄資選手が…(今年のGT500 Wedsコンビです)

(2016沖縄トレーニング合宿)

「沖縄も参加させてください!」って。
でも、そらそうですよね。この環境、このクオリティーのトレーニング指導を受けたらそうしたくなるのはプロとして自然で…。 関口選手はエースとしての、国本選手は僕と交代してチームに所属する事になったため、責任感と何か背負うものがあったのかもしれません。
ですが、沖縄まで僕が参加するの!?という葛藤が生まれたのも事実。
でもそれもご縁と思い、彼らが参加するなら、彼らの気持ちに応える事や、お世話になるホテルの支配人にも挨拶をしないといけないし、他のアスリートに頭を下げないといけないし、仲田健トレーナーに対する敬意もあるし、彼らの指導もしないといけないし…ね。

ご縁とは面白いものだと思います。
僕が沖縄に参加すると決めてから、沖縄トヨペットの堀川常務から連絡をいただきました。何回かやりとりをさせて頂きましたので、僕が沖縄入りするとそのままご挨拶に。当然の流れです。

先に沖縄入りをしていた国本雄資選手が僕を迎えに来たので、ちょうど彼も紹介しようと、2人で沖縄トヨペットさんの店舗にお邪魔したのです。
温かい歓迎と、また沖縄モータースポーツ振興協会の大城理事長も僕が来店するということで駆けつけてくださり、クルマの、モータースポーツの話で盛り上がり、話題は沖縄でモータースポーツをどう盛り上げるかにも至りました。そしてその場で、週末に沖縄コンベンションセンターで「2016 ALL TOYOTA MOTOR SHOW in OKINAWA」が開催されることを知りました。
話は尽きませんでしたが、トレーニングのスケジュールを調整して、週末のどちらかの日で我々もモーターショーにご挨拶に伺うことを約束し、沖縄トヨペットさんを後にしました。

迎えた土曜日、仲田健トレーナーに無理を言って、トレーニングメニューを午前中に詰め込み、午後から沖縄コンベンションセンターへ。

同じ行くなら、沖縄におけるクルマ社会の現状を、今後のため関口選手、国本選手にも経験してもらおうと2人も同行させました。

すでに会場は駐車場がほぼ満車、たくさんのお客様で賑わっていました。
このイベントはクルマを通じて驚きや感動を伝える事をコンセプトに3つのWOW(ワオ)!を用意し、WOW1!は、メインステージで東京モーターショーに出展した

TOYOTA S-FR
TOYOTA C-HR concept
TOYOTA FCV PLUS

貴重なこの3台が展示され、各時間には新田守男選手によるトークショー、モデルさんのステージが開催されていました。
WOW2! は、新型プリウスの全カラーを一堂に展示。
イベント会場の中央では

そのうちの1台の新型プリウスや

トヨペット店のフラッグシップ車、TOYOTA マークX G’sなど、オールトヨタのクルマが一堂に展示、大商談会が実施され、その間には

同行した子供達たちが喜ぶコンテンツがずらり、そして野外には

クルマの試乗体験コーナーや

中古車販売スペース、そして、

モータースポーツコーナーがあり、

グッズや各メーカーのPRブースが設置され、モニターではスーパーGTのレース映像が放送されていました。これ嬉しかったですね。

会場を3人で一回りし、イベントにゲスト出演されている新田先輩の控え室にお邪魔すると

新田先輩のありがたいお気持ち、カー用品販売店ジェームスさんでお馴染み、タクティーさんのお計らいで、沖縄県トヨタグループさん、イベントスタッフさんのお計らいで、何と何と!我々3人が新田さんのステージへ飛び入り参加させていただく事になりました。

関係者の皆さんと簡単に打ち合わせを行い、新田先輩からイベントの趣旨等をお伺いし、いざステージへ。

新田先輩のようにレーシングスーツを着て登場するならまだしも、我々が飛び入りで、しかも私服で登場してもね・・・。そう思いましたが、会場に来られている沖縄の皆さんは温いですね。我々を快く迎え入れて頂き、我々の話に耳を傾けてくださいました。スーパーGTのお話を少しして、皆さんがやっぱり気になるのは会場に並んでいるクルマのこと。我々プロがそのクルマたちをどう思っているのかを聴きたいみたいで、新型プリウスのお話をさせていただきました。ですがステージ全体の時間が15分と時間も少なく、最後に僕が先日撮影、アップした新型プリウスの試乗レポート、Channel 11に皆様を誘導しておきました。(笑)

またその後に行われたスーパーGTエンジン始動コンテンツ、WOW3!では
使用されているクルマがなんと

WedsSport ADVAN IS 350
去年まで関口選手と共に僕がお世話になった、今年関口選手と国本選手が所属する坂東チームがかつてGT300でタイトルを獲得したクルマ。
なんというご縁ですかね。
せっかくなので両選手にマイクを持たせ、お客様にクルマの説明してもらいました。これもまた彼らにとっては勉強なんです。会場ではそのエンジン音の迫力と彼らの説明に興味を示してくださり、たくさんのお客様にお集まりいただきました。

最後は新田先輩にジェームスさんのレースクイーン、高比良渚さん、吉江幸貴さんも加わり記念撮影。

色んなご縁が重なり参加させて頂きました「2016 ALL TOYOTA MOTOR SHOW in OKINAWA」
仕組まれたようなこのご縁、すごいと思いませんか!?
関口雄飛選手、国本雄資選手の成長を期待し沖縄入り、トレーニングに励んでいると、そこにトヨタのイベントがあり、色々な方々のご理解、ご協力、気持ちがあり、ましてやWedsSport BANDOHのクルマ…。

沖縄には、彼らがスピードを追求するためのトレーニングをする環境と、モータースポーツを伝える為の経験を積ませていただける場所の二つがありました。僕がモータースポーツの発展のため大切にしている二つの事、両方。最初は参加を悩んでいた僕も、心の底から沖縄に来て良かったと思いました。
グアムを決断し、沖縄に来て…全てご縁です。ご縁に感謝です。
僕は今までも大切にしてきましたが、これからもやっぱりご縁は大切にしていきたいと思います。

当日あった事は細かく僕のブログにも書いていますので、良かったらそちらもお楽しみくださいね。
http://ameblo.jp/juichi-wakisaka/entry-12128751889.html

関口選手と国本選手は、このモーターショーに参加させて頂き、どのように感じたのか聞いてみました。

関口雄飛選手
「沖縄の方々は本当に温かかったです。僕らの話にも耳を傾けてくださいました。我々は寿一さんみたいにまだまだ上手に話せませんし、伝える事は難しいです。ですから話すのにもまだまだ自信が持てません。でも沖縄の方々が耳を傾けてくださり、うなずきながら聞いてくださるので、話す自信が持て一生懸命に話せました。感謝です。またレーシングカーのエンジンをかけただけであれだけ喜んで下さるなら、何とかクルマを走らせてもっと沖縄の方々に喜んでもらいたいと強く思いました。今回我々を受け入れてくださいました皆様に感謝します」

国本雄資選手
「イベントの規模だけを考えたら、そうでもないと思ったのですが、イベントって何を用意するかとかだけではなく、参加される方々がどれだけ楽しんでおられるかによって会場の雰囲気が変わるのですね。会場全体がものすごく温かい雰囲気に包まれ、活気があり僕も自然に笑顔になれました。そんな会場に自分たちが参加させていただき、モータースポーツを語らせていただけた事は本当にありがたい事だと思います。沖縄でモータースポーツを盛り上げたいですね。沖縄県トヨタグループの皆様、関係者の皆様、本当にありがとうございました」

少ない時間でしたが、トレーニングの合間に若者2人は、ご縁をいただき参加させていただいたこのイベントで何かを感じ掴んだようでした。
僕としても本当にありがたく思います。
またこのご縁を大切に、沖縄の皆さんが喜んでいただけるなら、沖縄でのクルマ文化の発展と、クルマの楽しさ素晴らしさを伝える事に協力させて頂きたいと強く思いました。

さてこのイベントは、沖縄県トヨタグループの皆様が作り上げてこられた展示販売会として43年、モーターショーとして14年の歴史があるイベントです。これにモータースポーツのコンテンツを入れだしたのは最近で、トヨタ自動車本体の方向性とともに、これからはモータースポーツの楽しみを沖縄の方々にも感じていただけるような環境を作りたい、クルマを通じて驚きや感動を伝えたいという沖縄県トヨタグループの皆様の思いがあります。

沖縄の方々はお祭りをこよなく愛されています。
ヤギ汁を振舞う“ひーじゃー祭”なんかは、それが行われていると知ると、関係ない方々まで参加され、主催者側もそれを断らないという文化あるそうです。

このイベントも沖縄の方々にとって一つの楽しいお祭りになっていました。
だからあのような温かな雰囲気がそこにあったのだと僕は思います。
お祭りに来て、みんなで楽しんで、その場でクルマを買う。
沖縄の方らしい素晴らしいイベントですね。
この2日間でのご来場者18148人、車の販売台数451台。
凄い数字です。

沖縄県トヨタグループの皆様、ありがとうございました。
お疲れ様でした。

[ガズー編集部]

 

MORIZO on the Road