棚田の風景＆手漉き和紙作りを楽しむ春のドライブ　和歌山県有田川町

2017.03.22 09:30

大阪市内から阪和道などを経由して約2時間30分。和歌山県中北部を潤し、やがて紀伊水道へ注ぐ有田川の上流域にあり、周囲を深い山々に囲まれた有田川町のしみず。先人の汗と工夫が偲ばれる棚田の風景、歴史と伝統に培われた和紙などの手作り体験、心身をほっこり癒してくれる温泉など、楽しみは盛りだくさん。有田川が山を深く刻んで流れ、その寒暖差が生み出す滋味に満ちた農産物と、それを使った農産加工品も魅力のひとつだ。

江戸時代から受けつがれる伝統の手漉き和紙作り「体験交流工房わらし」

最盛期には400軒もの紙漉屋が軒を連ねたというしみず。その伝統の名産「保田紙」を、昔ながらの手漉きで作ることができる。どろどろに溶けた原料を、専用の簾（す）でゆらゆらと漉けば、ほんの2、3分で完成。大量生産品にはない素朴な風合いに大満足だ。

原材料のコウゾを繊維の束にほぐすまでの加工が大変。紙漉きも漉き士の熟練が問われる世界。しかし体験では指導員が丁寧に指導し、みるみる形になる。できた和紙は後日発送もしてくれる。
うちわ作りの体験も。骨組みに和紙を張り合わせるだけの手軽さだが、思い思いの飾りをつければ、オリジナルうちわの出来上がり！

建物も湯船も八角形！　「しみず温泉」で、有田川を見下ろしながらのんびりリラックス

地元産の木材をふんだんに使って建てられた温泉施設。八角形の建物を八つ組み合わされた空間構成が特徴的。湯からあがれば、八角形に合わせて敷かれた畳の休憩所でのんびりできる。有田川の眺めと、木の温もりに包まれて、しばし憩いの時間を。

湯船も八角形で、マキの木でできている。お湯は無色で匂いもなくさらっとした泉質。向かいにある滞在型施設「あさぎり」に宿泊すれば何度でも入れる。
温泉にゆっくり癒されて、見下ろす有田川の景色や流れる水の音色に、いつまでもくつろいでしまいそうだ。

自然の作用と人間の努力が織りなす絶妙の景観美棚田百選の「あらぎ島」では稲作体験も

開墾は江戸時代初期にさかのぼり、現在まで脈々と受け継がれてきた「あらぎ島」。2013年には国の重要文化的景観にも選定された。この歴史ある棚田では、稲作体験も行われている。自分で作ったお米のおにぎりはこの上なくおいしいはず。

対岸には展望所があって棚田を一望できる眺め。付近の道幅は狭いので、面倒でも徒歩2〜3分のところにある無料駐車場を利用しよう。
近くには「道の駅あらぎの里」がある。紀州地鶏を使った地鶏カレーや、手作りこんにゃくを練り込んだこんにゃくうどんを食べ、山里の風味を楽しむ。

日本の棚田百選にも選ばれ、有田川町のシンボル的存在となっている「あらぎ島」の棚田。田植え前、水をはった棚田は鏡のように、夏には太陽を浴びた稲の緑が美しく、収穫前には黄金色の稲穂が揺れて輝く。季節ごとに表情を変える棚田の景観は、いつ訪れても見る者の目を楽しませてくれる。2013年7月にオープンした施設「あさぎり」は、滞在型農村交流施設と銘打ち、宿泊棟やレストランなどを備えている。ここに滞在しながら、じっくりと美しい景観を探訪するのも、深く「しみず」の魅力を満喫するには良い方法だ。

体験交流工房わらし
和歌山県有田郡有田川町清水1218-1
TEL／0737-25-0621
営業時間／8:30〜17:00（体験受付は9:00〜15:00まで）
定休日／水・木曜休、年末年始、祝日
料金／紙漉き体験400円、うちわ作り体験600円
駐車場／有
HP／www.town.aridagawa.lg.jp