【ワクワクが止まらない!GRヤリスの世界】アフターパーツメーカー『HKS』開発最前線!どれだけ追い込んでも“壊れないエンジン”の強度と耐久性に驚愕!
総合チューニングパーツメーカーとして、日本のみならず世界に名を轟かせる『HKS(エッチ・ケー・エス)』。マフラーやサスペンション、ターボキットや排気量アップキット、果てはコンプリートエンジンまで手掛ける、日本最大級のチューニング系アフターパーツメーカーだ。
スポーツカー好きならずとも、クルマ好きならその名を一度は聞いたことがあるだろう。
HKSもGRヤリスの登場に胸を躍らせ、パーツ開発でワクワクが止まらない!そんなHKSのGRヤリス開発現場に潜入し、その可能性や未来について直撃した。
ストリート仕様とレーシング仕様の2台でGRヤリスの潜在能力を探る
今回は、GRヤリスの開発に携わっているキーマン、商品開発担当の西村さんと、レーシング部門の山下さんのふたりに話をうかがった。
HKSでは、3台のGRヤリスを用意し、1台を『HKS レーシング パフォーマー GRヤリス』としてサーキット仕様に、残りの2台をストリート仕様にチューンし、商品開発を行っている。
そのサーキット仕様の開発指揮をとっているのが山下さん。そのデータを活かしながら商品化に向けて日々開発を行っているのが西村さんだ。
写真左は、『HKS レーシング パフォーマー GRヤリス』と名付けられたサーキット仕様。写真右は、『HKS ドライビング パフォーマー GRヤリス』と名付けられたストリート仕様。
そんなふたりに、率直にGRヤリスに触れた感想を聞いた。
すると西村さんは、「丸くて可愛らしい見た目ですけど、乗ってみるとかなりハードですよね!乗る前のイメージは、1.6Lターボで非力なんじゃないかと思っていたんですが、実際に乗るとエンジンのパンチ力がすごくて、気づかないうちにスピードが出ているほど」
「特に気に入っているのがエンジンレスポンスの良さで、2500回転くらいからブーストが立ち上がって、そのまま7000回転まで気持ちよく回っていくんですよね。エンジンに関しては満点!」と太鼓判を押す。
続けて山下さんにも聞くと「予想以上にパワーが出ていますよね。チューニングしなくても十分速いんじゃないの?って思うくらいです(笑)」
「レーシング仕様は、納車後すぐにECU(エンジン・コントロール・ユニット)を交換して、ブースト圧を上げて出力を高めましたが、ターボの限界までブースト圧をかけても壊れない。さらに大きなタービンに交換してもまだエンジンが壊れていないので、底が見えないクルマですよね」と、そのパフォーマンスに驚愕したそうだ。
壊すことが使命のレーシング部門と、壊れないGRヤリスのエンジン
HKSは、商品開発の一貫としてチューニングカーによるサーキット活動に力を入れている。そんなサーキット活動には、クルマの限界性能を探り、その経験を市販品開発にフィードバックするという目的がある。
そのため、山下さんには『徹底的にクルマを痛めつけ、壊して限界値を探る』という役割もある。
そんな山下さんにとってGRヤリスは強敵だった。とにかく壊れないのだ。
「レーシング仕様のGRヤリスは、タービンを交換して、ブースト圧を2.3キロまで引き上げ、450馬力というパワーが出ています。普通、ここまでパワーを上げれば、どこかにほころびが生まれてトラブルが出るもの。そんな壊れた部分を強化するためにエンジンパーツ、例えばピストンやコンロッドなどの強化品を開発します」
「限界を試すのが私の仕事なのにGRヤリスは壊れないんですよ。今までのクルマなら、これくらいチューニングすればどこか壊れて、強化パーツを組み込んだり、よりハイパワーな別のエンジンに載せ替えたりというのが定番でした。しかし、GRヤリスのエンジンは丈夫すぎて、未だにノーマルのままです」と、その頑丈さに驚きを隠せないようだ。
ここまでトラブルの出ないエンジンは、これまで遭遇したことがないと言うほど、強度と耐久性の高さに舌を巻く。
レーシング仕様としてGRヤリスを追い込んでいく過程では、驚きの連続だったそうだ。
「エンジンを開けてみると、市販車とは思えないほど高品質なピストンやコンロッドといったエンジン内部パーツが使われているんですよ。競技ベース車らしいというか、決められたレギュレーションの中で最適なパフォーマンスを引き出すために考え抜かれているなと素直に驚きました」と、サーキットマシンとしての素性の良さを体感したそうだ。
サーキット仕様のGRヤリスのエンジン&インテリア。エンジン本体はノーマルだが、試作タービンに交換され、450馬力というパワーを絞り出している。また、内装や助手席も取り外されてスパルタンなインテリアもサーキットマシンらしいところ。
開発する中で感じたGRヤリスの圧倒的なクオリティとコスパの良さ
少しマニアックなチューニングの話が続いたので、よりユーザー寄りの情報として、商品開発担当の西村さんに話を聞くと「サスペンションに関しても、純正でもアフターパーツのように調整幅が広いし、強化品のようなブッシュ類も採用されているんです」と、随所に散りばめられたトヨタのこだわりに感心したそうだ。
続けて「開発のために純正部品を取り外して、重量も量っているんですが、すべての部品が軽い!これはアフターパーツメーカー泣かせですね。これだけ純正部品が軽いと、アフターパーツメーカーとしては開発が大変。ユーザーとしては嬉しいところですけどね」
「細部の作り込みや部品を検証していくと、よくトヨタはこんなに軽くクルマを作れたな、この値段で実現したな、と思いますよ!それにチューニングしがいのあるクルマを出してくれてありがとうという気持ちです」と、GRヤリスの凄さを体感し、アフターパーツ開発に挑んでいる姿勢が垣間見えた。
HKSパーツでトータルチューンが楽しめるようなアイテムを絶賛開発中!
そこで気になるのが、HKSがGRヤリスのチューニングに対するアプローチだ。そのあたりを聞いていくと「まずは純正の良さを活かして、自分らしいGRヤリスに仕上げてほしいですね!そのためにHKSでは、ユーザーが吟味して、好きなパーツが選択できる環境づくりに力を入れています」
「すでにマフラーやサスペンションなどのパーツもリリースしていますが、どんどんGRヤリス用パーツを開発して、ユーザーの皆さんに届けたいですね!HKSはトータルチューンを得意としているので、選択肢の幅を広げていくことに力を入れています」と語ってくれた。
ストリート仕様は、エンジンやタービンもノーマル。HKSでは、手軽にブーストアップが楽しめる、パワーエディターというアイテムもリリースしている。パワーチューンに興味のあるGRヤリスユーザーは必見!
そのほかにもマフラーやサスペンションなどの機能系パーツもいち早くリリースしている。
今後は、レーシングサクション(インテークパーツ)やインタークーラー、夏場に向けてクーリングパーツもリリースしていく予定ということ。
さらにストリート仕様のGRヤリスに装着しているエアロも5月頃に販売開始予定ということで期待が高まるばかり。
GRヤリスに乗っているユーザーはもちろん、今後GRヤリスに乗りたい人は、HKSから目が離せなくなりそうだ。
GRヤリスで気軽にサーキットを走ってもらいたい!
また、HKSでは、その高い走行性能と快適性を活かして、もっと気軽にサーキットを楽しんでもらいたいという想いもあるそうだ。
「GRヤリスは、純正のままサーキットも楽しめるクルマです。だからドライブがてらサーキットに遊びに行って、そのままスポーツ走行を楽しんで、余韻に浸りながら帰宅するような遊び方を提案したいですね。やっぱりGRヤリスの真価は、クローズドコースで一番体感しやすいと思うんですよ」と、西村さんは語ってくれた。
そんなクルマ遊びを提案するために、HKSでは今後、全国のミニサーキットでGRヤリスを走らせて、コースの基準タイムを作るプロジェクトをはじめている。
「サーキット走行を楽しむとき、自分と同じクルマのタイムって気になりますよね!」とは、レーシング仕様のGRヤリスを担当している山下さん。
そんなプロジェクトが「HKS レーシング パフォーマー GRヤリス サーキットチャレンジ」だ。
人気レーシングドライバーの谷口信輝選手とタッグを組んで、愛知県『幸田サーキット』や福岡県『スピードパーク恋の浦』、富山県『おわらサーキット』といった全国のサーキットでタイムアタックを敢行。
サーキット仕様とストリート仕様の2台をサーキットに持ち込み、基準タイムをつくる計画だ。また、そんなサーキット走行から得た経験は、市販チューニングパーツにもフィードバックされる。
運転が楽しい、操作が学べるクルマをつくってくれたトヨタに感謝!
最後にGRヤリスをつくったトヨタへのメッセージを聞くと、「快適な移動手段としてのクルマが増え、家族と一緒に楽しむファミリーカーが多い中、操作する楽しみ、喜びのあるクルマを作ってくれて本当に感謝しています!」
「我々のようなチューニングパーツメーカーにとっては、本当に価値のあるクルマです。それも4WDターボなんて、待っていましたという心境です!」と、西村さん&山下さんともにワクワクが止まらないようだ。
また、レーシング担当の山下さんは、「個人的にコンパクトなホットハッチが好きなので、とっても魅力的ですよね」とウキウキの様子。
西村さんも「ずば抜けて優等生なクルマ!でもチューニングする余地はある最高のベース車です!」と、商品開発担当としてもウズウズしているようだ。
コロナ禍ということもあり、イベントが減っている状況だが、落ち着きを取り戻したら積極的にイベントへ参加し、ひとりでも多くの人にHKSチューンのGRヤリスに触れ、試乗できる場を提供していきたいと語ってくれた。
チューニングメーカーも注目するGRヤリス。アフターパーツが増えれば、さらにユーザーは楽しみ方が増えるだろう。そうなれば、どんどんGRヤリスの輪が広がっていきそうだ。オーナーさんが自分好みにカスタマイズ&チューニングしたGRヤリスを見てみたいし、オーナーズミーティングで十人十色なGRヤリスに出会いたい、そう取材をしながら思った。
今後もGRヤリスに魅了され、ワクワクが止まらないショップやメーカーを紹介していく。さらにGRヤリスを購入し、自分好みにカスタマイズを楽しむユーザーさんも取材予定なので、乞うご期待!
(⽂:三木宏章 / 撮影:三木宏章 / 取材協力:HKS)
[ガズー編集部]
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