【PHVとの生活】良質のオーディオ空間で車内の会話が弾む、その理由
PHプラグインハイブリッド車(PHEV)のメリットは、クリーンさや静粛性の高さ、電気自動車とガソリンエンジン車との利便性を併せ持つ点など、多岐にわたるメリットを有している。しかしながら、同時に音について、特にオーディオ環境についてもかなりの優位性を持ち合わせていることはあまり知られていないのではなかろうか。
そこで、今後は高度運転支援や自動運転車などの普及により、ますます重要視されることとなってくるオーディオ環境について、カーオーディオメーカー「ソニックデザイン」の佐藤社長を専門家としてお呼びして様々な話を伺いつつ、PHEVにおけるオーディオ環境の優位性を紹介していこうと思う。
堅苦しい話と思われそうだが、実際のところはそうでもなかったりする。新時代のドライブにはどんな楽しみがあるのか、それを存分に楽しむためにはどういった環境を用意しておくのがベターなのか、というシンプルな話だ。
運転支援システムが発達してドライバーに余裕が生まれると、その分同乗者との会話も楽しみやすいだろう。その際のカーオーディオはどうあるべきか。運転支援を過信して注意力が散漫になる人がいるかもしれない。リラックスしつつも、注意力を保ち続けるにはいかなる環境が理想的なのか。
そういったことが、良質なオーディオシステムを用意することで叶えられたりするのだ。もちろん、車室内で楽しむエンターテインメント候補には映画やTVドラマなどの映像コンテンツもあるが、そちらはどうしても視線が持って行かれるため、ドライバー自身が楽しめるものではなく、“音楽”が車室内で楽しめるエンターテインメントとして現実的であり理想的でもある。
そういった要素もあってか、実際に自動化と電動化が進んだ高級車の世界ではすでに“良質なカーオーディオを用意する”トレンドが顕著に表れている。自動車メーカーもオプション、または純正として高級カーオーディオに非常に力を入れ始めており、ディーラーオプションで10万円以上の高級スピーカーがヒットするなどサードパーティー製の製品も盛り上がっている。カーオーディオというと、いまだ“巨大なウーファーを付けて大音量で”というイメージを持つ人が居るかもしれないが、最新のトレンド、特にPHVなどの先進的なクルマでは質が重要視される時代となっているのだ。
そんなクォリティが重要視されるカーオーディオにとって、PHEVはいかなるメリットを提供してくれるのだろう。
まず、第一にして最大のメリットとしてあげられるのが静粛性だ。PHVやEVは、モーターのみで走行できる。エンジン音がしない、とても静かな車室内を実現しているので、音楽を楽しむには理想的な環境だ。ソニックデザイン佐藤社長にいわせると、これが様々なメリットを生み出してくれるのだという。
「車室内が静かということは、音楽を存分に楽しめることはもちろん、ボリュームを下げても良く聴こえるというメリットがあります。そういった環境では、良質なオーディオシステムがアドバンテージを発揮するのです。音の良いスピーカーは、小さな音量でも音がしっかりと聴こえますので、存分に音楽を楽しむことができます」
確かに、良質なカーオーディオシステムは技術の進歩によりヴォーカルの声の通りの良さや楽器の定位感の確かさ、音場の広がり感の自然さなど、ホームオーディオではなかなかたどり着けない次元まで手に入れることができるようになっている。その結果として、音量をそれほど上げなくてもリアルな音楽を存分に楽しむことができる。オマケで付いてきたような過去のカーオーディオとの大きな違いだ。もうひとつ、良質なカーオーディオには大きなメリットがあるという。
「小さな音量でカーオーディオを楽しめる、ということは車室内での会話の妨げにもならないのです。良い音で音楽を聴きつつ、同時に友人達との会話を楽しむことができます。エンジン音や振動がないPHVやEVのような静かな車室内環境をもつクルマはとくにそうです。逆に、質の悪いカーオーディオだと、良い音にするためにボリュームを上げたくなったり、逆に会話のためにオーディオをオフにしたくなったりしてしまいます」
今回の取材では、実際にソニックデザイン製のスピーカーシステム「SonicPLUS SC222M CUSTOM」(税別セット価格80万円!)を装着したメルセデスベンツS550eプラグインハイブリッドをドライブさせてもらった。「SonicPLUS SC222M CUSTOM」は、純正置換え型パッケージシステムで、Sクラスに全くダメージを与えずに、良質なサウンドを実現する。センターを含む7つのユニットがセットとなっているほか、前席足下の純正サブウーファーを活かすためのネットワークも付属している。
ソニックデザイン独自の設計によるエンクロージュアは、アルミ素材などを採用することで高剛性と高耐久性を両立。実車からの型取りをおこうことで、高いフィット感を実現しているのも特徴だ。いっぽう、そのエンクロージュアには、52mmという小口径ながらも良質かつワイドレンジな再生を実現したスピーカーユニットが取り付けられている。確かに佐藤社長がおっしゃるように会話と音楽とが同居できることに驚いた。上質な空間はSクラスだから、だけではなく、静かなオーディオ環境がとても効いている。特に低速走行時、比較的騒音レベルの低い環境だと、高級スピーカーシステムならではの良質さを、大いに体験することができた。
私にとって、それ以上に楽しかったのが停車時のリスニングだ。PHVならではのメリットとしてずっと停車していてもアイドリングなどエンジン音はもちろん無し。タイヤから伝わる走行音、風切音もない停車時は騒音に妨げられがちな低音もしっかりと届いてくる。ホームオーディオに遜色のない、良質なサウンドを堪能することができた。定位感もしっかりしており、音の広がり感も大きいため、まるでライブ会場にいるかのような、雄大なサウンドフィールドが楽しめる。
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- 今回の取材では、ソニックデザイン製の高級カーオーディオシステム「SonicPLUS SC222M CUSTOM」を装着したメルセデスベンツS550eプラグインハイブリッドで試聴させてもらった。停車時、街中走行時など、様々な環境で試聴した。
こういった音場の広さや定位感の確かさは、特に今回試聴させてもらったソニックデザイン「SonicPLUS SC222M CUSTOM」までのレベルとなると、ホームオーディオでもなかなか実現しづらい。さらに、いまどきの住宅事情では無理めな音量(停車中に音楽鑑賞していた際に存分に音楽にのめり込むことができる比較的大きめの音量)に上げることも可能だ。ヘッドホンだとこの迫力を容易に得られるかもしれないが、定位感や広がり感ではこちらに確固としたアドバンテージがある。
静かなクルマ、PHVだからこそ、そのメリットを最大限に活かせる、何よりとても相性の良い、良質なカーオーディオ空間が容易に手に入る時代が来ているのだ。
野村 憲司(のむら けんじ)
自動車雑誌の編集を経てフリーランスとなる。趣味の楽器演奏が嵩じて、オーディオビジュアルの分野にも活躍の場を広げる。近年では、カーオーディオ、ホームシアター、真空管オーディオなどに加えて、PCオーディオやヘッドフォンの音質リポートも数多く手がけ、「野村ケンジ」名にて執筆中。特にヘッドホンは、年間100以上の製品を試聴しつつ、最新の動向をくまなくフォローしている。
(野村憲司、レスポンス編集部)
[ガズー編集部]
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