大学自動車部ってどんなところ? -名古屋大学編-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。今回は、名古屋大学体育会自動車部を訪問。聞くところによると、OBとのつながりが自慢とのこと。はたしてどんな雰囲気の部なのでしょうか。

名古屋大学体育会自動車部プロフィール

部員数:男子 7名 ※部員数は2014年3月現在

部車:なし

活動内容:毎週金曜日のミーティングを除いては、基本的に自由活動。
毎年開催される名阪戦と七大戦での勝利を目指して活動中。

活動実績:七大戦 ジムカーナ2013 B2クラス 個人3位
2013年名阪戦 勝利

キャンパスの奥にある部室は、まるで自動車の整備工場

旧帝大の一つの名古屋大学。広大な東山キャンパスの奥に自動車部があります
今回、取材に協力してくれた部長の横手君(左)、大谷君(中)、五十嵐君(右)
整備工場のような様相の自動車部。一見すると大学の施設とは思えないほど
最大3台まで同時に整備できる自慢のガレージ。他の国公立大学の部と比べるとかなり広いとのこと

今回訪れた名古屋大学は、1871年に設立された尾張藩仮病院・仮医学校を源流とし、1939年に名古屋帝国大学として創立。21世紀に入ってからノーベル賞を受賞した日本人10名のうち4名を輩出した、日本有数の学府として知られています。

広大な名古屋大学東山キャンパスの最南端に、今年で創部55周年を迎える名古屋大学体育会自動車部があります。今回は部長の横手君、そして1年生の五十嵐君、大谷君に話をうかがってきました。

基本的な活動は、全体ミーティングが毎週金曜日にあるだけ。あとは自由活動で、それぞれが予定を合わせて知多郡の美浜サーキットへ走りにいったり、部のガレージにてマイカーの整備や洗車をしたり……。

活動のメインとなるのが、毎年行われる大阪大学との対抗戦となる名阪戦と、旧七帝大が集まって行われる七大戦。特に七大戦は旧七帝大が持ち回りで担当することになっていて、九州や京都など、開催地に全国から一同がそろうビッグイベント。勝利を競うのはもちろん、そこで同じクルマに乗っている学生との出会いやパーツ交換など、他大学の自動車部との交流も大会の魅力とのこと。

ところで訪れてまず驚いたのが、20台ほどの自動車がすし詰めになった整備工場のような独特の雰囲気。敷地もテニスコート3面分はありそうでかなり広い!ちらほら見受けられるナンバーのないクルマはすべて部品調達用のクルマで、エンジンなどを取り出し、自分のクルマに組み込んでいるそうです。

今年で創部55周年。OBとのつながりの強さが自慢

部室にはクルマ関連の漫画やゲームがいっぱい。まさに自動車部!な部室
先輩が1年生の大谷君にレクチャー。このクルマは先輩から大谷君に受け継がれる予定とか
秋田県出身の五十嵐君。クルマが大好きで、自動車王国・愛知県の大学を目指したそうだ
正式な部員数は現在7名ですが、院生のOBなど頻繁に遊びに来るそうで、活動日はにぎわいを見せます

部の自慢は、OBとのつながりの強さ。OBはトヨタ自動車や日産自動車など自動車業界で働く人が多いようです(プロのラリー選手になった人もいるとか!)。現在でも3カ月に一度はOB会が開かれていて、毎回20人程度が出席。かなり幅広い世代のOBが参加するそうですが、決して堅苦しい場ではなく、非常にフランクな雰囲気とのこと。

ただ、つながりは強くとも、部の運営は現役に任せるというのが昔からのOBのスタンスのようで、これが自動車部のポリシーになっているようです。1つ2つ上のOBなら電話をすればすぐに駆けつけてくれるので、メンテナンスなどクルマに関する疑問点や不安の相談ができます。先輩の力も借りながら現役がやりたいようにやれる、非常にいい環境です。

OBだけでなく大会で出会う学生もそう。クルマから始まる交流こそ、自動車部の一番素敵なところかもしれませんね。

ところで、皆さんはどうして入部したのでしょう。1年生の大谷君と五十嵐君に聞いてみました。

「僕は特別クルマに興味があったわけではありませんでした。せっかく免許を取ったから、運転できる部活はないか探していて、そこで知ったのが自動車部でした」と大谷君。彼のようにクルマに興味がなくても、入部してから夢中になる人もいるそうです。

対照的に五十嵐君は根っからのクルマ好きで、名古屋大学には自動車を設計・製作することを目的としたフォーミュラーチームもあるのですが、こちらに入部しようか迷ったほど。しかし「作る」よりも「乗る」ほうが好きだと知って自動車部へ。「乗ることが好きだとはっきりと気付かせてくれたのが、新歓でのサーキット走行ですね。先輩の隣に乗せてもらって『クルマの運転ってこんなに楽しいんだ!』と感動しました」。

せっかくなので現在の自動車業界について感じることも質問すると、3人から真っ先に挙がったのがトヨタ 86(ハチロク)の話題。「若い人に乗ってほしいと言う割には価格が…」とのこと。裏を返せば、86はそれだけ注目されているということですね!

目標は部のクルマのゲット!そしてクルマ好きの仲間を増やすこと!

クルマのフロントには顔のようなあしらいが。このようなビニールテープアートが七大戦で密かなブームなのだとか
七大戦のラリーの模様。雨中をスピーディーに駆け抜ける。レースで得られる興奮は唯一無二!
昨年の学祭ではクルマを展示して自動車部をアピール。今年も面白い企画を考えているそうだ
「クルマ好きを増やしていきたいですね」と熱く語る部長の横手君。バイト代の9割はクルマに投資!

名阪戦や七大戦の勝利も大切ですが、直近の目標は部のクルマを購入して全日本学生自動車連盟やJAFの公式戦に参加すること。
数年前まで「マツダ RX-7」があったのですが廃車となってしまいました。今は、大会にはそれぞれが自分のクルマで参加しており、部員の1人はトヨタ スターレットでラリーにも参戦しています。

ちなみに「大学生でマイカー所有」と聞けばハードルが高そうに感じますが、大半は先輩から格安でゆずってもらったもの。これも自動車部ならではの特典かもしれませんね。

もうひとつの目標が、クルマ好きの仲間を増やすこと。現在ホームページやFacebookに力を入れており、五十嵐君がWEB担当としてコマメに更新中。草の根的に自動車部の活動を発信して、クルマ好きを増やしていきたいそうです。もちろん新入部員も募集中ですよ!

最後にクルマに対する想いを横手君に聞きました。

「クルマはただの移動手段じゃないと思うんです。クルマと過ごす時間は本当に楽しい。新入部員を誘う際には、それをどうやって伝えるか、いつも心がけていますね。やっぱり面白くないと興味を示してくれませんから」。

クルマの知識がない学生や女性も大歓迎。自動車免許も入部してから取れば問題なし(免許取得後、翌月に大会へ出場した先輩もいるくらい!)とにかく自由に活動を続ける自動車部に興味がある方、是非とも一度訪ねてみてください。

関連サイト
【HP】NUAC 名古屋大学体育会自動車部
【Facebook】NUAC 名古屋大学体育会自動車部
【Blog】名大自動車部ブログ

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road