大学自動車部ってどんなところ? -同志社大学編-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。
今回は、同志社大学体育会自動車部を訪問。古くからの伝統的な行事を大切にする一方で、部の移動車として電気自動車を使うなど新しいことにも積極的です!

同志社大学体育会自動車部プロフィール

●部員数 :男子23名 / 女子 4名  ※部員数は2014年7月現在

●部車 :ホンダ シビック     ※ジムカーナ用
         
ホンダ インテグラ  ※ダート用

●活動内容:部活動は毎週土曜日の9時~17時に実施。部車の整備、運転技術の向上に時間を割く。大会の前日となると、部員は部室や各々の愛車で寝泊まりして早朝の集合に備えるのが恒例。

●活動実績:平成26年 全関西学生ジムカーナ選手権大会 個人5位
平成26年 全関西学生フィギュア大会 女子の部 団体優勝
平成26年 全関西学生フィギュア大会 女子の部 個人2位
など

ガレージ前には広大な敷地。恵まれた環境も自慢です

自動車部のガレージのほか、野球場やサッカー場などの運動設備を備える京田辺キャンパス
ガレージ2階の部室で取材に応えてくれた、左から小坂さん、原さん、髙橋さん、梶川さん
立派な敷地を持つ自動車部。フィギュアの大会前には京都産業大学や立命館大学が練習に来ることも
パイロンを立てればガレージ前が立派な練習場に早変わり。この恵まれた環境は同志社ならでは

1920年に創立した同志社大学。大学の前身にあたる同志社英学校の創立者である"新島襄(にいじまじょう)"が訴えた「自由」と「良心」が今も建学の精神として根付いています。学生が学ぶキャンパスは2ヶ所。クラーク記念館、同志社礼拝堂など国の重要文化財が5棟もある今出川キャンパス、そして広大な土地に最新の設備を備える京田辺キャンパスに自動車部が活動するガレージはあります。このキャンパスは最先端の研究・実験設備を有する理工学部棟があるなど、理系の学生の学びの拠点になっています。

自動車部は1933年に創部。昨年、創部80周年を迎えた古豪です。特に2000年頃にかけては全日本選手権で表彰台を独占するほどの実力派の先輩が籍を置いていたそうです。基本的に毎週土曜日が部活動の日。朝から夕方までみっちりと部車の整備やドライビング技術の向上にあてています。

取材時にガレージを丁寧に案内してくれたのは部長で商学部4回生の小坂明誠さん、経済学部3回生の原侑也さん、法学部3回生の髙橋泰範さん、経済学部3回生の梶川英里子さんといった4人の部員の皆さんです。それにしても、広々としたガレージ前の敷地に取材班もビックリ! 毎年5月末と11月末にはフィギュアの大会に向けて1週間ほど、この敷地で京都産業大学、立命館大学と合同で練習しているほどです。

現在、部には27名が在籍。その中でも1回生が10名もいるなど、若くて元気な部員が入部してきたことで、今まで以上に活気付いています。「新入生の歓迎会で部車を並べてPRしたことがよかったです」と部長の小坂さん。また、クルマがそれほど好きではなかったけど部の雰囲気に惹かれて入部を決めたという梶川さんは「大学っていろんな部活動があるんだなぁ、と自動車部に興味が湧き、楽しそうにしている先輩を見て入部を決めました」と話します。

梶川さんを含めて女子が4名在籍するなど、立命館大学と並び、関西の自動車部の中では女子が多いことも特徴です。部の雰囲気について小坂さんは「レースで勝つことが目標で、もちろん勝負の世界なのですが普段はフレンドリーです。自分も最初は先輩が技術指導時に居残りに付き合ってくれました」と話します。昔から上級生が下級生をしっかりとサポートすることが伝統として根付いているのです。

学年関係なし。好タイムのドライバーがレースに

全関西学生ジムカーナ選手権大会の様子。2013年の第2回大会では女子団体で見事に優勝
ダートトライアル、スタート前。荒れた路面でのライン取りが勝敗を分けます
2013年の第1回全関西学生ジムカーナ選手権大会で個人優勝を果たした馬渕愛さん。部には4名も女子が在籍しています
期待のドライバー2回生の仲健太郎さん。愛車はシビック(EG6)。入部前は2輪のモトクロス経験者です

自動車部の目標はジムカーナ、ダートトライアル、フィギュアの各大会で好成績を残すことです。

大会前には、まずは部内でドライバー選考会を実施。学年関係なく好タイムを残した部員がドライバーに選ばれます。ドライバーが決まれば、その後の部はドライビングの練習組、整備組と二つに分かれて進んでいきます。ドライバーに選ばれたら、ダートトライアルなら福井の今庄サーキット、ジムカーナは鈴鹿サーキット 南コースに足を運び本番に向けて腕を磨きます。個人、団体とありますがやはり部員が目標とするのが、ドライバーに選出されレースに出ることです。そのため、部活動でスキルを磨く以外に、個人でサーキットに足を運んで練習を積む部員もいます。

2回生ながら最近の大会でドライバーに選ばれるなど力をつけてきた仲健太郎さんもその一人。仲さんは自分の愛車ホンダ シビックをジムカーナ練習用にカスタマイズ。時間を見つけては鈴鹿サーキット 南コースに足を運んで、コツコツと練習をしています。「大学の近くにあるOSAMU FACTORYさんにはよくお世話になってます。ダートの魅力にハマッてるので、近々、シビックをダート用にしようと思ってます!」と話してくれました。

選考会を経て、残念ながらドライバーに選ばれなかった場合は、ドライバーのサポートに徹し、部としての勝利を目指します。ですが、ほとんどの学生が運転やクルマに関する知識を持たず入部してきます。そのため1回生から基礎をみっちりと鍛えます。指導するのは4回生の役目。部車の助手席に乗り込み、アクセルの踏み方、ステアリングのまわし方、サイドブレーキを引いてのターンなどをレクチャー。また、ドライブシャフトの交換など必要最低限となる整備面での知識は2回生から1回生へ指導をしていきます。

大学自動車部では国内初の電気自動車が活躍中

創部80周年を記念しOB会から贈られたアルファードとアイ・ミーブ。部員の皆さんも誇らしげです!
3回生で1名が整備部長を担当するほか、整備の知識、技術は2回生から1回生へと引き継がれていきます
競技車両のシビック。取材時には、直前に実施したダートトライアルの練習中に折れたドライブシャフトの交換中
トロフィーのほとんどは先輩が獲得したもの。「自分たちの代のものを並べたい」が現役部員の目標

「おそくらウチの部が日本の大学の自動車部の中で最初に電気自動車を入れた部だと思います」と部長の小坂さんが話す通り、自動車部ではレース会場などへ向かう移動車としてトヨタ アルファードと三菱 アイ・ミーブの2台があります。

これは2013年の創部80周年を記念してOB会から寄贈されたもの。創部80周年の式典は200名以上のOBが集まるほど、盛大に催されたそうです。そして何といっても、新車を2台もプレゼントしてくれるなんて太っ腹で後輩想いの先輩方です!それまで遠方の練習場に行くときはレンタカーを借りていたそうで乗車定員の多いアルファードは早速大活躍。アイ・ミーブはガレージに充電用コンセントもOB会が新設してくれたそうで、近場へのアシとして愛用されています。

また、80周年を機にOB会と現役が一緒になって活動していこうとなり、今では月に一度、OBがガレージを訪れ清掃などを手伝ってくれるほど交流が深まったそうです。これまでは年に一度、2月に行う幹部交代式で部員とOBは交流していました。卒業する4回生が部長、整備部長などの役職を後輩に引き継ぐ式典です。他の大学ですと、4回生の卒業祝いも兼ねた食事会と一緒に行うことが多いのですが、同志社では80年近く、幹部交代式だけで行ってきていました。「京都の五条にある、大学生はなかなか足を踏み入れないようなものすご~く立派な料亭で幹部交代式は行います。特に1回生は建物を見ただけで緊張します(笑)」と部員が話す通り、京都の大学らしい、格式ある料亭が舞台となるそうです。

古い伝統も残しつつ、それでいて電気自動車のような新しいものも柔軟に取り入れて活動している自動車部では、ジムカーナ、ダートトライアルでの団体入賞が目標。そのため部員みんなのドライビングスキルの向上が不可欠です。目指すのは2000年前後に表彰台を独占していた強い同志社。OB会の心強いバックアップ、春に入部した10名もの新1年生など、名門復活に向けての環境は整っています!

関連サイト 
【Twitter】同志社大学自動車部

[ガズー編集部]