大学自動車部ってどんなところ? -青山学院大学編-
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日ごろの活動風景やご自慢の部員を紹介するこのコーナー。
今回は青山学院大学の体育会自動車部を訪問。
大会での成績向上の秘訣(ひけつ)を、自由気ままな(?)部の雰囲気とともにお届けします。
★青山学院大学体育会自動車部プロフィール
●部員数:男子25名 / 女子 3名 ※部員数は2014年9月現在
部員紹介ページ
●部車:ホンダ インテグラ、トヨタ スターレットほか
●活動内容:毎週水曜・土曜の9時~18時、相模原キャンパスのそばに位置する緑が丘グラウンド内のガレージにて部車の整備作業を行い、定期的にサーキットでの走行練習を行う。目標は全日本および全関東各大会での優勝、入賞。
●活動実績:2014年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会
男子団体A 3位 女子団体3位
2014年度 全関東学生自動車運転競技選手権大会
男子団体2位 女子団体3位
近年になって大会での成績向上が急上昇!
今回おじゃましたのは「青学」という通称でおなじみの青山学院大学、その体育会自動車部です。青山学院は、米国のメソジスト監督教会が日本に派遣した宣教師によって創設された3つの学校がその源流。それらを母体に、1949年に新制大学として開設され、2009年には開学60周年を迎えました。現在は12の大学学部と大学院を擁し、1万7000人以上の学部学生と1200人近い大学院学生が、青山キャンパスと相模原キャンパスにて学んでいます。
そんな青学の体育会自動車部は、1931年(昭和6年)にモータークラブとして発足。当初はクラブが保有するクルマはなく、円タク(大正末期に現れた1円均一の料金で都市を走るタクシー)をつかまえて、クルマのみのレンタル契約を結んで校内にて運転練習をしていたそうです。
現在の部員数は男女合わせて28名と、近年の大学自動車部としてはかなりの大所帯。2012年シーズンは全日本フィギュアで3位となったほかは残念ながら思うような結果が出ませんでしたが、2013年、2014年シーズンは多くの大会で上位入賞を果たしています。
2013年、2014年シーズンはそれまでと何が変わったのか、もしくは変えたのか、主将の新堀智之さん(4年)に聞きました。
「会計担当としっかり連携することで“お金の使い方がうまくなった”というのはあると思います。抑えるところはもちろん抑えますが、速くなるためには絶対に必要かつ有効だと思えるポイントには、しっかり練習費をかける、と。またここ数年は良い成績を残せているため、学校側に対する費用の申請が通りやすくなったというのも正直あります。2013年度はおかげさまで学校の『体育会表彰』で優秀団体に選ばれました。そういった関係で、これまで例えば1人2回だった走行練習が3回できるようになったり、大会の前日練習で本番と同じタイヤを使える予算的余裕が生まれたり……という部分が、結果につながっているのでしょう」
ちなみに2013年度の青山学院大学体育会表彰で最優秀団体となったのはヒマラヤのアウトライアー東峰を世界初登頂した山岳部など4団体で、優秀団体は自動車部を含む5団体。青山学院のことをよく知らない人は「青学=軟派、チャラい」みたいなイメージがあるのかもしれませんが、意外と体育会系な、文武両道な学校なのです。
大事なのは皆がクルマに触れられること
全日本および全関東の各種大会にも力を入れている青山学院大学自動車部ですが、それと同様に力を入れているのが「関東学生対抗 軽自動車6時間耐久レース」です。
「おかげさまで部員数が多いので、全日本や全関東に参戦するだけではどうしてもクルマにあまり乗れない、あまり触れない下級生も出てきてしまいます。それを避けるためにも、各学年1台というかおおむね6人あたり1台のニュアンスで、軽耐久用の競技車両を製作し、そして参戦しています。これによって毎年1年生が“クルマを作る楽しさ”に目覚めてくれるのがうれしいですよね」
1年生のときから主体的に競技車両製作に関与するからでしょうか、それともいわゆる校風というやつでしょうか、青山学院大学自動車部の雰囲気は「自由気まま」というか、本当に明るく楽しげなムードであるのが印象的です。もちろん上級生と下級生との間で“区別”のようなものはあるのでしょうが、端から見ている限りはまるで体育会ではないような雰囲気で、各自が勝手に楽しんでいるようにも見受けられます。
「それは僕としてもあえて意識している部分ですね。ひと口に自動車部といってもやりたい種目は人それぞれですから、それぞれがある意味自由に、しかしある程度の枠のなかでやってくれればそれでいいんじゃないか……と思っています」
というのが、主将の新堀さんの弁。そのあたり、下級生はどう感じているのでしょうか? 2年生の本田浩隆さんに聞いてみました。
「確かに自由な雰囲気のなかで活動できる部だとは思いますよ。もちろん節度ってやつは必要ですが、過剰な上下関係みたいなものは全然ないんじゃないでしょうか」
そう教えてくれた本田さんは、実は“押しかけ入部組”。何がどう“押しかけ”なのか、ご本人に語ってもらいましょう。
「や、入学したときは『学生時代にしかできない何かをやりたい!』ということで自動車部に興味津々、入る気満々だったのですが、青キャン(編注:青山キャンパス)で行われた新歓が大雨で中止になっちゃったんですね。なのでその後、自分から自動車部に電話して、誘われてないのにサーキットに押しかけて、競技車に同乗させてもらったんです。で、メットかぶって助手席に座った瞬間に「コ、コレだああああ! 決まりだああああ!」とアドレナリンが出まくり、今に至る、と(笑)。いやホント自動車部、楽しいですよ!」
「熱中できる何か」があることの素晴らしさ
3名いる女子部員にも話を聞いてみましょう。まずは2年の山下和歌子さん。
「新歓のときに自動車部の看板を見てビビビとくるものはあったのですが、直接のきっかけは『運転うまくなるよ!』という先輩のひと言で、割と軽い気持ちでの入部でした。で、実際にやってみたらハマってしまいましたねえ。わたし、ジェットコースターとかが大好きなんですが、自動車部がやっている競技にはそれに近い楽しさというかスリルというか、そういったものがあると思います。……本当はもっとラクでヒマな大学生活をイメージしてたんですが、なぜか真逆になっちゃいました(笑)。でも、それが本当に楽しいです。今はただただ速くなりたい。その一心です」
ちなみに山下さん、去る8月24日に鈴鹿で行われた全日本学生ジムカーナ選手権女子の部に参戦しました。残念ながらミスもあって上位入賞はなりませんでしたが、本番前の完熟歩行を、時間ギリギリまで真剣なまなざしで何度も何度も繰り返していた姿が印象的でした。きっと、山下さんは速くなるでしょう。
続いては渉外補佐の中司優里さん(2年)。
「免許も持ってなかったしクルマのこともまったくといっていいほど知らなかったんですが、何となく面白そうということで新歓を見に行ってみたら、『ちゃんと作ったクルマって面白いんだなぁ……』と思ってしまったのが入部のきっかけでしょうか。3種目全部をやっていますが、特に好きなのはダートトライアルですね。他大学を含め、自動車部に入らなければ知り合うこともなかったような人たちと仲良くなれたのは、本当に財産だなぁって思います」
ちなみにマネージャーの山口 恵さん(2年)は「自動車部のガレージがあまりにも汚かったため、なんとかしたかった!」というのが入部理由だという変わり種。学業のほうがかなり忙しいため選手は目指しませんでしたが、山口さんのおかげでガレージは本当にキレイになりました。今では「あまりにも汚かった」というのが想像できないぐらい整頓されています。
最後は、新堀主将に締めてもらいましょう。
「学生時代、何か一つのことに熱中するというのは本当に大切なことだと思います。その対象が必ずしも自動車部である必要はありませんが、もしもクルマ好きであるならば、自動車部での4年間は絶対に良い経験となるはずです。もしも少しでも興味があれば、ぜひ気軽にガレージやサーキットまでのぞきにきてください。お待ちしています!」
(文=谷津正行/写真=ダン・アオキ)
関連サイト
【HP】青山学院大学体育会自動車部ウェブサイト
【Blog】青山学院大学体育会自動車部 活動ブログ
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