廃部寸前からの復活!【大学自動車部 -上智大学編-】
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。今回は、創部から約80年の歴史と伝統がある上智大学自動車部を訪問しました。
★上智大学自動車部プロフィール
●部員数:男子8名 ※部員数は2014年11月現在
●部車:ホンダ・シビックタイプR EK9 ※試合用
ホンダ・インテグラタイプR DC2 ※練習用
●活動内容:現在大学のキャンパス内に部室もガレージもないので、整備日・練習日の月1回の日程を毎週火曜日のミーティングで決めている。生まれ変わったつもりで、来年度の試合でみんなが成長した姿を見せることを目標。
●活動実績:平成26年度全関東学生ジムカーナ選手権大会出場
部室も部車もなく存在さえも忘れられていた
上智大学は1913年に創立し、昨年創立100周年を迎えた歴史ある私立大学です。市谷キャンパス内には日本にキリスト教を伝えたといわれている聖フランシスコ・ザビエル像もあり、上智という名前は「聖マリアの連祷」のなかにあるSedes Sapientiae(上智の座)から名づけられたと言われています。
キャンパスは千代田区紀尾井町にある四谷キャンパスを中心に市ヶ谷、目白など東京の中心に点在しています。現在は文学部、法学部、理工学部など全8学部あり、神学部という特徴的な学部がある総合大学です。
自動車部の部室やガレージは現在キャンパス内にはなく、部車のシビックとインテグラを茨城県守谷市にあるカーショップ「コムドライブ」に保管しています。今回は部車を保管しているコムドライブさんにおじゃまして、3年生で部長の井上さんに話を聞きました。
上智大学自動車部は約80年の歴史があり、OBもかなりの人数がいらっしゃるそうです。現在定期的に交流があるOBだけでも30~40人。その中の1人に自動車部にガレージを提供してくれているコムドライブのオーナーであり、レーシングドライバーの山野哲也氏がいらっしゃいます。
「僕が入学したときには自動車部があることすら、実は知りませんでした。この数年間は自動車部の活動は全く無い状態で、廃部同然になっていました。」レーシングドライバーの山野哲也氏を輩出するほどの歴史と伝統のある上智大学自動車部。現在の活動再開までには紆余曲折があったようです。
いったい、上智大学自動車部に何があったのでしょうか?
途絶えた歴史を再び刻むため活動開始
元々クルマ好きで「ゲームのグランツーリスモで様々なクルマを購入し乗り回しました」と笑顔を交えながら話す井上さん。「僕が自動車部の存在を知ったのは2年生になってからです」と切り出しました。
「四谷にあるキャンバスには駐車場もガレージもありません。以前はあったそうなのですが・・・」と顔を曇らす井上さん。当時の自動車部は存在が忘れられていただけでなく、部室もなければ、練習車もない、ないものづくしの状態でした。しかし、4年生となり引退した元部長とともに井上さんは自動車の再建に踏み出しました。
この2年間、自動車部は廃部寸前まで追い込まれたことで、大学との車庫利用の交渉が途絶えてしまいました。再度交渉するものの、大学側はクルマを保管することに対してのリスクを強調され、認めるのは難しいという結論に至りました。「どうしようかと途方に暮れているときに助けて頂いたのが、コムドライブさんでした」と井上さん。
ガレージの問題が解決しますが、一難去ってまた一難。「ガレージの問題はクリアすると、次は練習車がないという問題が発生しました。試合用のクルマはコムドライブさんの一角に保管されていたのですが、練習車がなかったのです」と苦笑いする井上さん。しかし、途方にくれている井上さんのもとにOBから連絡がやってきます。それは練習車としてインテグラを譲ってもらえるという連絡でした。
ガレージそしてクルマと次々と問題をクリアし、2013年からようやく自動車部としての活動再開となりました。「4年生の部長が現在の礎を作ってくれました。僕はそれを身近で見ているだけでした」と話す井上さん。4年生の部長が部の再建にあたっていく中で、1人の力ではどうしようもないこともありました。その時に手を差し伸べてくれたのがOBでした。
「OBの方すべてにお会いできたわけではないですが、やはり先輩の苦労した姿を見て、0Bの方とは密接にコミュニケーションを取っています。とてもありがたい存在です。」と井上さんは話します。現在は定期的にOBと会い、復活してからの活動内容を報告しています。
今年は修行の年、来年は飛躍の年
上智大学自動車部は、以前はラリーを中心に活動していましたが、山野哲也氏が入部しジムカーナという新しい風を吹き込んで以来、ジムカーナ中心の活動をしています。
今年度の活動実績は富士スピードウェイで開催された全関東学生ジムカーナ選手権のみでした。しかし、何もないゼロからの状態から試合に出場できたことだけでも、自動車部の本当の意味での復活の証と言えます。
大会出場の時にもトラブルがあったようで、「封印されていた試合用のシビックのエンジンの載せ替えを行いましたが、クルマが組み上がったのは試合前日で、シェイクダウンが本番というギリギリの状態でした」と笑いながら井上さんは振り返ります。
そのようなギリギリの状態での参戦にもかかわらず、久しぶりに上智大学が参加するということを聞きつけたOBが応援に足を運んでくれたのは励みになったそうです。
ピンクのカラーリングを施された試合車は他校に比べて目立ってしまいます。しかし、ステアリングを握った井上さんはそんなことも忘れるほど無我夢中で走ったそうです。「本来は先輩から色々な話を聞いて大会に参加すると思いますが、僕らは手探りでした。でも僕らが体験したことは後輩に伝えられるので、良い経験ができました」と井上さんは振り返ります。
「今年は修行の年と位置づけています」と話す井上さん。それは復活したばかりの自動車部なので、1年生の部員が多いこと、そして井上さんや上級生も他の大学の同学年と比較すると、技術面や整備面で教えられないことが多いからだそうです。
井上さんはこう続けます「僕は、今年は先輩後輩という垣根をなくし、みんなで一緒に成長していこうと部員に話しています」
当面の目標は来年行われる新人戦で2年生の遠藤さんは優勝、1年生は楽しんで走ってもらうことだそうです。そして昨年のリベンジを果たすため、部員全員が成長して全関東ジムカーナ大会で表彰台を狙っているそうです。
新生上智大学自動車部の今後の活躍に期待しましょう。
[ガズー編集部]
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