【大学自動車部】楽しく腕を磨いて勝利を目指す! -駒澤大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、ジムカーナ競技を中心に活躍中の駒澤大学を訪問。

駒澤大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
20名 ※部員数は2016年1月現在
部員紹介ページ

●部車
ホンダ・インテグラ(DC2)、ホンダ・CR-X(EF8)、ホンダ・シビック

●活動内容
毎週木曜日16時に玉川キャンパス内のガレージに集合。車両整備やミーティングを中心として活動しつつ、週末にはジムカーナコースやサーキットに車両を持ち込んで練習を行っている。目標は学生自動車連盟主催のジムカーナ競技大会での優勝。

●活動実績
平成27年度 全関東学生ジムカーナ選手権大会 団体5位入賞
平成27年度 全日本学生ジムカーナ選手権大会 出場
平成27年度 全日本エコドライブチャンピオンシップ 出場
平成27年度 全関東学生自動車部軽自動車6時間耐久レース 加盟校の部 出場

ジムカーナ競技に注力しつつ、楽しく活動

今回取材に訪れたのは東京都世田谷区などにキャンパスを構える駒澤大学の体育会に所属している自動車部です。
自動車部の活動拠点となっているガレージがあるのは、全学共通科目の一部の授業が行われる玉川キャンパス。

東急田園都市線「二子玉川」駅からバスで10分程の距離に位置し、グラウンド、体育館、テニスコート、音楽練習場、部室棟などがあることから、様々なクラブやサークルの活動拠点にもなっている

ここ数年で建て替えされたという自動車部のガレージは、キャンパスの少し奥まった場所に位置しています。車両整備用の地下ピットも備えるなど、なかなか充実した活動環境と言えるでしょう。

取材に訪れると、楽しそうに談笑する部員の皆さんと多種多様な車両が迎えてくれました。

オフシーズンという事もあってか、部員それぞれが自分のクルマを整備するなど自由に活動していた

「取材に来ていただけるという事で、今日は部員の多くが自分のクルマを持ち込んでいます。普段はここまで個人車が集まることは少ないですね。」と、案内してくれた4年生の内貴太一(ないき たいち)さん。
3年生の時に主将を務めた内貴さんは、部の本番車と同じ白のインテグラ タイプRが現在の愛車。取材日の前日もジムカーナ場へ練習に行っていたそうです。

これが駒澤大学自動車部の”虎の子”とも言うべき、ジムカーナ仕様のホンダ・インテグラタイプR。学生自動車連盟主催の大会では、 3名の代表選手がこのクルマを駆る

「入部した頃、当部の風潮として“とりあえずジムカーナの競技車両を買え”というのがありました。昔からクルマが好きで入部しましたが、ジムカーナには全く興味が無かったので、最初は少し引いてしまった事もありました。」そう語る内貴さんも、今ではホンダ車の競技車両を乗り継いで早3台目。まもなく卒業を迎えるが、今後も競技は続けて後輩達の上達に貢献して行きたいと意気込んでいた。

整備中、会話が盛り上がって手が止まってしまう一幕も。明るい雰囲気で、声を掛け合いながら活動を行う姿が印象的だ

クルマを楽しむ心を大切に

1962年に創立された駒澤大学自動車部ですが、活動の主軸がジムカーナ競技となったのはここ10年以内のこと。その頃は部員数も少なく、まさしく少数精鋭の部活動だった様です。その頃に形作られた”大会で良い成績を収めるためにジムカーナに集中して取り組む”という姿勢が、今日まで続く部活動の基礎となっている事が取材するうちに見えてきました。

部室に大きく貼り出されているこれらは、先輩からのメッセージなのだとか。車両をどうこうするのではなく、まずはウデを磨くのが先だとの方針は現在も守られている

「ジムカーナ至上主義的な風潮が合わずに辞めていく人も多かったのも事実です。せっかく入部したのに、途中で辞めてしまうのは悲しいことだし、もったいないと思います。専門的な競技に興味を持てなかったとしても、それを押し付けるのではなく気づかせてあげる事が重要だと考えています。」そう語る内貴さんに、同じ4年の中島永順さんが付け加えます。
「こう言っていますが、実は内貴は先輩方の意思を濃く受け継いで競技志向が強いんです。私は自分の好みでクルマを楽しむことにも重きを置いていたので、競技性を求める内貴とは部活動の方向性で対立した事もありました。それでもお互い歩み寄りながら、結果的に良いバランスでやってこられたと思います。」と話してくれました。

奥側の白いインテグラが内貴さんの愛車で、シルバーのロードスターが中島さんの愛車。クルマの仕様にそれぞれのカラーが出ている

部室前に集まっている個人車の台数を見て分かる通り、部員の大半が個人車を所有しています。その理由は、先輩から安くクルマを譲ってもらったり、自分でメンテナンスする事で安く維持したりして、自分のクルマで思い切り練習したいということからだそうです。
しかし、決して個人車を必ず持たなければいけない訳では無く、部車で練習する事も可能なので個人車を持たない部員でも活躍できる体制も整っています。

最近、一年生が気軽に乗れる練習車として部車に加わったという真っ赤なホンダ・シビック

目標へ向けて、成長するチームと部員たち

現在では20名もの部員が所属している駒澤大学自動車部。2015年度は車両トラブルや準備不足等が重なり、思うような成績を収められなかった1年でした。部の目標は?と問うと、迷わず「全関東・全日本のジムカーナの大会で優勝する事です。」と、2015年度の主将を務めた3年生の由田兼三(よしだ けんぞう)さんが即答してくれました。
「当部では毎年、3年生が主将を努めます。4年生はもちろん主力部員ではありますが、基本的には3年生が中心となって活動を引っ張ります。来年は4年生として、競技に対して真摯に取り組む姿勢と皆で楽しく部活する事を両立させるという、先輩が作り上げた文化を引き継いで後輩たちを導きたいと思っています。」
では次のシーズンに向けての課題は?という質問に、副将の三川元気(みかわ げんき)さんがすかさずフォロー。
「ウチは整備が弱いので、そこをどうにかしたいと思っています。特に試合で使っているインテグラは、大事にしてはいるのですが経年による劣化が目立ってきています。セッティングが出来ているクルマだったのでこれまで触らないようにしてきましたが、リフレッシュを目的とした整備と、それに伴うセッティング出しにも挑戦したいです。」

ミーティングの際の一コマ。主将の由田さん(中央奥)と、三川さん(中央左)が中心となって、取材日前日に実施したジムカーナ練習会の反省を行っていた

苦しい2015年を通じて得た経験が新たなシーズンに向けて着実に活かされようとしている事は、主将・副将の意気込みだけではなく、全体的な雰囲気としても感じられるものがありました。
特に印象的だったのは、上級生から下級生まで、部活の話題になると途端に真面目に語ってくれるという点です。楽しい雰囲気の中、それぞれが部活動に対してよく考えながら取り組んでいるという事の表れではないでしょうか。

ミーティングの全景。こうした時間を設けて、なるべく意思疎通をしっかりできるように心がけている事がチームの一体感を高めている

部として目標や方針が明確にありながら、そのための手段は部員それぞれに任せて強制はしない、という自由な雰囲気が特徴の駒澤大学自動車部。
体育会的な強さとサークル的な楽しさの絶妙なバランスで、今後さらなる活躍が期待できると感じました。個人車を持ちやすいことも新入生にとっては魅力的です。クルマを持っていなくても、クルマの事が何もわからなくてもOKと入部のハードルは低いため、ますます部員は増えていくのではないでしょうか。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road