【大学自動車部】充実の部室と合宿練習が魅力的! -芝浦工業大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、年2回のジムカーナ大会への出場を主軸に活動する芝浦工業大学を訪問。

芝浦工業大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
29名 ※部員数は2016年2月 取材時
部員紹介ページ

●部車
ホンダ・シビック(EK4)、ユーノス・ロードスター(NA6)ほか

●活動内容
毎週土曜日に大宮キャンパス内のガレージにて車両整備などを実施。夏季・冬季年2回の合宿で集中して練習に取り組みつつ、5月と8月の学生自動車連盟主催のジムカーナ競技大会への出場に向けて活動している。

●活動実績
平成27年度 全関東学生ジムカーナ選手権大会 出場
平成27年度 全日本学生ジムカーナ選手権大会 出場

広いガレージ、恵まれた活動環境

芝浦工業大学は「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神として、1927年に有元史郎によって創立された東京高等工商学校を前身とする大学です。

「グリーンキャンパス」という愛称で学生たちに親しまれている大宮キャンパス

広大な敷地に緑があふれる環境の中、のびのびと活動する彼らを取材させてもらいました。 まずガレージを訪れてみると、大宮キャンパス内に併設されている為に部員達が集まりやすく、なおかつ広さにゆとりがある素晴らしい活動環境に驚かされます。

車両2台が楽に収まる作業スペースを持っている他、前の通路も屋内となっており活動場所が広く確保されている

屋外の駐車スペースには多くの部車や個人車を停める事ができます。こうした点は、大宮キャンパスの敷地の広さの恩恵と言えるのかもしれません。そこで部車に目を向けると、派手なカラーリングを施されたユーノス・ロードスター2台が目を引きます。

多くの競技車両を保有しており、駐車場内に整然と並べられている

合宿での集中練習が上達のカギ

学生自動車連盟主催のジムカーナ大会を中心に活動する大学自動車部の多くは、部車がFF車に偏りがちです。 どうしても軽量・コンパクト・高出力が求められるジムカーナでは、小型のFF車が有利です。従って、練習台となる部車もFF車が大部分を占めるというのがその理由です。

芝浦工業大学自動車部も、全関東および全日本の学生ジムカーナ選手権大会への出場が主な活動実績となっている訳ですが、そうした中で何故FRの部車を2台も維持しているのか?早速2年生の石原健太郎さんにお話を伺ってみました。

「他の大学自動車部は各地のジムカーナ場で開催されている走行会での練習がメインと聞きますが、自分たちは合宿での練習を中心としています。冬季と夏季の2回、一週間近く泊まり込みで練習します。FRのロードスターは1年生が運転の基礎を学ぶ為の車両として、合宿では毎回大活躍しているんです。」

もともとマンガやゲームの影響でクルマが好きだったという石原さん。入部してからの経験は着実に身に付いたと語る

もちろん、駐車場にはロードスター以外にもホンダ・シビックやホンダ・インテグラといったFFのジムカーナ仕様車も並んでいます。こうしたFF車は2年生になってから、本格的にジムカーナに挑戦して専門的な技術を習得する練習に活用されているそうです。

「大会前には選手が中心となってジムカーナ場での走りこみも行っています。合宿で選手選考をするので、みんな競い合いながら上達を目指します。大会に出られなくてもチームの一員としてメカニック等で活躍しつつ、合宿になれば下級生は沢山乗れるので年間を通して楽しく活動する事が出来ます。」という石原さんの言葉の背後には、成熟した部活動の形態がありました。

学年ごとの役割分担が凄い!

大宮キャンパスに通う1年生・2年生達が部室での整備など活動の主力を担い、合宿でも集中的にクルマに乗るとの事。そして3年生・4年生は大宮キャンパスから学び舎を移す事もあり、活動の中心からは一歩退いて事務的な運営のサポートや技術指導に回るというバランスの良い仕組みが出来上がっています。

車両の整備は2年生が担当。上級生は、アドバイスするが積極的に手を出したりはしない

この仕組みは、学年ごとの役割が明確に分かれている事が大きな特徴と言えるでしょう。1年生は部室で整備を習得しつつ、合宿で運転の基礎を学ぶ。2年生はガレージでの整備を中心に活動主力として活躍しつつ、ジムカーナの運転技術を高める。3年生は部の代表として対外的な活動を行いつつ、下級生のサポート。そして4年生は後輩を指導しつつ選手として部の屋台骨を支える。この合宿とジムカーナ大会を中心とした部活の運営は、ここ数年で出来上がったものだそうです。

「自分は2016年4月で3年生に進級するので、部の活動の中心は下級生に移ります。自分は先輩から受け継いだ仕組みを踏襲してきましたが、今後は後輩たちに任せるので新しい方針が出てくるかもしれません。後輩の意思を尊重しつつ、上手くサポートしたいと思います。」そう語る石原さんには、活動を通して得た自らに対する自信と、後輩への信頼が伺えました。

合宿前には集中して整備を行う期間を設ける事で、整備技術向上にも励んでいる

魅力的な環境の中、困難を乗り越えて楽しむ

1950年代に創立されたという自動車部の歴史の中で、少しずつ今のスタイルが確立されてきたという所でしょうか。 しかし、昨年の成績は全関東学生ジムカーナ選手権大会で団体8位と惜しくも入賞を逃してしまいました。その要因について石原さんと同じく2年生の小林遼路さんに伺ってみました。

「2015年度は車両トラブルに泣かされた1年でした。5月の全関東戦からエンジンの調子が悪く、そのままトラブルを引きずってしまった結果、8月の全日本ジムカーナ選手権大会でエンジンがかからなくなる程に悪化しました。全日本戦と合宿の日程が重なってしまい、合宿中に試合車を整備するなど、余裕が無い中での大会参戦となってしまった事も要因の一つです。」

合宿での集中練習が糧となり、サイドターンは部内では負けないと語る小林さん。来年度の大会に向けての意気込みが感じられた

整備は基本的にショップ等の外部を頼ること無く自分たちで行っているため、車両トラブルには苦労しているそうです。OBの先輩から、実際に車両を整備しながら教えてもらう機会を通して学ぶことも多いとか。部室では個人車を整備する事も可能なので、部活動で得た知識を活かして部員のみなさんは充実したカーライフを送っています。

試合車両のホンダ・シビックは、トラブルさえ無ければ戦闘力は高い。調子を取り戻せれば全日本戦上位入賞も夢ではない

「個人車はFFが中心ですが、次いで4WDが多いです。スバル車の人気が高いですね。もちろんFRでドリフトする人もいます。全体的に言えるのは、個人車ではサーキットを走る人が多いという事でしょうか。部としてはジムカーナの大会に参戦していますが、個人車は自由というのがウチのスタンスです。」そう語る石原さんは、ダイハツ・ミラを2台も所有するなど自動車部のメリットを最大限活かした楽しみ方をしています。

好きなクルマを好きに乗って、自由にクルマを楽しみつつ、合宿で集中的に競技走行に取り組む。こうした活動内容は大変魅力的と言えるでしょう。昨年は14人もの多くの新入生が入部を決めたというのも頷ける活動内容です。4月に新たに芝浦工業大学に入学される方は、ぜひ一度自動車部の部室を訪れてみてはいかがでしょうか?

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road