未来のクルマは間違いなくFUN TO DRIVE! その理由とは‥‥
東京モーターショー2019の目玉のひとつである「FUTURE EXPO」(主催:一般社団法人 日本自動車工業会)に行ってきた。このイベントは、未来をテーマに約60の企業や団体がさまざまなプレゼンテーションを行うというもので、MEGA WEBのスペースをフルに使う大胆な仕掛けも話題を呼んでいる。筆者が会場で感じた「クルマの未来」についてレポートしよう。
FUTURE EXPOの特徴は未来を体感できるコンテンツが充実していること。ほとんどのブースでは体感コンテンツが用意され、その数なんと90以上。あちこちのブースに行列ができていた。
肝心の自動車関連企業はというと、トヨタや日産をはじめとする自動車メーカーをはじめ、タイヤメーカーや部品メーカーが多数出展。コンセプトカーや最新技術のプレゼンテーションを行っていた。筆者の主観で言えば、自動車関連企業のキーワードは燃料電池を含むEVと自動運転、それと次世代モビリティ。トヨタブースを取材した時にも感じたが、バブル期以前の東京モーターショーを知る者として、本当に様変わりしたというのが実感だ。
しかし同時に、未来のクルマはつまらないと決めつけるのは早計とも感じた。自分の意志で操作するクルマの運転は確かに楽しい。でも、それは未来のクルマを知らないからで、知らないのだから評価しようがない。だから、未来のクルマに対して少々ネガティブな気持ちになっているのではないかと。逆に言えば、未来のクルマを少しでも知ればポジティブな気持ちになれるはずだ。
とはいえ、クルマのジャンルによっては、今までと同じ価値観のクルマは出ないと思えるものもある。その代表例がスポーツカー。仮に動力がEVになったとしても、バブル期のような単に大きなパワーやトップスピードを競うモデルは出てこないだろう。要は新しい技術によりスポーツカーに新たな魅力がプラスされるか、まったく新しい価値観を持ったスポーツカーが登場するか、そのどちらかだ。
スポーツカーではないが、トヨタのLQを例に説明しよう。LQは「新しい時代の愛車」を目指した自動運転のコンセプトカー。FUTURE EXPOの会場内に展示されている。LQにはJTBやAWA、NTTドコモの協力を得て開発したAIエージェント「YUI」を搭載。ドライバーとの会話はもちろん、音楽、空調、車内のイルミネーション、フレグランスにいたるまで、各種HMI(Human Machine Interface)を用いてクルマがドライバーに働きかける。ドライバーの好みにクルマが合わせることで両者がより一体となり、愛着を感じるようになる。トヨタが言いたいのはこういうことなのだろう。これは先述のスポーツカーの例で言えば後者にあたる。つまり、まったく新しい価値観を持った「愛車」の開発にチャレンジしているということ。
- LQ
また、自分の好みを知り尽くしたクルマで出かけることが楽しくないはずはない。LQでの移動はこれまで経験したことのない特別なものになるのは間違いなく、それまで「自分でハンドルを握ることこそすべて」と思っていた人の考え方も変わるかもしれない。そう考えるとだんだんLQの登場が楽しみになってくる。これが未来のクルマに対するわかりやすいワクワク感なのだろう。
- LQ
40代半ばを過ぎた筆者のようなおじさん世代にとって、一抹のさみしさを感じるのは否定しない。クルマが身近な存在になった結果、「クルマとはこういうもの」という考えが誰の頭の中にもあり、それはある意味絶対的な存在だからだ。しかし、ちょっと考え方を変えてみると、未来のクルマに対する期待感ががぜん高まってくる。
LQは遠い未来を見据えたコンセプトカーかと思いきや、2020年の6月から9月にかけて、MEGA WEBやお台場周辺の公道で試乗会を実施するという(予定)。もう、未来は目の前。FUTURE EXPO ではLQ以外にも未来を感じられるクルマや最新技術がたくさんあった。魅力的な未来のクルマが楽しみだ。
執筆:ゴリ奥野
[ガズー編集部]
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