【車のエンブレムに込められた思いをたどる】幾何学模様 ~ルーツやブランドのオリジナリティーを表現~
車のエンブレムは、各メーカーの顔ともいえる大切なパーツである。初めから自動車製造を目的に設立された会社はもちろんだが、後に自動車製造に参入していったメーカーなど、その歴史はさまざま。
メーカーの出自を表現した図柄や、エンブレムの模様を見れば社名が分かるものなどもあり、興味深い。
例えばBMW(ドイツ)のエンブレムは、ごく最近まで会社の起源である航空機のプロペラをモチーフに空の青と雲の白を合わせ、そこに社名を入れてデザインされたといわれていた。いかにも納得しそうなストーリーだが、今ではこの説は誤りであるとされている。
また、かつてのエンブレムデザインをモチーフに、その名を使用する後継メーカーが、再スタートの折に現代流にアレンジした新デザインを掲げるなど、エンブレムデザインが進化している場合(例:リスター)もある。
- STEYR
- シュタイアー(1920年・オーストリア)
例えば、1864年にオーストリアに誕生したシュタイアー(現マグナ・シュタイアー)は、オーバーヴァルタースドルフに本社を置く自動車製造業会社だが、もともとは小銃の生産から自転車、自動車へと業務を拡大していったという歴史がある。
射撃用の的を図案化したエンブレムのデザインは、銃器製造会社のルーツを感じさせるものだ。
現在は、カナダのマグナインターナショナル社の子会社で、以前はダイムラー社の関連会社であった。ユニークなのは自社ブランドの車両を開発・販売する自動車メーカーとしてではなく、世界中の自動車メーカーの製造を受託し車両を生産している点だ。
代表的なモデルはメルセデス・ベンツのGクラスで、すべての車両をマグナ・シュタイアーが生産している。自動車の少量多品種が一般化している現代において、同社の役割はますます重要視されることだろう。
- Mercedes-Benz 230G
- メルセデス・ベンツ230G(1979年・ドイツ)
軍用車両をベースに、民生用車両として開発され、1979年に発売されたのがメルセデス・ベンツのGクラスだ。
開発当初、シュタイアーは(当時はシュタイアープフ)メルセデスの関連会社であり、両社の共同開発モデルとなった。
デビュー時には「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれており、堅固なラダーフレームと4輪リジッドサスペンション、パートタイム4WDを採用。2ドアのショートボディーと4ドアのロングボディーの2タイプをラインナップしていた。
(写真:ダイムラー)
- BMW
- ビー・エム・ダブリュー(1928年・ドイツ)
1913年創立の航空機エンジン製造メーカーRapp Motoren Werkeを母体として1917年にBayerische Motoren Werke(バイエルンのエンジン工場)となり、その頭文字をとって社名をBMWとした。
BMWはBayerische Motoren Werkeの前身となったBayerische Flugzeug Werkeの誕生年、すなわち1916年をBMWの創立の年としている。設立当初から基本的には同じ、青と白のデザインにBMWの文字を入れたこのロゴマークが使用された。
このデザインは、1929年に飛行機のプロペラにBMWの文字を配置した宣伝広告を登場させてから、回るプロペラを図案化しているといわれてきたが、近年この説は誤りであるとBMW自身が訂正している。
正しくは、Rapp社が使用していたロゴマークをベースに、中央に旧バイエルン王国旗の色である青と白を、配色を入れ替えて図案化したものである。
- BMW 328 Touring Coupé
- BMW 328ツーリングクーペ(1939年・ドイツ)
1936年にデビューしたBMWの2シータースポーツモデルが「328」である。市販モデルは最高出力80馬力の2リッター直6 OHVエンジンを搭載していた。
1936年に、ドイツ・ニュルブルクリンクでのレースに初参戦し、優勝。以降、ポテンシャルの高さから数々のレースに参戦し、多くの勝利をBMWにもたらした。
サイクルフェンダーデザインのオープンモデル(写真右)が有名だが、1939年のル・マン24時間レースにはクーペモデル(写真左)も参戦。総合5位、クラス1位という成績を収めた。
(写真:BMW)
- BMW 328 Touring Coupé
- BMW 328ツーリングクーペ(1939年・ドイツ)
-
- LORRAINE-DIETRICH
- ロレーヌ・デートリッヒ(1896年・フランス)
-
- BETHLEHEM
- ベツレヘム(1909年・アメリカ)
-
- EVANS
- エヴァンズ(1910年・アメリカ)
-
- DODGE BROTHERS
- ダッジ・ブラザーズ(1914年・アメリカ)
-
- ELITE
- エリーテ(1920年・ドイツ)
-
- LISTER
- リスター(1954年・イギリス)
【資料提供】
トヨタ博物館 (http://www.toyota.co.jp/Museum/)
2019年4月17日(水)、トヨタ博物館に「クルマ文化資料室」がオープン。
今回ご紹介した、車のエンブレム(カーバッジ)の現物(一部展示していない場合もございます)が展示されています。
クルマ文化資料室 (https://www.toyota.co.jp/Museum/exhibitions/data/showroom/index.html)
[ガズー編集部]
車のエンブレムに込められた思いをたどる 関連記事
最新ニュース
-
-
「この価格はやばい」「久々に国産車で欲しい」レクサス『LBX』の420万円グレード登場にSNS沸く
2024.11.04
-
-
-
究極の『インテグラ・タイプS』爆誕か!? アキュラ「HRCプロトタイプ」公開へ…SEMAショー2024
2024.11.04
-
-
-
トヨタ『ランドクルーザー250』をオープン化! 市販の可能性もある!?「ROXコンセプト」…SEMAショー2024
2024.11.04
-
-
-
スズキが考える理想の小型ハッチバックを追求した『バレーノ』【懐かしのカーカタログ】
2024.11.04
-
-
-
歌舞伎座でF1ラスベガスGPパブリックビューイング…團十郎の舞踊やマシンの展示も 11月24日
2024.11.04
-
-
-
日産「e-POWER」、グローバル生産150万台突破…国内販売比率は4割以上
2024.11.04
-
-
-
鈴鹿サーキットへは「相乗り」で、ホンダモビリティランドがライドシェア「notteco」公認へ
2024.11.04
-
最新ニュース
-
-
「この価格はやばい」「久々に国産車で欲しい」レクサス『LBX』の420万円グレード登場にSNS沸く
2024.11.04
-
-
-
究極の『インテグラ・タイプS』爆誕か!? アキュラ「HRCプロトタイプ」公開へ…SEMAショー2024
2024.11.04
-
-
-
トヨタ『ランドクルーザー250』をオープン化! 市販の可能性もある!?「ROXコンセプト」…SEMAショー2024
2024.11.04
-
-
-
スズキが考える理想の小型ハッチバックを追求した『バレーノ』【懐かしのカーカタログ】
2024.11.04
-
-
-
歌舞伎座でF1ラスベガスGPパブリックビューイング…團十郎の舞踊やマシンの展示も 11月24日
2024.11.04
-
-
-
日産「e-POWER」、グローバル生産150万台突破…国内販売比率は4割以上
2024.11.04
-