【車のエンブレムに込められた思いをたどる】 地名・社名に由来 ~故郷や設立時のモットーを知る~
日本のパスポートには、パスポートナンバーや生年月日に加え、本籍という欄がある。その個人がどこで生まれたか、あるいはどこに原点があるのか、という情報もパスポートでは記載が必要なようだ。企業である自動車メーカーもまた、生まれ故郷や設立年は、ブランドの個性を理解する上でも知っておきたい情報だ。
エンブレムにも、メーカーやブランドの原点を示すように、ゆかりある地名や設立時のポリシー、社名の意味をデザイン化したものが存在する。
例えば、ブリストル(イギリス)のように、市の紋章をもとにデザインしたものや、ローバー(イギリス)のように社名の意味である海賊をモチーフとしたものもある。設立地やゆかりの場所、あるいは設立時に掲げられたモットーやポリシー、つまりそのメーカーやブランドの原点がエンブレムに込められているのだと考えると、この小さなパーツがいとおしくなってくる。
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- ROVER
- ローバー(年代不詳・イギリス)
1885年から、現代の自転車のもととなる「安全自転車」を設計し、自由に移動できるイメージから“ROVER”(英語で流浪者、自由な旅人の意味)と名付けて販売した。
それは安定性に優れ、人々に広く受け入れられた結果、当時の東欧では自転車を「ローバー」と呼んだほど普及したという。
1886年にローバーサイクル社と改称後、オートバイ製造を経て1904年にガソリン自動車を完成させた。
翌年にローバー社と改称し、自動車製造に取り組んだ。“ROVER”が海賊を意味することから、エンブレムには海賊を図案化したものが描かれている。こうしたアウトロー的な社名(意味)やエンブレムを持っているが、ローバーにはかつて英国王室御用達となるロイヤルワランティーが与えられ、王族の愛車として活躍した歴史も持っている。
- Rover P5B 3.5 Coupé
- ローバーP5B 3.5クーペ(1968年・イギリス)
1958年にローバー 3リッターとして登場したモデルの3世代目にあたる発展型。
1962年モデル以降がマークII、1965年以降がマークIIIと呼ばれ、4世代目の最終型(写真のモデル)はP5Bと命名されている。
このモデルがなぜマークIVと呼ばれないのかは諸説あるが、エンジンがまったく新しい米GMが開発したアルミ製3.5リッターV8に由来するものであることから、命名されたといわれている。
ローバー 3リッターシリーズは、1973年の生産中止まで基本デザインを大きく変えることなく製造された。英国王室御用達モデルとしても知られ、エリザベス女王が自らこのP5Bのサルーンをドライブしたこともある。
(写真:RMサザビーズ)
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- BRISTOL
- ブリストル(1946年・イギリス)
イギリス南西部、ブリストル郊外のフィルトンに製造拠点を構える純英国資本の高級車メーカー、ブリストルカーズ。
1945年に航空機生産会社BAC(ブリストル・エアプレーン・コーポレーション)の自動車部門として設立された。
エンブレム中央に描かれているのは、帆船と要塞(ようさい)のような港湾と城を図案化したもので、ブリストル市の紋章がベースといわれている。
ブリストルカーズは、1946年にBMW製エンジンを搭載したプロトタイプモデルを開発。その第1号車は、BMW 326をベースとしていた。
現在でも、派手さや豪華さが求められる高級車市場向けながら、実用性が高く控えめなクルマ作りを継続し、独自の地位を保っている。積極的な広告などをしないことからイギリス国内でもあまりその存在は知られておらず、ブリストルの持つ特異性に魅せられるファンも多い。
- Bristol 400
- ブリストル400(1947年・イギリス)
1947年のジュネーブモーターショーで発表されたブリストルカーズの第1号車が、BMWのライセンス生産となるブリストル400である。
このモデルは、第2次世界大戦前のBMW 326をベースに開発されており、エンジンは328に搭載されていた2リッターの直6 OHVを若干変更したものになっている。ボディーデザインはBMW 327の影響を受け、ボンネットやドア、リアのトランクリッドなどはアルミ製である。3年間に500台近くを生産したといわれている。
(写真:ニュースプレス)
- Bristol 400
- ブリストル400(1947年・イギリス)
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- PLYMOUTH
- プリマス(1928年・アメリカ)
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- CHEVROLET
- シボレー(1913年・アメリカ)
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- FORD
- フォード(1928年・アメリカ)
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- CHRYSLER
- クライスラー(1925年・アメリカ)
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【資料提供】
トヨタ博物館 (http://www.toyota.co.jp/Museum/)
2019年4月17日(水)、トヨタ博物館に「クルマ文化資料室」がオープン。
今回ご紹介した、車のエンブレム(カーバッジ)の現物(一部展示していない場合もございます)が展示されています。
クルマ文化資料室 (https://www.toyota.co.jp/Museum/exhibitions/data/showroom/index.html)
[ガズー編集部]
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