【車のエンブレムに込められた思いをたどる】ストーリー ~エピソードが秘められたもの~
エンブレムのデザインには、由来するエピソードが秘められたものがある。
以前紹介した「イニシャル ~ブランド名を簡素化して表示~」(https://gazoo.com/article/carbadge/190416.html)にカテゴライズできるロールス・ロイス(イギリス)のエンブレムの赤い文字が、ある年を境に“黒”に変更された理由や、ロータス(イギリス)の限定版ブラックエンブレム、シトロエン(フランス)のやまば歯車のデザインの由来など、いわゆる都市伝説的に語られている諸説を分析しつつ事実を確認することが大切である。
中には「幾何学模様 ~ルーツやブランドのオリジナリティーを表現~」(https://gazoo.com/article/carbadge/190521.html)の回で紹介したBMW(ドイツ)のように、デザインの由来が誤って解釈されている例もあった。
それぞれに大変興味深い“エピソード”が秘められているので、メーカーやブランドの歴史をひもとく作業は、知的好奇心を大いに刺激してくれるのである。
- ROLLS-ROYCE
- ロールス・ロイス(1933年・イギリス)
ロールス・ロイスの社名は創業者であるチャールズ・ロールスとヘンリー・ロイスの2人の姓のイニシャル“R”を重ねたデザインである。
1933年まではエンブレムの文字色は赤だったが、車体の色によっては調和しないことがあるため、1933年以降は、どんな車体色とも調和する黒に変更された。
ちなみに1933年はヘンリー・ロイスが他界した年と同じだったこともあり、哀悼の意を表して黒に変更したという説もあるが、ヘンリー・ロイスが亡くなったのは、エンブレムの変更を承認した1カ月後のことであった。
- Rolls-Royce Phantom
- ロールス・ロイス・ファントム(1925年・イギリス)
1906年に登場したシルバーゴーストの後継モデルとして1925年に誕生したのがファントム。エンジンは7.7リッターの直6で、最高出力は当時の伝統にのっとって公表されていない。
最高時速は80マイルに達したという記録もある。機械式の4輪ドラムブレーキやバルーンタイヤなど、当時の最先端技術や製品が導入されている。
1925年から1929年の生産中止まで、英国のダービー工場で約2200台が生産されたという。映画『アラビアのロレンス』の劇中車として使用されたことでも有名なモデルだ。
(写真:ロールス・ロイス・モーターカーズ)
- LOTUS
- ロータス(1968年・イギリス)
ロータスのロゴマークは、LOTUS(蓮・はす)の葉と花の蕾(つぼみ)を図案化しているといわれ、マーク内のイニシャル“ACBC”は創業者である“Anthony-Colin-Bruce-Chapman(アンソニー・コーリン・ブルース・チャップマン)”を表している。
1968年4月にチーム・ロータスのエースドライバー、ジム・クラークがレース中の事故で帰らぬ人となった。写真のブラックエンブレムは、故人に哀悼の意を表すためのもの。市販車のエンブレム色を伝統の黄/緑から1カ月間のみ黒に変更して出荷したというエピソードがある。
- Lotus Esprit
- ロータス・エスプリ(1975年・イギリス)
1975年のジュネーブモーターショーで発表されたミドシップスポーツカー。
ロータス初のスーパーカーともいえる。デザインは当時のイタルデザインを率いていたジョルジェット・ジウジアーロで、無駄のない直線基調のウエッジシェイプのフォルムは、後のスポーツカーに大きな影響を与えたといわれている。
写真はシリーズIで、最高出力160馬力の直4エンジンをリアミドに縦置きしていた。映画『007 私を愛したスパイ』では潜水艦にも変身するなど、ボンドカーとしてスクリーン狭しの活躍を見せた。
最終的には最高出力350馬力の3.5リッターV8ツインターボを搭載するなど進化し、2004年まで生産され続けた。
(写真:ニュースプレス)
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- CITROEN
- シトロエン(年代不詳・フランス)
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- MASERATI
- マセラティ(1919年・イタリア)
【資料提供】
トヨタ博物館 (http://www.toyota.co.jp/Museum/)
2019年4月17日(水)、トヨタ博物館に「クルマ文化資料室」がオープン。
今回ご紹介した、車のエンブレム(カーバッジ)の現物(一部展示していない場合もございます)が展示されています。
クルマ文化資料室 (https://www.toyota.co.jp/Museum/exhibitions/data/showroom/index.html)
[ガズー編集部]
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