わたしの自動車史(前編) ― 小沢コージ ―
ヘンな話、私は自分自身マニアだとはみじんも思っていない。同時に、実家には基本クルマはなかったし、マニアな親戚もいなかった。しかし、現在私はバラエティ自動車ジャーナリストなる名称で仕事をしていたりする。
ある意味、そここそが『カーグラフィック』の創刊編集長 小林彰太郎さんたちの時代とは違う最大のポイントであり、今は「サラリーマンの息子が普通に自動車ジャーナリストをやれる時代」なのだと思う。良くも悪くも、クルマは特別なモノではなくなったのだ。
私は横浜に生まれ、自宅にクルマは小学校3年生頃にたった1年しかなかった。それも確かカローラの中古で、ほぼ記憶にないし、しかも運転していたのは母だけだった。父は電気関係のエンジニアではあったが、メカには特別詳しくも興味もなく、家の電気器具を直したりもせず、自動車免許すら持っていなかった。
ただし妙にガンコで、免許がないのは実は自動車教習所でケンカしてきたから。「あんなやつに習ってられない!」という理由で教習所通いを途中でやめ、70歳を過ぎた現在も免許を持っていない。今でも「クルマと駐車場にお金使うくらいなら、毎日タクシー使った方がマシだし安い!」との昭和な持論を貫き通している。
一方、母はさすがに不便だと思ったのか、ギリギリ40代で免許を取って約1年乗り、危ないと気付いて売っぱらった。再び乗り始めたのは私と兄が免許を取ってクルマを買ったから。基本、クルマとは縁遠いウチだったのだ。
ここで、やっと本題の私こと小沢コージの話だが、ミニカーやプラモデルは好きだったし、戦車とかも好きだったが、執着心はさっぱりなく、周りの友達の方がよっぽどすごかった。小学校高学年の頃、タミヤのラジコンをペイントしたりタイヤを変えていたりしていた友達はいたが、それを「スゲェな!」と見てた方で、私自身は「BOXY」のボールペンで飛ばすスーパーカー消しゴムの底をクリアカラーで塗るようなこだわりも見せなかった。
ではなぜクルマに興味を持ったのか?それは、紛れもなくスーパーカーブームのせいである。クルマは普通に好きだが執着心がなかった少年に「スゲェ!」と思わせたのは問答無用にカウンタックであり、512BBだ。だが、実はそれ以上に私が興味を持ったのは、「クルマに興味をそそられる人間たち」だったのかもしれない。少年がスゲェといって夢中になる姿に興味がわき、それにつられていったのだ。そこには私が「クルマバカ」を追いかけていく原点があった。
しかもムーブメントは順調に続き、中学でいったん熱は冷めたが、高校でバイクブームが起こり、さらにハイソカーブームで2代目プレリュードや初代ソアラが羨望(せんぼう)の的となり、これまた私に「クルマってなんなんだろう?」と思わせるきっかけとなった。
今になって確信するが、クルマの本質は麻薬的な部分なのだと思う。その姿はほぼ中毒患者に近い。もちろん、変な意味ではなく、ゴルフバカでもサッカーバカでもロックバカでも同じだが、クルマは決して道具などではない。人の中枢神経を直撃し、興奮させる劇薬なのだ。私はきっとそれを追い続け、解明していきたいだけなのだ。
【編集協力・素材提供】
(株)webCG http://www.webcg.net/
[ガズ―編集部]
連載コラム
最新ニュース
-
-
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】CMFデザイナーが語る、新グレード「HuNT」にこめた「気軽さ」の表現とは
2024.05.02
-
-
-
季節の変わり目にエアコンが発する悪臭の正体とは? DIYで解決!~Weeklyメンテナンス~
2024.05.02
-
-
-
BMW 4シリーズ グランクーペ が新フェイスに、改良新型を発表…北京モーターショー2024
2024.05.01
-
-
-
トヨタがインドで新型SUV『アーバンクルーザー・タイザー』を発表…Aセグメント再参入
2024.05.01
-
-
-
メルセデスAMG『E53』新型、612馬力の電動セダンに…欧州受注開始
2024.04.30
-
-
-
この顔で中国EV市場に“爪痕”残すか? 日産『エピック・コンセプト』は26年までに市販へ…北京モーターショー2024
2024.04.30
-
-
-
トヨタ・クラウンのアウトドアカスタム「LANDSCAPE」がお披露目…移動時間すらも記憶に残るような車に
2024.04.30
-
最新ニュース
-
-
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】CMFデザイナーが語る、新グレード「HuNT」にこめた「気軽さ」の表現とは
2024.05.02
-
-
-
季節の変わり目にエアコンが発する悪臭の正体とは? DIYで解決!~Weeklyメンテナンス~
2024.05.02
-
-
-
BMW 4シリーズ グランクーペ が新フェイスに、改良新型を発表…北京モーターショー2024
2024.05.01
-
-
-
トヨタがインドで新型SUV『アーバンクルーザー・タイザー』を発表…Aセグメント再参入
2024.05.01
-
-
-
メルセデスAMG『E53』新型、612馬力の電動セダンに…欧州受注開始
2024.04.30
-
-
-
この顔で中国EV市場に“爪痕”残すか? 日産『エピック・コンセプト』は26年までに市販へ…北京モーターショー2024
2024.04.30
-