【ミュージアム探訪】池沢早人師 サーキットの狼MUSEUM(後編)
開館にまつわるさまざまな秘話をお聞きしつつ、さらなる実写版『サーキットの狼』ワールドを拝見する。展示車の中には、フェラーリの女豹こと田原ミカが流石島レースでドライブしたフェラーリ308GTBがあり、山岸みのりが駆ったマツダ・コスモスポーツの姿もあり……。ちなみにこちらのコスモスポーツは、後期型をベースにオープン仕様へとモディファイされている。
そしてあまりにも希少なランチア・ストラトスや、あるいはハイテンションコードとバッテリー以外は完全フルオリジナルという、ファンならば感涙必至の箱スカGT-Rも居並んでいる。まあ、劇中ではGT-Rはそんなに活躍しないのだけれど。活躍しないといえば、劇中では1シーンのみ、それも「Aライ模擬レースでBMW 3.0CSLとクラッシュして大破する」という地味なシーンにだけ登場した、マセラティ・カムシンもしっかり展示されている。
一方で、この博物館には作中に登場しなかったクルマも収蔵されているのだが、その中には1969年の日本グランプリでポールポジションを獲得したプロトタイプレーシングカー、日産R382の「ゼッケン20」が!
芦川さん「わたくしどものお客さまに、プリンス自動車時代から桜井さん(編注:プリンス自動車/日産自動車でスカイラインなどの開発責任者を担当した桜井眞一郎氏。日本グランプリに参加したプロトタイプレーシングカーの開発にも携わった)の下で製品開発をしていた方がいらっしゃいまして、その方と弊社会長とのお付き合いを通じて、わたくしどもがこれのレストアをやらせていただいたんです。どうしても復元不可能なパーツは新たに製作しましたが、FRPのカウルは46年前の物そのままです。表面のシワやキズは、あえて当時のままにしました」
これが、北野 元氏が富士スピードウェイのバンクを320km/hで駆け抜けたあの個体なのか……。感無量だ。
感無量といえば、ショーケース内にディスプレイされている大量の「スーパーカー消しゴム」!約40年ぶりにスーパーカー消しゴムを間近で見た記者の脳内に、BOXYのボールペンを使ってそれを廊下などで共に飛ばした小学校時代の旧友の姿が、大量に流れ込んでくる。N君にS君、K君、そしてM君。みんな元気でやってるかなぁ……。懐かしいなぁ……。まるでタイムマシンに乗り込んで昭和40年代終盤から50年代初頭にかけての東京の町を垣間見てきたような、そんな感慨におそわれてしまった。そういった感慨に拍車をかけるのが、「池沢早人師コーナー」と銘打たれた一角。そこには往時の週刊少年ジャンプや、池沢早人師氏による未発表原画の数々が。……いや、たまらないですよコレは。
スーパーカーブーマーを懐かしの過去へといざない、若い世代を未知の世界へと連れ出す、こちら「サーキットの狼ミュージアム」。甘酸っぱくも刺激的な感慨に浸りたい人、そして何よりスポーツカーが大好きな人は、ぜひ一度訪れてみてほしい。
(文=伊達正行/取材協力=アニメディア・ドット・コム)
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[ガズ―編集部]
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