トヨタ・カローラ (1966年~) トヨタ名車列伝4話

1960年代の初頭。数年先の本格的なモータリゼーションを予測し、ニューファミリーカー“カローラ”の開発が始まった。

カローラ開発のねらいを主査の長谷川龍雄はこう語っている。「大衆車は性能・居住性・価格など、あらゆる面で80点以上の合格点でなくてはならない。あとは、どの項目を90点を超えるものとし、お客様の心をつかむか」。いわゆる『80点主義+α』の考え方である。カローラにとっての+α。それはスポーティ感だった。長谷川は、自らの考えや意図の周知徹底と、現地現物で関係者の生の声を聞くことを重視し、開発に費やした3年間で約700回にも及ぶミーティングを実施した。そして、多くの新技術に挑戦した。中には実現が困難とされたものもあったが、設計・実験・生産の各部門が連携してこれを成し遂げ、当時主流の1000ccを超えた1100ccエンジン、スポーティ感を重視した4段フロアシフトなど、主なものだけで実に20項目以上の新機構・新仕様・新デザインを盛り込むことに成功した。

1966年に発売されたカローラは、「高性能に魅せられた」「宣伝以上のクルマ」など、お客様から絶大な支持を得た。また、今日では世界140カ国以上で販売され、累計生産台数は3千万台以上にも及び、世界中のお客様から愛され続けている。