4代目クラウン(1971) トヨタが未来に挑戦したクルマたち

トヨタの車両開発史上、「お客様の期待を超えたクルマづくり」に挑み、誕生した個性的なデザインや機能を持ったクルマたち。1970年代から1990年までの中から、そんなクルマを紹介します。

あえて変革に挑む

2012年12月にデビューした14代目となる新型クラウンは、大胆な変貌を遂げて注目を集めた。だが、60年近いクラウンの歴史をひも解けば、もっと劇的な変身を果たした世代があった。そのルックスから俗に“クジラ”と呼ばれる、1971年に登場した4代目である。

空力を意識して丸みを帯びた、「スピンドルシェイプ」と称するスタイリング。前年に誕生した、トヨタのトレンドリーダーたる初代セリカでさえオプション扱いだった、ボディ同色のカラードバンパーを全車に標準装備したデザインの先進性は、専門家筋から称賛された。「エレガンツ・クラウン」をスローガンに掲げ、外国人女性モデルを使ったファッショナブルな広告も最先端を行っていた。

しかし、あまりに斬新で個性が強く、過去との脈絡に乏しかったことから、保守的なユーザー層からは敬遠されてしまった。

結果は裏目に出たが、日本を代表する高級車として盤石な地位にありながら、あえて変革に挑む精神こそが、今日まで脈々と息づいているクラウンの伝統なのである。それにしても、もし4代目のデザインが広く受け入れられていたら、その後、日本の高級車の潮流は大きく変わっていたことのかもしれない。

4代目クラウンが誕生した年 1971年

・トラック、バスが輸入自由化。自動車税が一律10%に引き下げ
・トヨタ自動車 東富士研究所が発足

クラウン ハードトップ スーパーサルーンの価格 127.8万円~(東京)
当時の大卒の初任給 約4.3万円

[ガズー編集部]