三菱・ミラージュ…CMが印象的だったクルマ

往年のクルマの中には、自動車そのものの魅力はもちろんのこと、そのテレビCMでも多くの人に知られた“名車”があります。そんな懐かしのモデルの中から今回は三菱・ミラージュを代表的なCMとともに紹介します。

三菱・ミラージュ(1984)

1983年に登場した2代目三菱ミラージュの、当初のイメージキャラクターは「RCサクセション」の忌野清志郎だった。前年に彼と坂本龍一が組んだ「い・け・な・いルージュマジック」が資生堂のキャンペーンソングに使われてヒットし、世間的な認知度が高まったことなどから起用されたのだろう。だがあまり話題にはならず、キャッチコピーを曲名に冠したRCによるCMソング「ベイビー!逃げるんだ。」もヒットには遠かった。

翌84年、「困ったときは子供か動物」という広告業界の鉄則(?)に倣ったかどうかは不明だが、抜てきされたのが、なんとエリマキトカゲ! それまで一般的には知られてなかった、パプアニューギニアに生息する爬虫(はちゅう)類である。CMの映像は、このエリマキトカゲが後ろ足だけで直立して走る姿が、ミラージュの走行シーンと交互に映し出されるというシンプルなもので、バックにはエスニック調のインストゥルメンタルが流れていた。だが、そのユーモラスな姿は一度見たら忘れられないインパクトがあり、CMは大ヒット。エリマキトカゲは一躍子供たちの間でアイドル的存在となり、作品は権威ある広告賞を受賞した。

ただ、あまりにエリマキトカゲが強烈だったがために、肝心のミラージュの印象は気の毒なほど薄れてしまった感もある。「エリマキトカゲは覚えていても、なんのCMだったかは思い出せない……」 そんな視聴者もいるのではないだろうか。

[ガズー編集部]