いすゞ・ジェミニ…CMが印象的だったクルマ

往年のクルマの中には、自動車そのものの魅力はもちろんのこと、そのテレビCMでも多くの人に知られた“名車”があります。そんな懐かしのモデルの中から今回はいすゞ・ジェミニを代表的なCMとともに紹介します。

いすゞ・ジェミニ(1986)

「街の遊撃手」というキャッチフレーズを、見事に映像で表現したヒット作が、1986年から放映された2代目いすゞ・ジェミニ(当初はFFジェミニと称した)のシリーズCMである。

フランスはパリのヴィクトル・ユーゴー広場を、ぴったり寄り添った2台のジェミニが、チャイコフスキーの『花のワルツ』に合わせ、自ら意思を持って軽やかに舞うように走り回る。ジェミニを駆ったのは、映画『007』シリーズなどのカーアクションを担当する、有名なフランスのスタントチーム。このワルツ編を皮切りに約4年間に全14作が作られ、ジェミニの知名度および好感度アップに大いに貢献した。

すべてパリの街中または近郊でのロケーション撮影で、合成をしたのは1作の1シーンだけ。あとはみな実際に走って撮影したそうだが、中でも強い印象を残したのが、ダニエル・ビダルの歌う『オー・シャンゼリゼ』に乗って、ジェミニが地下鉄駅構内を縦横無尽に走る回るメトロ編。凱旋(がいせん)門の真下にあるシャルル・ドゴール・エトワール駅を二晩借り切って撮影したというものだ。
ちなみにロケ地にパリが選ばれたのは、街の魅力はもちろんだが、撮影許可が下りたのはパリだけだったからという。花の都の、懐の深さを感じさせる話である。

[ガズー編集部]