ホンダ・エディックス…一代限りとなったクルマ

今回は、光る個性があるにも関わらずモデルチェンジされなかった車種や、目的をもって市場に投入されながらもその後開発が継続されなかった、“一代限りのクルマ”を取り上げます。

ホンダ・エディックス

2004年に登場した、3×2(スリーバイツー)というパッケージを特徴とするミニバン。全長4.3m弱、全幅1.8m弱、全高1.6m少々というショート&ワイドのプロポーションを持つ5ドアボディーに、3座×2列の6座独立式で、前後ともセンターシートがロングスライドするシートレイアウトを採用。コンセプトは2代目フィアット・ムルティプラに近いが、日本車では類のないユニークな空間レイアウトによって、乗員同士が親密感やゆとりを思うままに作れる“新しい感動共有空間”をうたっていた。

ベースとなったのは7代目シビックで、パワートレインは2リッター直4 i-VTECと5AT(FF車。4WD車は4AT)または1.7リッター直4 VTECと4ATの組み合わせ。駆動方式は、FFのほか4WDも設定された。独特のプロポーションによるワイドトレッドを生かした操縦安定性としなやかな乗り心地もセリングポイントだった。

しかし、発売当初こそ話題になったものの、同じシビックから派生した兄弟分ともいえるストリームをはじめ、3列シート7人乗りの“縦長”モデルが主流だった同じクラスのミニバン市場では苦戦。次第に埋没してしまう。2006年のマイナーチェンジでは1.7リッターに代えて2.4リッター直4エンジンを設定、ローダウン仕様をラインナップするなどスポーティー色を強めたが、販売は上向かず。そして発売から5年後の2009年に販売終了、後継車はなく一代限りで終わった。

[ガズー編集部]