スズキ・キザシ…一代限りとなったクルマ

今回は、光る個性があるにも関わらずモデルチェンジされなかった車種や、目的をもって市場に投入されながらもその後開発が継続されなかった、“一代限りのクルマ”を取り上げます。

スズキ・キザシ

2009年に誕生した、欧州Dセグメントに属するセダン。「世界の市場に向けて新しいクルマ作りに挑戦する“兆し”の意味から名付けた」という車名の通り、スズキとしては未知のセグメントに挑んだモデルで、全長4650mm、全幅1820mm、全高1480mmというボディーサイズは、歴代スズキ車の中で最大のものだった。

エンジンは、同社のオフローダーであるエスクードに使われていた2.4リッター直4のチューンを変えたもの。日本仕様のトランスミッションはCVTで、駆動方式はFFとパートタイム4WDが用意された。合計9個のエアバッグ、運転席および助手席の電動調節機構、クルーズコントロール機能など、装備の充実ぶりもセリングポイントとされていた。

キザシは、グローバルモデルということで北米、欧州、そして中国市場でも販売された。お膝元の日本では完全受注生産とあって、販売台数は微々たるものだったが、抑えられた価格を武器に2013年から捜査用の覆面パトロールカーとして警察に大量に納入された実績がある。2015年に後継車種がないまま国内販売は終了したものの、海外市場の一部では、まだ販売が続けられている。

[ガズ―編集部]