【連載全10話】第4話 スズキ・フロンテクーペ・・・軽規格のスペシャルティーカー特集

小さいからと侮るなかれ。日本独自の軽乗用車の規格からは、個性豊かなスペシャルティーカーが多数生まれました。そのなかから特に注目したい10車種をピックアップし、週替わりで紹介します。

スズキ・フロンテクーペ

「ふたりだけのクーペ」をキャッチフレーズに掲げて1971年に登場したモデル。うたい文句の通り軽初となる2座のクーペボディーは、ジウジアーロが原案を手がけたシティーコミューターのデザインをベースにスズキがアレンジしたもの。全高1200mmという低い姿勢と大きく傾いたウインドシールドなどによって、サイズは小さいながらもスポーツカーのムードをたたえていた。

シャシーは軽乗用車のフロンテ71Wと基本的に共通で、リアに搭載された水冷2ストローク3気筒356ccエンジンは最高出力37PS(グロス)を発生。クロスレシオの4段MTを介して、メーカー公称値で最高速度120km/h以上、0-400m加速19.47秒というパフォーマンスを発揮。ベースとなったフロンテでも定評があり、重心が低められたことでいっそうシャープになった操縦性とも相まって、リアルスポーツと呼べるほどの走りっぷりをみせた。

1972年には市場の声に押されて2+2仕様、また34PSや31PSのパワーユニットを積んだ廉価グレードなどを追加した後、主力だったはずの2座仕様を廃止。1974年には排ガス対策のため37PSユニットを35PSにデチューンして車種も整理された。1976年に生産終了となるが、翌1977年には改定された軽規格(550cc)に対応してボディーを拡大し、539ccユニットを積んだモデルがセルボの名で登場、1982年までつくられた。

[ガズー編集部]

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