【連載全13話】第1話 日産セドリック スペシャル・・・日本生まれの直6エンジン搭載車


昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

日産セドリック スペシャル

イギリスのオースチンA40/A50のライセンス生産から学んだノウハウをベースに、1960年春に誕生した日産初のオリジナル中型乗用車がセドリックである。

1962年10月の時点でのトップグレードは、ホイールベース2690mm、全長×全幅×全高=4650×1690×1505mmというサイズのボディーに1.9リッター直4 OHVエンジンを積んだ小型車規格(5ナンバー)のカスタム。そのカスタムのホイールベースを145mm延ばして2835mmとし、全長4855mmに達したボディーの長いノーズに2.8リッター直6 OHVエンジンをおさめた新たな最高級グレードが、1963年2月に加えられたスペシャルだった。

小型車規格の排気量が1.5リッターだった時代に1.9リッターエンジンを積んでいた初代プリンス・グロリアを除けば、日本車としては戦後初の3ナンバー車にして、戦後初の6気筒エンジン搭載乗用車でもあったスペシャル。ちなみに全幅はほかのグレードと同じ1690mmのままだったので極端に縦長のプロポーションとなったが、もっぱらショーファードリブンで後席2人乗車とすれば実用上のデメリットは少なかった。

既存の1.9リッター直4のH型に2気筒をプラスしたような2.8リッター直6のK型エンジンは、鋳鉄ブロックに鋳鉄ヘッド、OHVターンフロー、4メインベアリング、2バレルのシングルキャブレターというごくオーソドックスな設計。2825ccから最高出力115PS/4400rpm、最大トルク21.0kgf・m/2400rpm(いずれもグロス値)を発生し、コラムセレクトの3段MTを介しての公称最高速度は150km/h。価格は138万円でカスタム(108万円)よりちょうど30万円高く、国産乗用車中最高価格だった。追ってボルグワーナー製の3段AT仕様、またパワーウィンドウと、前後スライドやリクライニングを電動化した前後パワーシートなどもオプションで用意された。

1965年10月にセドリックは初のフルモデルチェンジを迎えるが、新型のトップグレードはスペシャル6と名乗る2リッター直6 SOHCエンジン搭載の5ナンバーモデルとなる。そして旧スペシャルの市場は、新たに登場した3ナンバー専用車であるプレジデントに受け継がれることとなった。

[GAZOO編集部]

【連載全13話】日本生まれの直6エンジン搭載車

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