【連載全13話】第9話 トヨタ・ソアラ・・・日本生まれの直6エンジン搭載車


昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

トヨタ・ソアラ

トヨタが1980年代のイメージリーダーとして新たに開発し、“未体験ゾーンへ”というキャッチコピーを掲げて1981年に発売した高級グランツーリスモ。メルセデス・ベンツSLCやBMW 6シリーズなど欧州の高級かつ高性能なパーソナルカーの分野に初めて挑んだ日本車で、国内専用車だったにもかかわらずデビュー時のメディア向け試乗会をドイツのアウトバーンで開催するなどして高速性能をアピール。大いに話題を呼んだ。

けれんみのないノッチバックの2ドアクーペボディーに搭載された当初のパワーユニットは、この連載の前回(第8話)で紹介したクレスタとともにデビューした2リッター直6 SOHCの1G-EU型と、ソアラのために新開発された2.8リッター直6 DOHCの5M-GEU型。後者はクラウンやコロナ マークIIに積まれていた2.8リッター直6 SOHCの5M-EU型をベースにツインカム化した、トヨタとしては2000GT用の3M型以来となる直6 DOHCユニットで、最高出力170PS/5600rpm、最大トルク24.0kgf・m/4400rpm(いずれもグロス値)を発生。1970年代半ばから始まった排ガス対策により、軒並みパワーダウンした暗黒時代の終焉(しゅうえん)とハイパフォーマンスカーの復権を予感させた。

全車4輪独立サスペンションに4輪ディスクブレーキ(上級グレードは4輪ベンチレーテッドディスク)とシャシーも走り重視の設計で、上級グレードには蛍光管表示のデジタル式スピードメーターとLEDのタコメーターを組み合わせた日本初のエレクトロニックディスプレイメーターなど先端装備も採用。カローラの量販グレードが100万円未満だった時代に、トップグレードの2800GTエクストラでは300万円近い高価格だったにもかかわらずヒットし、“ハイソカー”ブームを創出した。またソアラの成功によって、高級パーソナルカー市場を開拓したクラウンの2ドアハードトップは役目を終えてフェードアウトし、ラグジュアリーだったセリカXXは2代目からスポーツ志向となるなど、トヨタのラインナップにも変化が起きた。

[GAZOO編集部]

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