【連載全13話】第12話 トヨタ・アリスト・・・日本生まれの直6エンジン搭載車


昔に比べて少なくなった6気筒エンジン搭載車。そのなかから“ストレートシックス”と呼ばれる直列6気筒エンジンを積んだモデルを週替わりで紹介します。

トヨタ・アリスト

1991年、クラウンが8度目のフルモデルチェンジを迎えた際に、新たに登場した派生モデルがクラウン マジェスタ。もっぱらショーファードリブン用のセンチュリーを除き、トヨタの新たなフラッグシップとなったセルシオとクラウンとの間隙(かんげき)を埋める役割が与えられたクラウン マジェスタは、伝統のフルフレーム構造を持つ(レギュラーの)クラウンに対してモノコックボディーを採用していた。そのクラウン マジェスタとプラットフォームを共有する姉妹車といえるのが、同時に登場した新車種のアリスト。それまでトヨタのラインナップにはなかった高級ハイパフォーマンスセダンだった。

プレスドアを持つ4ドアセダンボディーはジウジアーロ率いるイタルデザインが原案を手がけたもので、ロングキャビン&ワンモーションフォルムが特徴。Cd値(空気抵抗係数)0.30という、セダンとしては異例に高い空力性能を誇るボディーに積まれるパワーユニットは、新開発された3リッター直6 DOHC 24バルブ。チューンは2種あり、最高出力230PSを発生する自然吸気の2JZ-GE型は同時デビューのクラウン マジェスタやクラウンにも積まれたが、ターボ仕様の2JZ-GTE型はアリストのみに用意された。

低速域では1基のターボ、中高速域では2基のターボを作動させる2Wayのセラミック製ツインターボを備えた2JZ-GTE型は最高出力280PS/5600rpm、最大トルク44.0kgf・m/3600rpmを発生。全域にわたって強力なトルクとスムーズネスを誇り、自動車専門誌のテストでは0-400m 14.7秒、0-100km/h加速6.7秒の加速性能を記録し、セダンでは世界最速の一台と評された。後に2代目スープラにも積まれた2JZ-GTE型はスープアップのポテンシャルも高く、R32からR34までのスカイラインGT-Rに積まれたRB26DETTとともに国産高性能直6エンジンの名機として今なお高い人気と評価を保っている。

[GAZOO編集部]

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