フェラーリ・365GT4BB/512BB…スーパーカーブームの花形モデル

浮世離れしたデザインと、圧倒的な動力性能を兼ね備える“スーパーカー”。今回は、1970年代の日本で沸き起こったスーパーカーブームにおける人気車種をピックアップ。週替わりで紹介します。

フェラーリ・365GT4BB/512BB

スーパーカーブームにおいて、ランボルギーニ・カウンタックを東の正横綱とすれば、西の正横綱となるのがフェラーリ・365GT4BB(ベルリネッタ・ボクサーの略)。12気筒フェラーリのロードカーとしては、初めてミッドシップレイアウトを採用したモデルである。

1971年にプロトタイプが公開され、73年に市販開始というデビューまでのスケジュールは、くしくもライバルであるカウンタックと同じ。ピニンファリーナのチーフスタイリストだったレオナルド・フィオラバンティの手になる、シャープだが端正なデザインのボディーに覆われた箱形断面のラダーフレームに、伝統あるV12のVバンクを180度まで広げた、380psを発生する4.4リッターエンジンをミッドシップ。カウンタックの300km/hをわずかに上回る302km/hという公称最高速度は、両車の関係をよく表していた。

76年には、排ガス対策によるパワーダウンを補うためエンジンを5リッターに拡大するなどのマイナーチェンジを施し512BBとなった。それまでの車名の365が1気筒あたりの排気量を表していたのに対し、512は5リッターの12気筒を意味する。そのエンジンは、排気量アップによってドライバビリティー(運転性能)は改善されたものの、最高出力は360psにドロップした。81年にはキャブレターをインジェクションに替えた512BBiとなるが、出力は340psへとさらに低下し、最高速度も280km/hとより現実的なものに変化。84年、後継モデルとなるテスタロッサにバトンタッチした。

[ガズー編集部]