【ラリージャパンを1000倍楽しもう!】無観客での開催となった「新城ラリー2020」を現地レポート 開幕を迎えた全日本ラリーに多彩な車両が集う!
メキシコで2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)の第3戦が開催されたのと同じ週末、3月13日(金)〜15日(日)に日本でも愛知県新城市で全日本ラリー選手権の第2戦『新城ラリー』が開催されました。
2月6日〜9日に群馬県嬬恋村で予定されていた第1戦のスノーイベント『ラリー・オブ・嬬恋』が昨年の台風被害により中止となったことから、日本国内で開催されるラリー競技としては、この新城ラリーが2020年の実質的な幕開けとなりました。
今年で17回目の開催を迎える新城ラリーは、2018年の大会では5万2000人の観客動員を誇るなどシリーズ屈指の人気イベントとして定着していますが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために無観客での開催を決定。
セレモニアルスタートやギャラリーステージを中止したほか、会場での関係企業や飲食ブースの出展も取りやめるなど、様々な対策を講じながらの開催となりました。
多くのラリーファンが“見たいけど見られなかった”イベントが、無観客の中でどのように開催されたのか? 写真とレポートでご紹介します!!
サービスパーク『新城総合公園』の様子は?
- 大会組織委員長の勝田照夫氏
まずは大会組織委員長の勝田照夫氏にお話を伺ったところ「愛知県や新城市、トヨタなど関連する行政および企業と協議した結果、様々な感染防止策をやることで開催することにしました」とのこと。
事実、前述した無観客かつイベント規模縮小のほか、オフィシャルのマスク着用やHQ(ヘッドクォーター)の入室人数の制限、さらにはドライバーズブリーフィングを廃して公式通知によって情報伝達を実施するなどの対策が行われました。
大会運営の本部となるHQの前には消毒用アイテムが設置され、1グループずつ入場するようにとの注意書きが。人が密集するセレモニアルスタートや表彰式などもすべて中止となり、近隣の駅前などにはイベント自粛の立て看板も。
- 新井敏弘選手
一方、無観客での開催について2019年のJN1クラスチャンピオン、新井敏弘選手は「お客さんがいないのは残念だけど、開幕戦の嬬恋が中止になっていたから、選手としては開催してくれたことは良かった」とのことで、エントラントの多くがラリーの開催を歓迎。
「今大会はインターネットでの動画配信が行われているので、ネット観戦のいいきっかけになると思いう」と語るのは、JN1クラスに参戦する勝田範彦選手。
その言葉どおり、今大会ではインターネット中継など新たなチャレンジも実施されていました。こういった取り組みは、今後の国内ラリーシーンの新たなモデルケースとなるかもしれません。
「お客さんがいないと寂しいしテンションが上がらない反面、競技に集中できた」「サービスパーク内で競技車両が移動する際の誘導が、いつもより楽だったし安全にできた」といった声もありました。例年はVIPルームでコーヒーの提供を行っているというkitazawaレンタルコーヒーシステムさんが「今回はお客様がほとんどいらっしゃらないので」と、選手やスタッフに高級コーヒーを無料提供してくれる嬉しい一面も。
競技の拠点となるサービスパークは、新東名高速の新城インターチェンジを降りて5分ほどの場所にある『新城総合公園』に設置。例年だと公園内の各所に出展ブースがあって多くのファンで賑わうのですが、今年はちょっと寂しい雰囲気。
公道を走行するラリーイベントでは開催地や自治体の協力も欠かせませんが、新城市スポーツツーリズム推進課の貝崎課長は「例年だと大勢のお客様にご来場いただき、会場内にもSSが設定されるなどとても盛り上がるイベントなので寂しい気持ちはありますが、まずは無事に開催できて良かったと思っています。10年ぶりのラリージャパン開催ということで我々も期待していますし、新城でのラリーを楽しみにしていただいていたお客様には、ぜひ11月のラリージャパンを楽しんでいただきたいですね! 私たちも経験を生かして盛り上げていきたいと思います」とのこと。
サービスパークの周辺は、歴史の教科書にも登場する『長篠・設楽原の戦い』で有名なエリア。クルマで少し走ると『長篠城跡』や『馬防柵』『信玄塚』などの史跡がたくさん! ラリー観戦の合間にこういったスポットを巡ってみるのもアリ!?
周辺には史跡を中心とした観光名所や温泉などがたくさん! 新城インターチェンジの近くにある道の駅『もっくる新城』では、『五平餅』や『信州ジビエ』などのグルメも楽しむことができます。
無観客でもアクセル全開! ランエボXが総合優勝
- No.3 ADVAN-PIAAランサー
初の無観客イベントとして開催されたことから、サービスパークは閑散とした状態でしたが、山岳エリアでは激しいタイム争いが展開されました。
14日のレグ1は雨、15日のレグ2は晴れに一転するなど難しいコンディションとなるなか、三菱ランサーエボリューションを駆る奴田原文雄選手が全日本ラリー選手権の最上位クラスであるJN1クラスを制しました。
ちなみにJN1クラスでは、国産4WDターボモデルの三菱ランサーエボリューション(CZ4A)とスバルWRX STI(VAB/GRB)が激しいバトルを展開しています。
JN2クラスにはトヨタ・ヴィッツGRMN(NCP13)やレクサスRC F(USC10)のほか、フォルクスワーゲン・ポロGTI(AWCZP)、シトロエンDS3(A5C5F02)などのインポートカーも参戦。JN3クラスは86・BRZ(ZN6/ZC6)、JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)のワンメイク状態!
- No.30 豊田自動織機・DL・ヴィッツ
JN5クラスにはマツダRX-8(SE3P)やデミオ(DJLFS/DE5FS)、ホンダ・フィット(GK5)、ダイハツ・コペン(LA400K)など様々なスポーツカーが参戦しています。ちなみにクラス優勝したのはトヨタ・ヴィッツ(NCP131)!!
- No.46 SMaSH AQUA
JN6クラスには電気自動車の日産ノートe-Power(HE12)や、ハイブリッドカーのトヨタ・アクア(NHP10)も参戦。自動車メーカーやパーツサプライヤーも車両開発や人材育成の場として全日本ラリー選手権を活用しているそうです。ちなみに今回はヴィッツの女性コンビ(水原亜利沙/高橋芙悠)が3位入賞!
- No.52 トヨタ27レビン
賞典外のオープンクラスに目を向けると、ホンダ・シビックタイプR(FK8)やスバル・インプレッサ(GC8)、トヨタ・カローラレビン(TE27)、アルファロメオ1750GTV、ライレー・エルフ、ローバー・ミニ、ロータス・エキシージSなど新旧の名車が参戦しており、車種バリエーションが多彩な一戦となっていました。
- ラリージャパン運営事務局の高橋浩司事務局長
なお、新城ラリーは無観客での開催となったが、11月19日〜22日には同じ中部エリアの愛知県および岐阜県を舞台に、WRCの最終戦として『ラリージャパン』が開催される予定。
会場に訪れていたラリージャパン運営事務局の高橋浩司事務局長も「コースや会場の視察とともに、自治体や地域住民の皆さまへの説明会など準備を着々と進めています。選手や関係者の皆さまが気になっている参戦車両に関するレギュレーションなども、もうすぐ発表できる予定ですよ」とコメント。
まだ正式な発表はないものの、ラリージャパン開催時にはこの新城エリアも競技区間として使用されるのはほぼ確実!? 10年ぶりに世界最高峰のラリーイベントであるWRCが日本に上陸するだけに、モータースポーツファンならずとも見逃せない一戦になりそうです。
(文 / 撮影:廣本泉)
[ガズー編集部]
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