自分に合ったクルマ …TBS安東弘樹アナウンサー連載コラム

​​​​以前、このコラムで書かせて頂きましたが、私、コンパクトカーとミニバンを売却し、それを頭金にしてローンを組み、ディーゼルエンジンのSUVを購入しました。

2台が比較的高く売れた為、今回は少し短めの48回(笑)。

これでクルマのローン歴が、一度も途切れず、ついに30年以上になる事が決まりました(苦笑)。

それと引き換えに?11月頃、と言われていた納車が早まり、9月末に無事、納車となったのです。10年越しの念願が叶い、晴れてディーゼルエンジン車のユーザーとなりました。

早速、納車の翌日には仙台往復ドライブに出掛け、前回のコラムに書いたF1観戦で三重県鈴鹿の往復、更には先日、島根県の松江に、その車で行ってきた事も有り、納車して一か月も経たない内に、走行距離は5000キロを超えました。

そして予想はしていましたが改めて、最新のディーゼルエンジンの性能に驚かされました。

まず低回転でのトルクが太い為、たいしてガスペダルを踏まなくても思った通りの加速を瞬時にしてくれるので、とにかく疲れません。 元々、私は12時間、運転しても、あまり疲労を感じない体質ではありますが、やはり、疲労が、より低減している事を実感しました。 そして何と言っても、その燃費の良さと燃料価格が安い事によるランニングコストの低さが魅力です。

最初の仙台往復時には、まだエンジンに当たりが付いていなかったのか、13Km/L程でしたが、鈴鹿と松江の往復時には15Km/Lを超えました。 鈴鹿の時はサーキットに向かう時に渋滞も有り、また復路では何度も東名高速で事故渋滞に見舞われ、松江往復時も何回か激しい渋滞に遭遇しましたが、それぞれ、1リッター当たり15Km代というのには驚かされました。 いわゆる、カタログ燃費が15.8Km/Lですので、実燃費がほぼ同じだった事になります。

ちなみに燃料タンクは60LとSUVにしては少ない方ですが、仙台は無給油で往復700キロを走破し、F1観戦の時は鈴鹿と宿泊していた名古屋との往復も含まれる為、途中で給油しましたが、やはり700キロを超えてからの給油、松江からは、出発する時に燃料タンクを満タンにして、800キロ弱を見事に無給油で走りきり、しかも到着時には四分の一程、燃料が残っており、これまで一度しか燃料残量警告灯は点いていません。

計算上、900キロ位は走るはずです。 そして給油時に嬉しいのは60Lのタンクで一回に50L位、給油しても自宅の近所の比較的低価格のガソリンスタンドでの軽油価格は82円(10月下旬時点)ですので、4000円ちょっとにとどまる、という事です。

以前乗っていたコンパクトカーは燃費も良くて燃料タンクも35Lと小さかったのですが、500キロ弱走って、30Lちょっと入れるというパターンが多く、ハイオク仕様でしたので、給油時の支払いは5000円を超える事も有りました。

800キロ弱走って4000円、500キロ弱走って5000円。

その差は一目瞭然です。

しかも、方や重量2トン弱のSUV、方や1トンちょっとのコンパクトカー、それで、この差です。 金額もそうですが、すなわちCO2の排出量も少ない、という安心感も付いてきます。

10年待った“甲斐”がありましたが、逆に言うと10年も待たされた、という感覚の方が強いでしょうか。

勿論、近所の移動にしかクルマを使わない、という方にはハイブリッド車の方が、燃費も良いでしょうし、最近のディーゼルは本当に静かになりましたが、それでも音の面では圧倒的にモーターで始動するハイブリッド車の方が有利である事は間違いありません。

しかし、私の様に長距離走行が多いドライバーは、圧倒的にディーゼルエンジンのクルマの方が恩恵を受けられます。

以前、このコラムで、お伝えした通り、ディーゼル車は価格が高い、というのは、見当違いですから、本当はディーゼル車に乗った方がランニングコストを抑えられ、その上運転も楽で楽しいのに、その事実を知らない上に、日本では購入出来ない為に、“損”をしてきた方は沢山いると思います。

そう、劇的に良くなったディーゼルエンジンのクルマを我々日本人は長きに渡り、輸入車でも日本のクルマでも選べなかった訳です。

“誠に遺憾”と言わざるを得ません。

ここ数年、輸入車ブランドのディーゼル車の導入や実質的には1社だけですが、日本メーカーもディーゼル車を生産、販売してくれたお蔭で、正に“やっと”日本でもディーゼル車を選べる様になりました。

それでも、まだまだ導入出来ていない輸入車ブランドも有りますし、1社以外の日本メーカーは、乗用車で見ると、殆ど、ディーゼルの気配は感じられません。

無論、ディーゼルエンジンが理想の動力源とは言いません。

最新のディーゼルエンジンの排ガスは、ガソリンと同じく、ほぼ無色無臭でCO2排出量は同クラスのガソリンエンジンと比べて少ないと言え、有害物質は、物によってはガソリンより、若干、多いですし、音量だけでは、殆ど同じ位になったと言って良いですが、ディーゼルエンジンの音色や、ちょっとした振動に馴染めないという方もいらっしゃるでしょう。

唯、現段階ではSUVやミニバン等、大きくて重いクルマには間違いなく最良のパワーユニットである事は間違いないと言えます。

現在、ハイブリッドのSUVやミニバンは日本に、いくつかありますが、残念ながら実燃費や低速でのトルクはディーゼルエンジンには敵いません。

現実的に、そう遠くない将来、動力源として化石燃料を使う内燃機関は、電気や水素に、その座を譲るでしょう。

でも、完全に移行するその時までは、それぞれのユーザーの使い方や考え方によって最良のパワーユニットを選べる様な状況が不可欠だと私は考えます。

今回、実際にディーゼルエンジンのクルマと生活を共にしてみて、本当に私の用途、感性には、合っている事を実感しました。運転していてストレスが無く、何より純粋に楽しいのです。

正直、もっと早く所有出来ていれば、私の財布にも地球環境に対しても、これまでより低負荷で、且つ更に楽しいクルマ生活を送れていたのに、と悔しい思いもあります。

日本ではメーカーは多いのに、パワーユニットの選択肢があまりに少ないのが問題であると常々、申し上げて来ましたが、その思いが更に強くなりました。

皆さんも食わず嫌いは、やめて、あらゆる選択肢を考えてみて下さい。

クルマを新たに購入する時は、輸入車、国産車を問わず、少なくとも購入予定の価格帯、全てのクルマに試乗する事を、お勧めします。

日本ではクルマを購入する際、とかく“近くにディーラーが有る”、とか“馴染みの営業の方が居る”等を理由に購入するクルマを決めてしまいがちですが、折角、インターネットで、あらゆる情報を手にする事が出来るのですから、パワーユニットも含めて、自分に合ったクルマと過ごす道を探して頂きたいと思います。

以前、「クルマ離れ」のテーマでコラムを書いた時に私の周囲のスタッフの殆どが「運転は苦痛である」と言っていた事を紹介しましたが、きっと、それぞれのスタッフが、これまで触れてきたクルマが、色々な意味で、その人に合っていなかったのかもしれません。それはデザインなのか、運転感覚なのか、もしかしたら、色、かもしれません。

本当に自分に合ったクルマを運転していると楽しいものです。

クルマは高価な買い物です。

だからこそ、毎日、触れるだけで楽しいと思えるクルマをパートナーにしないと、損だと思いませんか!?

ぜひ、皆さん、自分に合ったクルマ、選んで下さい!

安東 弘樹

[ガズ―編集部]

MORIZO on the Road